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進学と出会い
29話 旧友との再会
しおりを挟むイギリス、ここは産業革命から世界をけん引して、大国と謳われた国、第一次世界大戦でヨーロッパの国々が衰弱したが
イギリスは名誉革命以降、王族は健在で、良き国民の象徴として存在続けている、
現在の王、ビクトリア女王は息子のエリオットや最近、一般女性と結婚した孫のスタンリーー王子のことや、自分の跡継ぎなど日々悩みごとが多かった。
だが健康管理は万全にしており、毎日、早めに寝るようにしているのだが、
どうしても4時を過ぎると目が覚めてしまう。
国民の前ではいつも笑顔でいるが、心の中ではあまり良いことがないので、
日々、晴れない心に虚しさを感じていた。王位につくものは、なかなか自分の悩みを人に打ち明けられないこともあり、女王の心はいつもさみしさに満ち溢れていた。
そんな時に執事が早朝だというのに
女王に連絡が来ていると扉をノックした。
寝室の横にある電話機で扉外にいる執事に
「こんなに朝早く、電話がきていることぐらいで、取り次がないでくれるかしら」
「え~と、電話をいただいた方は、女王様は4時過ぎには起きているから大丈夫だと。
それと平和への使者が会いたいと言えば必ずでてくれるとおっしゃっています。
こちらは女王様から言われておる特殊な電話からの連絡だったので」
「その人は名前を言ったかしら」
「はい、マツとおっしゃっています」
女王はその名前を数十年ぶりに聞き、うれしさのあまり、目から涙が出てきた。
女王の心を許せる数少ない友、そして、なにより、心が折れそうな今、
この時に連絡をくれるなんて、相変わらず、状況を理解する能力は健在と思った。
そして執事に
「何をしているの、早くその電話もってらっしゃい!」
「断らなくてよろしいのですか」
「当たり前でしょ」
執事は慌てて、電話を女王に渡した。
「マツ!お久しぶり・・・」
女王はうれしいあまり、少し言葉を濁した。
「お久しぶりです。ビクトリア、急にこんな朝早く、ご連絡してしまって、すみません」
「かまわないわよ。どうせあなたのことだから、わたくしのことを気遣って、連絡をくれたんでしょ」
「ふふふ・・そうですね。それもあるのですが、この度また、新たな平和への使者が決まり、一度、ビクトリアに会わせたいと思いまして」
「平和への使者?
それじゃあ、また戦争など人類を破滅に導くできごとが起きるということかしら」
「はい、そのようです。大変急で申し訳ないのですが、これから、数分程度でよろしいので、
お時間をいただけないでしょうか」
「もちろん、かまいませんよ。人類の存亡にかかわること、何よりも優先しますよ」
女王もマツに負けないくらい頭がよく、対応が良い。
「でも、少し、着替えなど、支度する時間を
30分ほどいただけないかしら、あと30分後、日本時間だと12時30分頃かしら」
「また、執務室でよろしいですか?」
「いや、あそこはかたくるしいから、王妃の客間で待ち合わせましょう」
「承知しました。それと、私の孫も3人ほど同席させてください」
「あら、そんなにお孫さんがいるの、もちろんかまいませんよ」
「いつも急なご連絡をして申し訳ありません。
また、暖かいご対応に感謝いたします」
そう言ってマツは電話を切った。
松田兄妹とマリは本当にイギリスの女王にお友達みたいに話しているマツを見てビックリした。
「おばあさま、今、話した方はイギリス女王なのですか?」
「そうよ、当たり前じゃないの、それよりあんた達、なにをぼ~としてるんだい。
女王に会うのにその服装、急いで着替えてきなさい、それと20分でここに戻ってくるように、絶対に遅れるんじゃないよ。
女王を待たせるなんてありえないからね」
三人は本当なのと思いながら、走って自室に戻って用意を始めた。
「黒川さん、マリさんとユウキさんをそちらに行っていただくから、着替えを用意してくだささい」
「はい、承知しました」
15分ぐらいしたら、大介、葉子、祥子が1階に戻ってっ来た。
3人は普段から高位な方に会う時の服装や立ち振る舞いなどの教育を受けていたため、
手際よく用意ができた。
「ねえ、兄さん、本当に女王に会うの、私達」
「僕が知るかよ。そんなこと言われたってさ、
さっきまでこの家で暇を持て余していたのに、
急に女王に会うなんて、わけわかんないよ」
「葉子は知ってたんだろ。このこと、さっきから何もしゃべらないもんな」
「いいえ、宇宙人とか、瞬間移動とかは全く知りませんでしたよ」
3人はため息をつきながらしばらく待った。
そして、マリ、ユウキ、マツが1階に戻ってきた。
「みんな揃ったわね」
そう言ってマツはみんなの服装を確認して頷いた。
「マリさん、ここでは目立つので、あちらの応接室からお願いします」
そして、少し小さめな応接室に6人で入り、
「ユウキくん、え~とイギリスのウインザー城王妃の客間までみんなを送って」
「承知した」
そう言ってユウキの体が光りだした。6人はだんだんその光に包まれ、一人ずつ、赤い光を発し初めて、全員の体が赤く光った瞬間に6人は
王妃の客間に移動した。
祥子は目を静かに開いたら、写真でしか見たことがない王妃の客間にいた。
みんなは周りを見渡して本当に移動したことに驚いた。
そして、大介が
「うそだろ、本当に移動しちゃったよ」
「本当に移動したのかしら、眠らされて近くの場所に移動したんじゃないいですか」
マリも驚いた様子だったが、葉子が
「間違いないです。ここはウィンザー城、王妃の客間で間違いないです」
葉子は学生の時にイギリスに留学していたこともあり、自信ありげに話をした。
皆がキョロキョロ、室内を見ていると、しばらくして静かに扉が開いた。そして、テレビや写真でしか見たことがない、ヴィクトリア女王が本当に入ってきた。
マツは慣れた様子で目の前にいるビクトリアに丁寧にあいさつをした。
「ビクトリア、お久しぶりです。本日は急な連絡で、ご対応いただきまして、本当にありがとうございます」
そう、マツが声を出したことに松田兄妹、
マリは瞬間移動した王妃の客間を見ることよりも、目の前にあらわれた、
女王陛下に驚き、丁寧におじきをした。
女王は笑いながら
「何を言っているの、あなたや、みなさんに会えること、大変喜ばしく思っていますよ」
「それにしてもマツ、あなた、だいぶお年を取りましたね、」
「ビクトリアも・・・」
二人は手を取り合って、お互いを見つめあった。
「でも、本当はヤエにも会いたかったわ。だいぶ前にある筋から、お亡くなりになったと聞いてね、すばらしい人だったわヤエは」
女王は目に涙を浮かべた、マツは一緒に来た孫達を紹介した。
「ビクトリア、私の孫を紹介させていただきます」
「あなた達、何をぼ~としているの、こらっ、女王にご挨拶しなさい」
「おばあさま、本物ですか」
大介はこの期におよんでぶしつけな事を言った。
「おバカ、女王の御前で本物ですか、なんて言うんじゃないよ。早くご挨拶を」
大介はおばあさまの言うがままに
「松田大介と申します。日本国自衛官をしております。」
「松田葉子と申します。日本国警視庁で現在は飛島マリ様を警護しております」
「松田祥子と申します。高校生です」
皆、教養を身につけているため、きちんとした礼儀作法で挨拶をした。
「飛島マリの警護と言われたかしら」
「はい、まさかヤエの関係かしら?」
「女王は興味津々に尋ねてきた」
そこでマツが
「こちらにおられるのがそうです」
「飛島マリです。高校生です。よろしくお願いします」
祥子はマリがきちんとした礼儀作法でご挨拶を交わしている姿に驚いた。
女王は目を細めてマリに近づき、じ~と見つめて
「マツ、どうなってるのこれは、ヤエとそっくりじゃないの!」
「はい、ヤエさんのお孫さんですから」
マツはニコニコしていた。
「お孫さん?」
女王はビックリした様子で
「そして、その隣にいるのが、」
「女王陛下、お久しぶりです。かれこれ、50年ぶりぐらいになりますか」
ユウキも笑いながら挨拶をして女王を見た。
「ユウキさんなのあなた、以前にお会いした時よりもだいぶ、お若いようですけど」
「陛下、わたくしは以前もお話ししたとおり、不老不死であり、年齢的容姿も自在に変えることができるんです」
また、女王はびっくりした。その横で松田兄妹もびっくりした。
「え~と、どうなってるのかしら、もしかして、この度の平和への使者というのは、
ヤエのお孫さんのマリさんということなのかしら」
「そうです。そして、我々が全力でマリさんの協力者となり、また、世界を救ってみせます」
マツは本来、マリが言うべきセリフを女王にいい放った。そこで女王は
「マツ、もう私達は十分に頑張ってきたわ。
あなたがそんなことを言うのはだめですよ。
これからは、この若い人達が世界を救うんですから・・・」
女王は一人ずつ、手を握り、将来の人類を救ってほしいとお願いをした。
そして、松田兄妹はさきほどまでおばあさまがぼけてしまったんじゃないかと
思ったことに深く反省した。
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