3 / 7
やっぱり来るんじゃなかった…。
しおりを挟むと思っていた時期も私にもありました。
「え?佐藤さん?相変わらず地味だね」
あなたは相変わらず化粧でがっちり武装されてますね。C子さん。
抵抗するのも面倒で同窓会会場まで来ると、そこには私を虐めていた子達がうじゃうじゃ。
なに?まだ同窓会始まる時間じゃないのに皆気合い入れすぎじゃない?貴族令嬢でも流石にこんなことはしなかったよ。
あ、あの人達はそもそも時間なんてそんなに守らなかったか。私を呼び出しておいて数時間待たせるなんて普通でしたもんね。
だけどそのおかげで高級ソファで仮眠を取れたのは良かったな。
そういえば、待っている間にソファで寝てたってパーティのみんなに言ったら爆笑してたなぁ。
『ここに来た時よりだいぶ図太くなったな!』
『空いている時間に仮眠を取るのはとてもいい事だと思います』
『その図太さ俺も欲しいです!』
『君のそういう所、本当に好きだよ』
なんて言われたっけ。
本当にみんな今どうしているんだろう。
「ねぇ、佐藤さんって今何してるの?」
「え?」
あ、そういえば今は高校の同窓会に来てるんだった。
異世界のことを思い出していたら、いつの間にか同窓会も始まっていて、私と会った元いじめっ子達はずっと何か私に話しかけてきてたっけ。
相変わらずこの人達暇だな。
「私は×××って会社の部長と結婚して、子供2人いて専業主婦してるんだけどぉ、佐藤さんは?」
どうしてB子は現在の状況を教えてくれるのかな。
別に聞いてないし興味もないだけど。
「私は普通の会社員です」
「へぇ、相変わらず大したことないのね?私の旦那なんて○○○って会社のーーーー」
「私の旦那もーーー」
B子を皮切りに、何故かいじめっ子達が旦那さんがどこに務めているかを我先にと言ってくる。
本当にどうでもいいなぁ。
というか、自分が、じゃなくて会ったこともない旦那さんの事を言われてもなぁ。
異世界でも良く、『私のお父様はどこどこの役職ですのよ!』とか、『私は公爵家の人間ですわよ!』とか言っていたなぁ。
自分の功績じゃなくて家とか親を出してくる時点で
【自分には価値がない】って言っているようなものなのにね。
「はあ、そうですか凄いですね」
「でしょ!佐藤さんは結婚もせずにこの歳になっても自分の為に働いてるなんて大変ね」
「特に大変なことは無いですよ。自分のしたいことをしているだけなので」
「っ、強がり言って…!」
どこら辺が強がりだと思われたのかな。
よく分からないけど、元いじめっ子達がなんでか一瞬悔そうな顔をした。
ご令嬢達と話している時もこんなことあったなぁ。
その後は決まって『覚えておきなさいよ!次はそんな生意気な口を聞けなくしてあげますわ!』って言われったけ。懐かしいなぁ。
なんて思っていると、急に会場の外が騒がしくなる。
「なになに?芸能人でも来てるの?」
「誰か見てきてよ」
「誰かしら」
外の騒がしさに比例して、会場の人たちもざわめき始める。
そして誰かが見に行ったのか、会場中に聞こえるように声を上げる。
「○○○会社の社長と、○○○製薬会社の社長と、○○○報道会社の社長と×××SP会社の社長が来てるみたいだぞ!」
「え、ホント?」
「見たい見たい!」
「あんな美形を揃って見られるなんて滅多に出来ないわよ!」
言われた4つの会社は名前くらいなら誰もが知ってる王手ばかりだ。だからか会場中(特に女性)が色めき立っている。
そういえば、とても顔が整っていて雑誌の表紙になったりしてるって聞いたことがあるな。
こんなにもみんなが色めきたっているのなら、今度どんな人か本屋に行って見てみようかな。
「ねぇ、佐藤さん。佐藤さんもあの4人の事見たいよね?」
「いえ、特に」
雑誌の表紙に乗ってるならそれを見てみようかとは思うけど、別に実物を見たいとは思わないかな。
「いやいや、見たいでしょ?見たいよね?」
「いえ、別に」
あの、どうしてA子に腕を掴まれているのかな?
「わかる~私も見たいもん!見たいなら近くで見ないとそんだよねぇ」
「あの、ちょっと…」
B子まで腕を掴んできてなにをするつもり。
「そんなに見たいなら、行ってきた、ら!」
「わっ、」
腕を引っ張られて会場の外へ出たかと思うと、少し人の集りが出来ている中心に向かって背中を押された。
背中を押されたことでバランスを崩して無様に床に転んでしまう。
「佐藤さん大丈夫!?」
「私達は止めたんですけど、彼女がどうしても皆さんのことを見たいと言って…」
おいA子B子、有名会社の社長さん達に話しかけたいからって私を利用しないでよ。
話しかけたいなら自分で話しかければいいでしょ。
膝も打ったし最悪。やっぱり同窓会なんて来なきゃ良かった。
191
お気に入りに追加
110
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

義母様から「あなたは婚約相手として相応しくない」と言われたので、家出してあげました。
新野乃花(大舟)
恋愛
婚約関係にあったカーテル伯爵とアリスは、相思相愛の理想的な関係にあった。しかし、それを快く思わない伯爵の母が、アリスの事を執拗に口で攻撃する…。その行いがしばらく繰り返されたのち、アリスは自らその姿を消してしまうこととなる。それを知った伯爵は自らの母に対して怒りをあらわにし…。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる