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82、途中参加OKです。
しおりを挟むメリーはリアムの事を嫌うはずがない事はしっかりと伝えておかないと。
「あのね、メリーはリアムを守ろうとしてくれたの。そのせいで……怪我を負わされて、リアムに会えない状態にされていたの」
「そんな!どうして!?メリーは大丈夫なの!?」
「大丈夫。今は傷もほとんど治って、身体は元気になってるよ」
身体はね…。
「それなら良かった…。じゃあ、メリーに会えるの?」
「それは…。今はまだ……ううん、リアムの話なら聞いてくれるかもしれないから、明日か明後日に会いに行ってみようか」
「本当に?メリーに会えるの!?」
「うん、会えるように話をしておくね」
「やったー!」
喜ぶリアムのためにも、ピクニックが終わってからアレックスさんに伝えておかないといけないな。彼もメリーのことを心配しているから、きっとリアムとメリーが会うのを断ったりしないだろう。
それと、メリーに会わせる前に、リアムにも今のメリーの状態をオブラートに包んで説明しておかないといけないな…。
「あうー」
「あ、ごめんねアイリ。僕たちばっかり食べてて。アイリも食べたいよね。お母様、アイリのご飯はこれだよね?」
と聞きながら、リアムはアイリの離乳食が入ったお皿とスプーンを持ってアイリの傍に行く。そして、慣れた手つきでアイリに離乳食を食べさせてあげる。
「アイリ、あ~ん」
「あー」
「上手に食べれたね!あーん」
控えめに言って、私の子供達は天使かな?天使だよね?
リアムにメリーの状況を伝えるのは少し心が痛むけど、今はその事は忘れて我が子達に存分に癒されよう。
自分の口も開けながらアイリの口にスプーンを運ぶリアムも!小さいお口をモゴモゴと動かして頑張って食べてるアイリも!どちらも尊い!
「わかります…お二人共本当にお可愛らしいですよね…」
「だよね…本当にかわいい…」
天を仰ぎたくなる気持ちを抑えて愛しい我が子達を見ていると、ジェーンが深く頷きながら私の気持ちに同意してくれる。
気持ちを分かってもらえて嬉しいよ。だけど、何も言っていないのに、どうして私の気持ちが分かったんだろう…。
「ルビア様のお子様を見る表情は、本当に幸せそうで、私達も見ていて幸せな気持ちになります」
「え、私ってそんなに顔が緩んでる?」
朗らかに笑うミリアナの言葉に思わず顔を触ってしまう。
「そうではなく、本当にお幸せそうに微笑まれていらっしゃるので、お子様方のことを深く愛して居られるのだと伝わって来るのです」
「そう?それなら、良かった…」
変な顔をしてるとかじゃなくて良かった…。
「ルビア様は、本当に子供がお好きなのですね」
「うん、好きだよ。でも、それはマーガレットもだよね?」
ジェーンとミリアナは子供が苦手じゃないんだろうな、とは思うけど、マーガレットは子供が本当に好きなんだろうなと思う時がよくある。
前世だったら保育士になっていたかも、なんて思えるくらい常に子供のことを考えてくれて、子供に向ける視線も慈愛に満ちている。
「そう、ですね。この仕事が天職だとは感じております」
「やっぱり。元は、皇帝陛下の乳母をしていたんだよね?」
「はい。あの時は、まだ新人のメイドだったにもかかわらず、リナリー様が私をルミリオ様の乳母にと推してくださったのです」
リナリー様直々に指名されていたんだ…。
それってかなりすごいことだと思う思うんだけど…。
「リナリー様は人の才を見抜く力をお持ちだったのかもしれないね」
「ふふ、どうかは分かりませんが、リナリー様はとても聡明な方でした」
そう話すマーガレットはとても楽しそうで、リナリー様の事を慕っていたことが簡単に想像出来る。
「ねぇ、良かったらリナリー様がどんなに方だったか教えて」
そうお願いすれば、マーガレットは懐かしそうにリナリー様の事について話してくれる。
話を聞いているうちに、何故だか話題は皇帝の幼少期に変わっていった。
「幼い頃のルミリオ様は、本当にリナリー様がお好きで、会う度に必ず抱っこを要求されていました」
「へぇ、やっぱり子供の頃は誰でも甘えたくなるんだね」
「その様ですね。ゼノン様にお叱りを受けた時などは、泣きながらリナリー様の部屋に行き…」
何をしたんだろう…と続きを楽しみにしていると、後ろで草が揺れる音がしたと思ったと瞬間、聞き覚えのある声が聞こえて飛び上がる。
「もうそれくらいで十分だろ!」
「皇帝陛下!?」
「父上?」
「「ルミリオ陛下!」」
「あらまぁ」
突然現れた皇帝に全員が声を上げる。
「皇帝陛下…?あの、お忙しくてピクニックには参加出来なかったんじゃないんですか?」
「それは、その…」
バクバクと忙しなく動く心臓を抑えながら質問すれば、歯切れの悪い返事が返ってくる。そんな皇帝に、楽しそうにマーガレットが声を掛ける。
「お仕事が思ったより早く片付かれて、ここに来られたのですよね?」
「あ、ああ、そうだ。その、思ったより早く終わったので、少し様子を見に来ただけだ」
気まずそうに同意する皇帝に、マーガレットは笑顔のまま話しかける。
「せっかくですから、ルミリオ様も参加されてはどうですか?まだルビア様が作って下さったお料理も残っていることですし、ね」
「その……いや、あの……途中ではありますが、参加させていただいてもよろしいでしょうか」
「え、ええ、是非…」
笑顔なのにどこか有無を言わさぬ言い方のマーガレットに圧されて、皇帝が飛び入りでピクニックに参加することになった。
けど、マーガレットはどうしてそんなに笑顔なの…。そして皇帝はそんなマーガレットから必死に視線を逸らそうとているのは何故なの…。
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