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27、久しぶりに言わせてもらいます
しおりを挟む「税金は、国民の血と汗と涙の結晶なんです。つまり、国民のもので、国民の為に使われるものなんです」
「皇后…?」
「私達は、確かに税金で生活しています。ですが、それは国民をまとめ、守る為に存在するからです。着飾るのも、他国からこの国は貧しくて弱い国と侮られないためです」
皇族とは、国の代表。代表がみすぼらしい服を着ていれば、国民もその程度と周りから思われてしまう。下手をすれば、弱い国と認定されて領土を奪われかねない。なので、皇族としてだらしない格好はしてはいけない。と、私は思っている。
「ですが、それは決して贅沢をして良いという訳ではありません。必要な分だけ税金を使わせてもらい、後は国民に還元する。と言うのが、本来の使われ方ではありませんか?それなのに、私が嫌だと言ったから招待状を取り消すためにまた税金を使って手紙を送るですって…?馬鹿も休み休みして下さい!」
「私は皇后の事を思って…」
はい?何を言ってるんだこのポンコツ皇帝は…!私の事を思ってくれての提案かもしれないけど、そんなことで大切な税金を使って欲しくはない。
それに、重要なのはそこじゃない。
「それだったら元から私に一言相談してから決めてください!なんで勝手にそんな重要なこと勝手に決めてるんですか!主役はアイリですよね?私はそのアイリの母親ですよ?なのに一言も無いってどういう事ですか!」
「ですが、イザベラが…」
「発案者がイザベラ様だったかも知れませんが、それを聞いてから私に相談も出来ましたよね?なのにどうして2人で決めてるんですか?私の意見はどうでもいいと?」
税金の使い方も腹が立つけど、1番腹が立つのはここだ。アイリや私が関わっている重要なことを勝手に決めるのが本当に許せない。
「いえ、決して皇后の意見をどうでもいいとは思っていませ…」
「だったらどうして聞いて下さらなかったんですか?どうでもいい時には顔を出して、重要な事は何も言わないって、おかしいと思うのですが」
「それはその…」
怒られるとは思っていなかったのか、皇帝はどう言い訳しようか必死に考えているようだ。だけど、どんな言い訳をされようと聞く気はない。
「いいですか?今回は招待状まで送ってしまったので仕方ありませんが、今後は必ずアイリや私が出席しなければいけない場合は事前に相談してください!上辺だけの夫婦だろうとなんだろうとなんだろうと関係ありません!これからはきっちり報連相をして下さい!」
「ほうれん草…?」
「報告!連絡!相談!人と関わる上での基本です!分かってくれるだろう…は絶対にナシです!分かりましたか!」
「は、はい…」
気圧された様に皇帝が頷く。
素直でよろしい。
だけどーーー。
「次こんな事があれば、許しませんから。一生貴方と公的な場以外で話しませんから」
「わ、わかりました!今後このような事が無いようにします」
「絶対ですからね」
「はい」
全く…どうして私がこんな初歩的な事を皇帝に言わなければいけないんだ。子供に言うならわかるけど、成人した良い大人に、しかも皇帝にこんな事を言うなんて意味がわからない。一体この人は今までどうやって国を治めてきたんだ…。
「ルビア様、アイリ寝ちゃったみたい」
皇帝に呆れ果てて居ると、リアム様が話が終わったことを察してアイリの事を教えてくれる。
なんて出来た子なんだろう。今まで私が自分の父親に向かって説教をしていたのに、私に怯える所か、アイリの事をずっと見ていてくれたみたいだ。
この子は本当に天使なのかもしれない…。そして、マーガレットの腕の中で眠るアイリは天使でしかない。
ああ、この2人のおかげで、私の皇帝に対する怒りが消えていく。子供は偉大だ…一瞬で気持ちを切り替えさせてくれるんだから。
「アイリが寝ちゃったし、そろそろ部屋に戻ろうか」
「うん。アイリもお布団で寝た方がゆっくり寝れると思うし」
寝ているアイリの事まで気を使ってくれるなんて、リアム様も天使だった…!本当に、人に気を使えて優しい子だ。外見は皇帝に似ているけど、中身は似なくてよかった。
「あ、そうだ。皇帝陛下、アイリが主役のパーティですので、くれぐれも、パーティの用意をする時に私の意見抜きで進めるのは止めてくださいね?」
「はい。わかりました…」
大人しく頷く皇帝に満足して部屋に戻ってアイリを寝かせ、その後はいつも通りリアム様と勉強をして過ごした。
皇帝に説教をしてそのままキッチンに残して来たけど、言ったことに後悔はしていない。だって、仮にも国を収めているなら、税金の使い方くらいは慎重に考えてほしいものだ。
それに、主役である人達になんのお伺いも立てず事後報告なんて許される事じゃない。まだ私達だったから良いものの、これが他国相手とかだったらどうなっていたことか…。
もっと彼には、皇帝としての考え方を学んで欲しいところだ。
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