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45、お会い出来て良かったです
しおりを挟むようやく涙が落ち着き、少し痛くなった目に手を当てる。パーティの途中なのに、目が腫れてしまっていたらどうしよう。せっかくの、アイリのパーティなのに…。
「恥ずかしい姿を見せてしまって、すみませんでした…」
「いや、泣きたい時は泣けばいいんだ。無理に我慢する必要は無い」
「そうよ、我慢は身体にも良くないし。貴女の身体に支障が出たら、1番困るのはアイリちゃんなのよ。ねぇ、アイリちゃん」
そう言って、お母様がアイリの頬をつついて笑う。つつかれたアイリは、人見知りをして泣くかと思ったけど、不思議とお母様に触られても泣いたりはしなかった。そんなアイリの反応が嬉しかったのか、お母様が笑う。
「私がおばあちゃんだって分かってるのかしら?他の人が居たら、こんな事は決して出来ないけど、泣かれなくて本当によかったわ」
「そうだな。孫とは言え、皇女殿下なのだから、気安く呼びかけたりは出来るわけがないからな」
そう言いながら、お父様も顔を緩ませながらアイリの手を触ったりしていた。その姿は、公爵と皇女ではなく、おじいちゃんと孫でしかない。
やっぱり、初孫は可愛いのかな。前世では両親に孫を見てもらうことは出来なかったけど、ルビアの身体に入ったおかげで、今は両親に孫を見てもらえることが出来て、凄く嬉しい。
だけど、苦しむ中でアイリを授かったルビアには申し訳なく思う。本来なら、この嬉しく思う気持ちは、ルビアが体験するはずだったのに。
「本当に可愛いわぁ、幼い時のルビアを見てるみたいだわ」
「本当だな。今も充分可愛いが、幼くて可愛かったルビアにそっくりだ」
「ずっと見ていても飽きないわ」
「そうだな。だが、せっかくのアイリのパーティなんだから、そろそろ戻らないといけないだろう」
確かに、パーティを抜けてきてから両親と話していたので、それなりに時間が経っているはずだ。流石にパーティの主役がずっと席を外しているのは良くない。
「お父様、お母様、今日はお会い出来て本当に良かったです。アイリの事も見ていただけて嬉しかったです」
「私も、貴女に会えて嬉良かったわ。ここまでよく耐えたわね。可愛い孫も見れて、嬉しかったわ」
「今日はここに来れてよかった。大変だとは思うが、無理はするんじゃないぞ」
耐えていたのは私ではないけど、ルビアの感情に影響されているのか、両親の言葉に今までの事が報われたような気持ちになる。
「アイリちゃんもさようなら。次会う時は、きっと話し方が違うけれど、泣かないでね」
「きっと大丈夫ですよ、お母様。それでは、私達はこれで失礼致します」
「…ルビア」
両親に別れを告げて、パーティ会場へ戻ろうとすると、お父様に呼び止められる。
「誰かがお前を孤立させ、悪者に仕立てようとしているようだ。我が領地で起きた事故も、おそらくお前を孤立させる為に起こされたのだろう」
「そんな…まさか…」
「今日、私達が乗っていた馬車の車輪がタイミング良く外れたのも、その悪意ある者の仕業に違いない。これからもその者はお前を狙ってくるはずだ。だから、油断するんじゃないぞ」
そう、お父様は言って、首から下げれるように紐で通した小さな笛を手渡してきた。
「身の危険を感じたら、すぐにこの笛を吹きなさい」
「これは…?」
「、人が来る。もう行きなさい。何あれば、その笛を迷わず吹きなさい」
私の手に笛を握らせ、優しく背中を押してくれる。
「会えてよかった。いつまでも愛してるよ、ルビア。また会おう」
「無理せず、元気でね。アイリちゃんも、またね」
「はい、お父様と、お母様もお元気で。今日はありがとうございました」
警備の騎士が歩いてくるのが見えたので、足早に両親の元から離れて会場へと戻る。会場は戻ると、皇帝が私の顔を見て何か言いたそうにしていた気がしたけど、何も言われなかったのでそのまま着席した。
パーティの間、私がリアム様に毒を盛ったと男性が騒いだせいで、ずっと疑いの視線を向けられ続けた。だけど、両親と会えたおかげか、あまりそんな視線が気にならなかった。
そういえば、リアム様が毒を盛られたと騒いでいたあの男の人…どこかで見たことがある気がする。一体どこで見たんだろう。前は、私の事を睨みつけていた気がするのだけど…。
あの男性を見たのは、ルビアの記憶でだったのか、私自身が直接見たのか…。
うーん…思い出せない。
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