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41、予期せぬ人物
しおりを挟む会場が少しピリついたことでアイリが泣き出したため、アイリを抱っこして廊下に出てみれば、ヒソヒソと話し合うご婦人方がいた。
「そういえば、リアム皇子が体調を崩された原因も、皇后陛下だとか…」
「リアム皇子が乗った馬を驚かせて落馬させたとか…」
「皇女がお生まれになって、リアム皇子が邪魔になったんじゃ…」
周りから嫌でも聞こえて来るありもしない話に辟易する。私は一度だってリアム様に危害を加えようとした事なんてない。
というか、どうしてリアム様が落馬した事を知っているの…?
あれは、城で起こった事だから、城内の人以外知っているはずが無いと思うのだけど。誰かが外に情報を漏らした?それって有り得るの?城や貴族の家で働いている人達が内情を外部に漏らすのは御法度なはずなのに。
それに、さっきもメイドが話していたのを聞いて…。とか言っていたけど、事実かどうかは別として、城内で起こったことを外部の人達がいるのにも関わらず話をするっておかしい。
ルビアに対して悪意を向けて来たり、この城の人達の教育は一体どうなってるの?本来なら、こういう事が起こらないように使用人に指示するのは皇后の仕事のはずだけど、今はイザベラ様がそれをしているはず。
なのに、こういう事が起こるなんて。ルビアから皇后の仕事を奪っておいて、イザベラ様は一体何をしているの?
「やはり両親から甘やかされて育てられた人は何をするか分かりませんね」
「本当に…あんな人が私達よりも位が上だなんて、世も末ですわ」
「私、元々あの人のお高くとまっているのが嫌でしたのよ」
「分かりますわ。私達のことを見下していたに違いありませんわ」
本当のところ、どうか分からないけど。多分、ルビアはそんな事はしていなかったと思う…。ただ、家や両親の顔に泥を塗らないように、頑張って振舞ってきただけなんだと思う。
「ルビア様、こちらの空気もよろしくないようですので、お庭に行きませんか?」
アイリをあやしながら、嫌でも耳に入ってくるご婦人方の話を聞いていると、付いてきてくれたマーガレットが庭へ誘導してくれる。
「せっかくのアイリ様のパーティですのに…全く、無礼な方のせいで台無しです」
「そうだね…」
理由は分からないけど、ルビアが皇帝やイザベラ様達にしてきた事がしてきた事なので、私は何を言われても仕方ないと思うけど、アイリのためのパーティを台無しにされたのは嫌だな。この状況を生み出したのは、誤解をされても仕方ない行動をしてきた私のせいなのだろうけど…。
「ごめんね、アイリ。ママのせいで」
「ルビア様…」
アイリには、本当に申し訳ない。だけど、あの男性はどうして会場中に聞こえるように、リアム様が毒を盛られた事を言ってきたんだろう。それも、まるで私を疑えと言わんばかりに。
メイドが言ってて気になったからって、あの場で聞く?仮にもこの国の皇女のお祝いの席で。それも、話しかけていいかの許可も取らずにそんな発言をするなんて無礼にも程がある。
皇帝が話題を断ち切ってくれたけど、イザベラ様まで、リアム様が毒を盛られたと言い出すし…。
リアム様をお見舞いに行ってからも、ほぼ毎日様子を聞いてもらっていたのに、そんな話は全然聞いていなかったんだけど。それってつまり、ずっと私に嘘を伝えていたってこと?
私が毒を盛ったかもしれないと疑って嘘を言っていたとしても、リアム様の実の父親である皇帝に連絡しなかったのはおかしいんじゃないかな。
皇帝に報連相の事を言ったけど、もしかしてこの城では報連相をしない事が当たり前なの?でも、やっぱりどんな理由があれ、皇帝に対して毒を盛られた件を伝えないのはどう考えてもおかしい。一体、どういうつもりで伝えなかったの…?
「ルビア…?」
「…?」
突然、私を呼ぶ声が聞こえて顔をあげれば、前方から、初めて見たけど、何故か見覚えのある男性と女性がこちらに近寄ってくる。
この人達は…。
ルビアの記憶で見たことがないけど、心が叫んでいる。
「お父様!お母様!」
「やっと会えた!ああ、私の可愛い娘、こんなにもやつれてしまって…」
「本当よ…でも、無事で良かったわ。手紙をいくら送っても返事が返ってこなくて心配していたのよ」
「手紙…?」
2人から熱い抱擁をされるけど、手紙と言われて、頭に疑問符が浮かぶ。
手紙なんて、1度も送られて来なかったはずだけど…。
「っ、」
リアム様のお見舞いに行く途中で感じた痛みが、また頭に走る。あの時のように、頭に映像が流れてくる。
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