役目を終えて現代に戻ってきた聖女の同窓会

しあ

文字の大きさ
上 下
2 / 7

参加なんてしたくない!

しおりを挟む




家に帰って改めて同窓会の添付写真を見てみる。


げ、開催される場所って、ウチの会社の支社が入ってるビルじゃん!
しかもその日、私がヘルプで入ることになってるし…。
うわぁ…最悪。


時間は…。


就業時間より30分遅い…。
エレベーターで1階に降りた時にフロントで同級生と会う可能性あるじゃん!


それなら、残業して…いや、この日はノー残業デーで定時退社が義務付けられてる日じゃん!
いつもは嬉しいけど今回に限っては恨みたくなるノー残業デー!


むー。
これは定時で速攻1階に行って帰るしかない!
いくら私のメンタルが異世界で鍛えられたからと言っても、虐めて来た人に会うとか面倒!
仕事終わりになんで嫌な人たちの顔を見なきゃいけないのよ。


あんな人達には二度と会いたくない。


そう思っていた時期もありました。


「あれ?佐藤さんじゃない?」


げ、同窓会の日だから直帰しようとしたら、私を虐めていたA子(名前忘れた)に話しかけられてしまった!
てか、なんで私だってわかったの。マスクしてるし眼鏡もかけてますよね?


「え~スーツで同窓会に出るの?相変わらず変わってるね」


年甲斐もなくキャッキャとバカにしながら話しかけられちゃった。
私達、今年で25…あ、私は早生まれだから皆は26歳か。
26際が未だに高校の時みたいにキャッキャウフフ…痛くない?


いや、26歳って言っても、まだまだ若いと思うよ?思うけど、高校の時のキャラのままで行くのってキツくない?
流石にこの歳になるとある程度落ち着いているものだと思うのだけど。


「ねぇ、もしかして私が佐藤さんに高校の時ちょっとイタズラしちゃったりしたの、根に持ってるの?流石に引きずり過ぎじゃない?」


私が相手をしたくなくて黙っているのをどう勘違いしたのか、そんなことを言ってくる。


いや、あれはイタズラの域超えてたでしょ。
教科書破られるし、お弁当は床に投げ捨てられるし、机もほとんど毎日どこかに捨てられてたし。
今思えば、この人たち暇だったんだな。よく毎日続けられたよ。逆になんか感心しちゃう。


でも、引きずり過ぎって、虐められたら普通に覚えてるに決まってるじゃん。あんなに苦しかった記憶をそう簡単に忘れられるわけもないし、許せるわけもないよね。


というか、こんな人と話してるなんて時間の無駄だから帰ろ。


「ちょっと、ちょっと~どこ行くの?同窓会はこの上でしょ?」
「あの、急いでいるので離してください」
「は?私が優しく話しかけてあげたのに何なのその態度?」


別に頼んでませんが?
話しかけてあげたとか、ありがた迷惑…いや、ただの迷惑でしかないですし。


「ここのビル、私の旦那が働いてる会社の持ち物なの。あんたここのビルで働いてるって言ってたけど、旦那に言って貸さないようにしてあげようか?」


貸さないようにって、ただ会社で働いてる人がそんな権限無いでしょうが。


「私の旦那、重役だからね」


だからなんですか?
むしろ何の問題も起こしていない会社を、重役の一言で貸さないとかなったら会社のイメージ悪くなると思うけどな。


「あれ?宮ちゃんもう来てたの~?」
「あ!みっちゃん!久しぶり~。ねぇ、ねぇ、私今誰と一緒にいると思う?」


うわぁ…新たないじめっ子が来ちゃったよ。
名前が分からないからB子でいいか。


「え?だれだれ?え、マジで?佐藤さん?同窓会とかよく来れたね」


B子めっちゃ笑ってるね。
よく来れたね、とか言われても来てませんし。退社しようとしたらA子に捕まったただけですし。


「今さぁ、私が同窓会に一緒に行ってあげるって言ったのに、佐藤さんのくせに断るの」
「ええ、マジで?」


おいA子あんた一度も一緒に行こうなんて言ってないでしょうが捏造するな。


「ちょっと佐藤さぁん、高校の時の事まだ根に持ってんの?せっかく宮ちゃんが仲良くしてあげようとしてるのに断るとかないんじゃない?」


根に持つと言うか、忘れられるとでも思ってるのかこの人達?人として頭悪そうと思ったけど、末期ですね。
私が聖女の力をまだ使えてたら頭にヒールかけてあげたくなるわ。


いや、聖女のヒールでもあの頭の悪さは治らないか。


「ねぇ、なんで黙りなの?」
「もういいから連れてこ」
「ちょっと、止めてください」


無理やり2人で脇を固めて連れて行こうとしないでよ。
私は同窓会になんて絶対に行かないから。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

義母様から「あなたは婚約相手として相応しくない」と言われたので、家出してあげました。

新野乃花(大舟)
恋愛
婚約関係にあったカーテル伯爵とアリスは、相思相愛の理想的な関係にあった。しかし、それを快く思わない伯爵の母が、アリスの事を執拗に口で攻撃する…。その行いがしばらく繰り返されたのち、アリスは自らその姿を消してしまうこととなる。それを知った伯爵は自らの母に対して怒りをあらわにし…。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

処理中です...