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計画開始です。

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 今までの復讐…いえ、婚約破棄の準備として、まずは両親を説得しなければ。


「お父様、お母様、今度のケイト様の誕生日パーティに沢山の方を招いてお祝いして欲しいの」
「いいぞ、彼の誕生日は丁度来月だったな」
「はい、成人になられる歳でもあるので、今までとは違う特別なことをして差し上げようと思っているのです」
「まぁ、婚約破棄したいなんて言っていたのに、本当は照れ隠しだったのね」


 そんなわけあるはずがない。
 だけど、誕生日パーティまでの我慢だ。
 きっと、誰もが記憶に残る誕生日パーティになるはずだから。


「で、なにがしたいんだ?」
「それはですねーーー」


 両親と綿密なパーティの打ち合わせをして、いよいよ待ち望んだ日が来た。


 お父様に頼んで今回は王族の方にまで来ていただいたのだ、失敗は出来ない。
 はやる気持ちを抑えながら、ケイトと一緒に挨拶をしていく。


 いつも通り、にこやかに挨拶をしているが、腹を立てているのが伝わってくる。
 元々、こういう高貴な場が苦手な彼からすれば、こういう行事が苦痛で仕方ないのだろう。


 だけど、これで準備が全て整った。


「ケイト様、少し疲れたので部屋で少し休みませんか?」
「ああ、疲れていたのに気付かなくてごめんね。大丈夫かい?」
「はい…お気遣いありがとうございます」


 心配そうな顔をしながら見てくるが、演技してるのが丸わかりだ。


「さぁ、僕の腕に掴まって。辛いなら、抱き上げて行こうか?」
「そうしていただけますか?」
「、もちろんだ」


 一瞬顔を歪めたけど、周囲に人がいるので瞬時に表情を戻して私を抱き上げる。
 断ると思ったのでしょうけど残念でした。
 計画を完璧にする為には、貴方にイラついてもらう必要があるんだから。


「それじゃあ、抱き上げるから僕に掴まって」
「はい…」
「やっぱりケイト様は素敵だわ。疲れた婚約者を抱き上げて運んであげるだなんて」
「本当に、非の打ち所のない素晴らしい方よね」


 周りから聞こえてくる声に内心ほくそ笑む。
 ああ言っている令嬢方は、本当の彼を見た時にどんな反応をするのか楽しみで仕方ない。


「着いたよ。大丈夫?部屋でゆっくり休もうか…」
「そうですね」


 周囲の目を気にして心配そうな演技を続けるケイトだが、部屋に1歩入れば。


「あー重かった。お前重すぎだろ…痩せろよデブ。デブって生きてるだけで有害だからマジで痩せろ。てか、そんな重いくせによく俺に抱き上げてもらおうなんて思ったな」


 いつも通りの罵倒が飛んでくる。


「すいません…」
「はぁ?謝って済むと思ってんの?てか、こんな馬鹿みたいなパーティ開いてどういうつもりだよ!俺がこういうの苦手だって知ってるよな?なのに何だよこれ!」
「ただ、貴方に喜んで欲しくて…」


 出来る限り悲しそうな声を出して俯く。
 そんな私に、ケイトは聞こえるようにため息をついてくる。


「気を使えない奴だとは思ってたけど、まさかここまでとはな!こんなパーティに金掛けるんだったらプレゼントに金掛けろよ。で、俺へのプレゼントは?」
「これです…」


 部屋に用意してあった箱をケイトに渡せば、乱雑に包装を破って中を確認する。
 そして盛大に顔をしかめる。


「なんだよこれ…」
「ケイト様を想って刺繍したハンカチです」
「チッ、これだから貴族の令嬢は嫌なんだよ。何が刺繍したハンカチだ。こんなん貰って誰が喜ぶんだよ!刺繍とか気持ちわりぃんだよ!」


 こちらの予想通りの反応をしてくれるので、こっちもなんだか楽しくなってくる。


「すいません…カトリーナ嬢が誕生日プレゼントにはこれがオススメだと教えて下さったので…」
「カトリーナ?ああ、あの化粧が濃くてやたら話しかけてくる女か。俺がイケメンなのは分かるけど、何で女ってのはああやって擦り寄って来るのかね。見た目を取り繕うことしか能のないアホどもが、鬱陶しいんだよ」


 おお、この発言はかなりの人数を敵に回したんじゃないかな。
 いいね、もっと言って欲しいところだ。


「そんな…ご令嬢達は皆さん素敵な方たちばかりですよ」
「ハッ、お前筆頭にバカしかいねぇだろうが!お茶飲みながらどうでもいい話して時間潰してんだろうが」
「それは貴族の嗜みです。王族の方達もされる交流の場なんですよ」


 さて、今度は王族の方を敵に回してもらいましょうか。


「王族なんて、ただ税金で贅沢な暮らししてる奴らだろ?そりゃ、無駄に金使って時間も潰すだろうよ。アホみたいに長い話をタラタラ話すのが得意だろ。毎回毎回、会う度に面白くもない話されるこっちの身にもなれって話だ」
「それはあまりにも不敬ですよ」
「何が不敬だ。お前の方が不敬だろうが!もっと俺を敬って楽させろっていつも言ってんだろうが!今日もどれだけ俺が疲れたと思ってんだ!クソが!だいたいなーー」


 いつものノンストップ罵倒が始まった。
 王族の話が長いと言ってたけど、それは盛大なブーメランだ。ケイトだってかなり話が長い。


 ダラダラとひたすら文句ばかり。
 いつもは鬱陶しいけど、今回は計画のために全ての話を泣きながら聞いてあげようかな。


「すいません…全て私が悪いんです…」
「分かればいいんだよ。次にこんな馬鹿げたパーティ開いたらタダじゃ置かねぇからな!」
「はい…絶対にしません…」


 だって、次なんてないから。


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