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平和への使者
1話 恐怖の出会い
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山に囲まれ、たくさんの木々が風にゆられ、漆黒の夜を一人の少女が空を眺めていた。
たくさんの星々が自分にふりそそぐがごとく、その輝きを放っていた。
そのひとつ、ひとつの光は何千・何万・何億年も違う時から放たれた光であり、
今ここにいる自分が一つの時間の流れにいることを忘れてしまいそうだ。
少女は星空を見ながらこれからの自分の可能性を模索していたが、美しい星々を眺めているうちにそんなことはどうでもよくなっていた。
「今日は星がすごくいっぱいだな~」
絵を描くことが好きなこともあり、いつものように、今日は夜の景色をスケッチしていた。
地平のかなたのひとつの輝く星を見ていた時だった、その星の輝きがだんだん増してきた。
「あれ、なんだ、すごい光っている」
その輝きが自分の方に近づいてきたその瞬間
「シュ~」
すごい音ががなり、辺り一面が目を開けられないくらいに輝いた。
しばらくして閉じた目を開けると一人の男が立っていた。
「ふ~、無事に着いたか。あれ。夜か。予定した場所と時間が少しずれたな」
少女は突然目の前に現れた男に驚いた。
「あなた、だれ?」
男は辺りを見回しながら、目の前にいる少女に驚いたように
「あれ、目の前にいる・・、離れた場所じゃない」
男はつぶやいた。
しばらく考えてから男は
「僕は、人間だけど 」
おびえる少女にやさしい声で答えた。
「わたし、おうちに帰ります」
少女は突然、目の前に現れた男を怖れ、おそわれて、殺されるのではないかと考え、
震える声で話した。
「どうぞ、お帰りください。僕は怪しいものではありません」
少女はそんな言葉はとても信用できないと思い、急いで、丘の上にある自分の家に帰ろうと歩き出した。今いるところから歩いて10分のところだ。少女は早く両親のいる家に帰りたいと心底思い、
気が付いたら、全速力で走っていた。やっと緑道を抜け、愛しの我が家が見えてきて、
ほっとした。夜の10時にこっそりと家を抜け出して、家を出てきたことなど、もうどうでもよかった。早く家族に会いたい。怒られてもいい。
今のこの恐怖に比べたら、どうってことないと思った。家の前の小さな門をあけて、ほっとした時だった。ふと、後ろを見ると、さっきの男が笑顔で真後ろに立っているではないか。
その時、
「キャ~!」
「お母さ~ん」
叫んでしまった。家にいる母親がその声に気づき、
「マリどうしたの?」
母が家から出てきた。お母さんに抱き着き
「変な大人の男の人がずっと私を付けてきて、こわかった」
震える声で説明した。
「 、 、 、本当?」
母は急いで外に出て辺りを見渡した。
「そんな大人の男の人、どこにもいないじゃない」
すると、自宅の門の横にある壁の後ろに一人の男の子が立っていた。
「うちのマリに何か御用ですか。警察に連絡しますよ」
よく見るとマリと同じくらいの中学生くらいの男の子だった。
「うちの娘と同じ学校なの?それでも女の子を付け回すのは犯罪よ」
男の子はあまりにも怒られたのでびっくりした様子で
「すみません。最近、近所に引っ越してきたんですけど、親が共働きで遅いんです。お腹がすいて、近くのお店に買い物に行こうと思って歩いていたら、その子が急に大声をだしたので」
母は何となく、その言葉を信じた、マリは人見知りがひどくて、自分の気持ちを外に
出せない子供だからだ。
「あんたと同じくらいの男の子じゃない」
マリは恐る恐る、その男の人を見てみたら、
自分と同じ中学生ぐらいの男の子がそこに立っていた。
あれ、さっきの人はどこ?
「あんた、ただ歩いている子に驚いたの?本当に憶病なんだから。
だいたい、夜中にこそこそ家を出て、こんな時間に何を考えてるの」
母にしかられて、いつもなら、腹が立つのに
今日はこの声がとてもあたたかく感じた。
「あら、あら、ごめんなさいね。最近、近所に越して来たなんて知らなかったわ、そうだ。
あなた、今晩のごはんのあまりがあるから、もしよかったら、持っていく?
ちょっとこっちに来て、待ってて」
暗がりからその少年が玄関口まで歩いてきた。たしかに自分と同じくらいだなとマリは思ったが、
明るいところでその顔をみたら、さっきの大人の男と同じ顔ではないか。
マリは体が震えて、その場から動けなくなった。
「ひどいな~急に走っていなくなっちゃうんだから」
マリは何が起きているのかわからず相変わらず震えていた。
「どう、さっきの話し方、中学生っていう感じだったでしょ」
マリは何で急に若くなったの?この人なんなのともう訳がわからなくなった。
「ごめんね。残り物でこんなので良かったら持って帰って」
マリは震えながらも母が見ず知らずの人でも優しく対応してくれているのを見ると
私、ママのそういったところは好きだなと思った。
「ありがとうございます。こんなにいっぱい」
「育ち盛りなんだからね。いっぱい食べなきゃね」
その少年は笑顔で
「今度、士留場中学に転校する、ユウキと言います。これからよろしくお願いします」
マリを見て笑いながら頭を下げてあいさつをして、その少年は出ていった。
「イケメンでいい子だね」
マリは震えが止まらず、リアクションも取れずにいた。
たくさんの星々が自分にふりそそぐがごとく、その輝きを放っていた。
そのひとつ、ひとつの光は何千・何万・何億年も違う時から放たれた光であり、
今ここにいる自分が一つの時間の流れにいることを忘れてしまいそうだ。
少女は星空を見ながらこれからの自分の可能性を模索していたが、美しい星々を眺めているうちにそんなことはどうでもよくなっていた。
「今日は星がすごくいっぱいだな~」
絵を描くことが好きなこともあり、いつものように、今日は夜の景色をスケッチしていた。
地平のかなたのひとつの輝く星を見ていた時だった、その星の輝きがだんだん増してきた。
「あれ、なんだ、すごい光っている」
その輝きが自分の方に近づいてきたその瞬間
「シュ~」
すごい音ががなり、辺り一面が目を開けられないくらいに輝いた。
しばらくして閉じた目を開けると一人の男が立っていた。
「ふ~、無事に着いたか。あれ。夜か。予定した場所と時間が少しずれたな」
少女は突然目の前に現れた男に驚いた。
「あなた、だれ?」
男は辺りを見回しながら、目の前にいる少女に驚いたように
「あれ、目の前にいる・・、離れた場所じゃない」
男はつぶやいた。
しばらく考えてから男は
「僕は、人間だけど 」
おびえる少女にやさしい声で答えた。
「わたし、おうちに帰ります」
少女は突然、目の前に現れた男を怖れ、おそわれて、殺されるのではないかと考え、
震える声で話した。
「どうぞ、お帰りください。僕は怪しいものではありません」
少女はそんな言葉はとても信用できないと思い、急いで、丘の上にある自分の家に帰ろうと歩き出した。今いるところから歩いて10分のところだ。少女は早く両親のいる家に帰りたいと心底思い、
気が付いたら、全速力で走っていた。やっと緑道を抜け、愛しの我が家が見えてきて、
ほっとした。夜の10時にこっそりと家を抜け出して、家を出てきたことなど、もうどうでもよかった。早く家族に会いたい。怒られてもいい。
今のこの恐怖に比べたら、どうってことないと思った。家の前の小さな門をあけて、ほっとした時だった。ふと、後ろを見ると、さっきの男が笑顔で真後ろに立っているではないか。
その時、
「キャ~!」
「お母さ~ん」
叫んでしまった。家にいる母親がその声に気づき、
「マリどうしたの?」
母が家から出てきた。お母さんに抱き着き
「変な大人の男の人がずっと私を付けてきて、こわかった」
震える声で説明した。
「 、 、 、本当?」
母は急いで外に出て辺りを見渡した。
「そんな大人の男の人、どこにもいないじゃない」
すると、自宅の門の横にある壁の後ろに一人の男の子が立っていた。
「うちのマリに何か御用ですか。警察に連絡しますよ」
よく見るとマリと同じくらいの中学生くらいの男の子だった。
「うちの娘と同じ学校なの?それでも女の子を付け回すのは犯罪よ」
男の子はあまりにも怒られたのでびっくりした様子で
「すみません。最近、近所に引っ越してきたんですけど、親が共働きで遅いんです。お腹がすいて、近くのお店に買い物に行こうと思って歩いていたら、その子が急に大声をだしたので」
母は何となく、その言葉を信じた、マリは人見知りがひどくて、自分の気持ちを外に
出せない子供だからだ。
「あんたと同じくらいの男の子じゃない」
マリは恐る恐る、その男の人を見てみたら、
自分と同じ中学生ぐらいの男の子がそこに立っていた。
あれ、さっきの人はどこ?
「あんた、ただ歩いている子に驚いたの?本当に憶病なんだから。
だいたい、夜中にこそこそ家を出て、こんな時間に何を考えてるの」
母にしかられて、いつもなら、腹が立つのに
今日はこの声がとてもあたたかく感じた。
「あら、あら、ごめんなさいね。最近、近所に越して来たなんて知らなかったわ、そうだ。
あなた、今晩のごはんのあまりがあるから、もしよかったら、持っていく?
ちょっとこっちに来て、待ってて」
暗がりからその少年が玄関口まで歩いてきた。たしかに自分と同じくらいだなとマリは思ったが、
明るいところでその顔をみたら、さっきの大人の男と同じ顔ではないか。
マリは体が震えて、その場から動けなくなった。
「ひどいな~急に走っていなくなっちゃうんだから」
マリは何が起きているのかわからず相変わらず震えていた。
「どう、さっきの話し方、中学生っていう感じだったでしょ」
マリは何で急に若くなったの?この人なんなのともう訳がわからなくなった。
「ごめんね。残り物でこんなので良かったら持って帰って」
マリは震えながらも母が見ず知らずの人でも優しく対応してくれているのを見ると
私、ママのそういったところは好きだなと思った。
「ありがとうございます。こんなにいっぱい」
「育ち盛りなんだからね。いっぱい食べなきゃね」
その少年は笑顔で
「今度、士留場中学に転校する、ユウキと言います。これからよろしくお願いします」
マリを見て笑いながら頭を下げてあいさつをして、その少年は出ていった。
「イケメンでいい子だね」
マリは震えが止まらず、リアクションも取れずにいた。
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