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しおりを挟む私、何かおかしなこと言った?
卒業すれば適当な相手と結婚させられるなんて、貴族令嬢ならよくある話だと思うんだけど…。
「私も一応貴族の娘なので家のために結婚をしなきゃいけないんですよ。うちは貧乏なので余計に…」
「相手は?」
「えっと…まだ決まっていません。卒業してから本格的に探し始めると両親は言っていましたが…」
「本格的って事は、もう何人か決まってるの?」
「そうですね…絵姿だけなら何人か拝見したことはあります…」
「どんな奴?家名は?」
「え、えっと…」
よ、様子のおかしい!!
どうして急に質問攻めされてるの!?
家名とか正直覚えてないんですけど!
とりあえず渡された絵姿見て、親から彼らの情報を伝えられて適当に頷いていただけだから!
「絵姿見てタイプな男とかいた?」
「い、いませんよ!それに、どの人を見てもルバーム様以上にかっこいい方なんていませんし!」
「…………ふーん。そ」
あれ?いつもの返事の仕方だ。
若干嬉しそうに見えるのは気の所為かな?
とりあえず、すごい勢いで詰められることはもう無さそうなので良かった。
「アンタは好きでもない奴と結婚しても別にいいの?」
「貴族の娘に生まれたのならそういう結婚をするということは幼い時から理解していましたので、抵抗感はありません」
それに、前世含め恋愛経験もしたことが無い私に恋愛結婚なんてハードルが高過ぎる!前世では絶対に死ぬまで独身貴族だろうと思って老後の為にかなり貯金してたくらいだし。
恋愛せずに結婚出来るなら、むしろその方が楽だと思ってる。なので、本当に抵抗感は全くない。
「なら、結婚相手は誰でもいいの?」
「流石に年の離れ過ぎた人とか、かなり特殊な性癖を持っている人とかと結婚するのは遠慮したいですけど、普通の人ならいいですね。欲を言えば、話をしっかりと聞いてくれる人がいいですね」
何も聞かれずに押し付けられるのは嫌だし、それなりに私の話を聞いてくれる人ならありがたい。
「なら………アンタのことが好きで、四六時中アンタと一緒に居たいって思うような人とならどう…?」
「そんな人いるとは思えませんけど…」
「……例えばの話。で、どうなの」
私のことが好きで四六時中一緒に居たいと思うような人…。
「正直、想像が全く出来なくてなんとも言えませんね…。好意を持ってもらえるのは嬉しいですけど……ずっと一緒……うーん、本当に想像出来なくて分かりませんね」
「そう。まぁ、いいか………実際に試せば分かる事だからね」
「え?何か言いましたか?
「別に。それより、アンタ明日用事ある?」
「ありませんけど、どうかしました?」
「このサンドウィッチ、エマが持ってきてくれた物の方が美味しかったな」
あれ?今あからさまに話を逸らされた?
けどまぁいいか。それよりも嬉しいことを言われたし。
「あのサンドウィッチ美味しいですよね!あれは、私が一番好きなパン屋で買ったんですよ」
「へぇ、じゃあ今度教えてよ」
「はい!では、ルバーム様宛に今度お手紙を書きますね」
「別に手紙じゃなくてもいいけど」
手紙じゃ無ければどうやって伝えればいいのだろう。
私は転移魔法とか使えないし、前世の電話みたいに会話出来る魔道具なんてものも持ってないのに。
それとも、知りたいというのは社交辞令でそもそも手紙とかで教えてくれなくていいってことなのかな。
「この肉は柔らかくて美味しいけど、やっぱりエマが持ってきてくれた味付けの方が好きかな」
「わかります!あそこのお肉は全然柔らかくないけど、噛めば噛むほど味がして美味しいんですよね!」
「そうそう。また食べたいなぁ」
「いつでも言ってください!買ってお持ちします!」
「他にもエマが持ってきてくれたものでまた食べたいのがあるんだけど」
「どれですか!?」
なんて食べ物の話をしていると、時間はあっという間に過ぎていき、気付けばパーティはお開きの時間になっていた。
「家まで送って頂いてありがとうございました」
「いや、俺もアンタの話を聞きたかっただけだから。じゃあ、またね」
「はい、また。お気を付けて」
また…?
偶然どこかで会ったら声くらいはかけて良いって事なのかな?なら、挨拶だけでもさせていただこうかな。
それよりも、推しと馬車に乗っちゃったよ!
もう人生で最高の日だった…!我が人生に一片の悔いなし!
ということで、はやく寝よ~っと。
なんて、彼の言葉の意味を聞き返さずに見送ったことが間違いだったことに、次の日の朝気付くことになる。
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