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しおりを挟む………襲う?
この私を?
一体誰が?
「ありえないですよ……いや、かなり飢えてる人ならワンチャンあるかも…?でも、大丈夫ですよ。こう見えて、私は攻撃魔法だけはかなり得意なので!」
「なんで攻撃魔法だけ…?」
それは、前世のゲームでよく使っていた技を使うために必死に特訓したからですよ!
やっぱり、魔法と言えば攻撃!ファイアーボール!とかしたくなるじゃん!だから、必死に思いつく限りの攻撃魔法を練習しまくって、気付けば目の前にいる全教科学年トップの彼よりも攻撃魔法だけは上手いと先生方から言われているんですよ!
因みに、実技魔法でトップを取れないのは、攻撃特化で治癒や防御が平均並しか使えないから…。
でも、攻撃魔法だけは、学年1!
いや、学校1と言っても過言ではないらしいのでそこは誇っていきたい!
けど、そういう事は推しに対して言うのは恥ずかしいので適当に誤魔化しておこう。
「自己防衛は大事だなと思うので、攻撃魔法は自主練したりしていたんです」
「ふーん。けど、やっぱり女の子一人は危ないから送る」
「いえ、本当に1人で大丈夫ですよ!それに、ルバーム様の帰宅時間が遅くなりますし…」
「送るから」
「あ、はい」
静かなのにとても圧が強い口調で言葉を遮られてしまって素直に頷いてしまう。
なにあれ凄い…。
今まで無表情に近かったのに、いきなり笑顔になって声を荒げずに強い口調で言うなんて、そんなこと出来る人そんなにいないよ。
学生の内にこんな技術を持っているなんて、大人になって社会に出たら一体どんな人になるんだろう。
漫画では彼のその後の物語は書かれていなかったから分からないけど、誰も逆らえない指導者とかになっていそうだな。
そういえば、彼の家は騎士団を取りまとめる仕事をしていたっけ。
ニコニコしながら有無を言わせず騎士達を管理していく鬼指導者……ものすごく想像出来てしまう!
きっと、そんな彼もカッコイイんだろうなぁ。
見てみたいけど、私はモブの下級貴族だから、卒業すれば彼との接点はなくなってそんな姿を見ることは出来ないだろうな。
卒業するまでもう半年を切ったし、彼を直に見れる間にしっかり目に焼き付けておこう。
「着いたよ………って、見過ぎじゃない?」
「あ、そうですね。すみません。送って頂いてありがとうございました。それでは」
「あ…うん…………おやすみ」
目に焼き付けようと必死に見過ぎたせいでドン引かれてしまった…。
今日みたいに話す機会はもうほとんど無いだろうけど、流石に引かれるのはやり過ぎた。
彼の引いた顔がいたたまれなくて、お礼を言って足早に寮の中に入ってきてしまった。
送ってもらったのに失礼な去り方をしちゃったなぁ…。
絶対印象悪いよね。
ああもう…。
花火を一緒に見させてもらえただけでも感謝すべきことなのに、欲をかいてガン見しちゃうなんて強欲過ぎでしょ私!
今日くらいは抑えるべきだった!
今後はもう今日みたいに話すことはないだろうけど、絶対変なやつだって思われたよ!
いや、変なやつだって思われているのは今更か…?
落ち込んでる時にだけ突然現れて食べ物渡してく変な奴だもんね、私。
あ、元々変に思われていたんだから焦る必要なんてなかったか。元々変なやつなんだから、ガン見くらいで印象変わったりしないよね。
うんうん、そう思ったらなんか落ち着いてきた。
もう遅いし、今日は推しと花火が見れたという奇跡に感謝しながら寝よ。
神様、推しとの貴重な機会を授けていただきありがとうございます。
今後も推しが落ち込んでいる時はイチオシグルメを持っていこうと思います。
そして少しでも推しに安らぎを与えられますように…。
さぁ、次のイベントでは何を持っていこうかな。
また街に行って美味しいものを見つけないと!
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