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39、???視点
しおりを挟むへやの外からあの人の声が聞こえる。
ぼくに会いにきてくれたんだ!
……だけど、会えない。
ぼくが会えば、またちちうえがケガをしてしまうかもしれない。つぎは、アイリやあの人がケガをしてしまうかもしれない。
ははうえは、ぼくがこうていになれば、みんなしあわせになるって言っていた。だから、こうていになるために、しっかりとべんきょうしなさいって言われた。
早くあの人達に会いたい。だから、ぼくはイヤなべんきょうもいっぱいがんばる。がんばって、またいっしょに楽しくお話がしたい。
今すぐにでも会いに行きたいけど、今はガマンだ。
『ーーーリアム様には、お大事にとお伝えください。それと、もしリアム様に食欲があるのでしたら、こちらを渡してもらえますか』
『これは…なんでしょうか?』
『おにぎりです。リアム様が気に入っていたので、作って来たんです』
おにぎり!
ぼくがすきな物を作ってきてくれたんだ!
うれしい!
ほんとうにうれしい!
早く食べたいな!
そうしたら、もっとべんきょうもがんばれるもん!
あの人がかえっていってしまうのはさみしいけど、おにぎりが食べられるのはうれしい。だから、へやにもどってきたははうえをえがおで見てしまう。
だけど、それは良くなかったみたい。
「なに?アンタも…あの女が良いわけ?なんであんな女なんか…!本当にことごとく私の計画を邪魔する…!あの女が居なければ、私の計画は完璧だったのよ!あの女が居たせいで、ルミリオなんかとアンタを作らなきゃいけなかったのよ!!」
「っ!」
こわい…ははうえが、すごくおこってる。また、たたかれるのかな。イタイのはいやだ。
「しかも、なんなの?次期皇帝に対して、こんなゴミのような白い食べ物を渡すなんて、バカにしてるわけ?本当に何から何まで腹が立つわ!」
「っ、」
目の前で、おにぎりが入ったお皿をゆかにすてられて、ビックリして声が出そうになったけど、手で口をおさえて声が出ないようにする。
じゃないと、うるさい!ってははうえからおこられちゃうから。
だけど、ぼくのために作ってくれたおにぎりがゆかにすてられて、かなしくなる。せっかく、あの人がもってきてくれたのに…。
「ルミリオに対して恋愛感情は無い?はっ、ふざけないでほしいわ…!あってもらわないと困るのよ!今までみたいにルミリオを追いかけて嫌われなさいよ!」
かみの毛をぐしゃぐしゃにしながら、ははうえがおこっている。
「また私の計画を邪魔する気?やっと嫌われる様に仕向けれたと思ったのに!私がどれだけの時間を使ったと思ってるのよ!あの女が居なければ、私は今頃…」
あたまを手でおさえてぶつぶつ何か言っているははうえがこわい。
「…ルミリオもルミリオよ。今まで私がどれだけ優しくしてあげたかも忘れて、今更あの女に興味を持つ意味が分からないわ。私があの女を嫌う様に色々教えてあげたのに、それを忘れて…」
こわい、こわいよぉ…。おねがい、だれか、ぼくをここから出して…。
「私だけを信じる様に教育してきたつもりなのに…。あの女のせいで、また計画が………そうだ」
ぶつぶつ言っていたのに、こんどはおにぎりを見て、なんだか楽しそうにわらっている。
「せっかく頂いた食べ物を粗末にしてはいけないわよね?」
「ははうえ…?」
ははうえは、ゆかにあるおにぎりを1つとった。それに、なにかの、こなをかけて、ぼくの目の前にもってきた。
「さぁ、残さず食べるのよ?」
「で、ですが、これは、さっきゆかにおちていましたよ…?それに、ははうえがなにか…」
「私の言うことが聞けないの?アンタみたいな憎らしい子を産んで育ててあげてる私の言うことが聞けないわけないわよね?」
「…はい」
つめたい目で見られたら、イヤだって言えなくなる。だって、すごくこわくて、かなしくなるから。
食べないと、また、ははうえから、きらわれて、たたかれるかもしれない。だから、イヤだけど、食べるしかない。
「うっ、」
「残しちゃダメよ?」
口の中が、すごく苦い。あの人のおにぎりは、いつもおいしいのに、これはすごくマズイ。
だけど、ははうえが、のこしちゃダメって言ったから、がんばって食べないと。ははうえから、もっときらわれないように。
食べおわったら、なんだか、すごく体がだるくなってきた。立ってるのもしんどくて、ゆかにねてしまう。
「はぁ、はぁ、はは、うえ…?」
「安心しなさい。死にはしないから」
ははうえが、ぼくを見てニッコリしてる。
どうして、ぼくがしんどいのに、楽しそうなの…。
どうして、ぼくのことが、そんなにもきらいなの…。
聞きたいことはいっぱいあるけど、目がかってにとじていく。
もう、おきてられないや…。
なんだか、ぜんぜん目がひらかない…。
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