婚約解消された私は醜い公爵令息と婚約することになりましたが、今の方が断然幸せです。

しあ

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ルーファス視点

子猫ちゃんの本性

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「ルーファス様って、稀代のポンコツ王子って言われてますけど、本当にその通りですよね」
「ぼん…」


なんだと?俺はそんなことを言われたことは1度もないぞ。
誰だそんな事を言うやつは。不敬罪で今すぐ首を落とされても文句は言えないぞ。


「あ、もしかしてポンコツって言われてることすら気付いてませんでした?流石ポンコツ王子ですね」


ニッコリと笑う子猫ちゃんには、もう前のように弱弱しい姿がない。
これでは、見た目が同じで中身だけ別人と入れ替わったと言われた方が納得いくくらいだ。


「どうしたんだい子猫ちゃん?最近、俺への当たりが強い気がするんだが、なにかあったのかい?」
「前から思ってたんですけど、その子猫ちゃんって気持ち悪いんで止めてもらえます?言われる度に寒気がするですよね」


爪をいじりながら、こちらを見ずに気だるげに言ってくる。


「気持ち悪い…」
「今までルーファス様を落とす為に可愛い子を演じていましたけど、もう疲れたって言うか、どうでも良くなったんですよね」
「演技…?」


嘘だろ…。
あんなにも俺に恋い焦がれたように見てきたあの瞳が嘘だなんて、あるわけが無いだ。


「嘘をつくのは感心しないな」
「ルーファス様って、本当に騙しやすいですよね。胸をくっつけて上目遣いするだけで簡単に落ちるんですから。でも、落とした所で意味はなかったですけど」
「意味が無い、とは?」


そう聞けば、苛立ったように深くため息をついて話し始める。


「私、エリーナ様が嫌いなんですよね。涼しい顔してなんでも完璧にこなして、見た目も良くて、その上公爵令嬢なんてズルいじゃないですか」
「ズルい?」
「ええ、公爵家に生まれたってだけで周りからチヤホヤされて、王子の婚約者にもなれるんですよ?私なんて、この可愛さを武器に高位貴族の令息を落としてやっと王子が参加するパーティーに出席出来るくらいなのに」


そういえば、子猫ちゃんの家はあまり聞いたことの無い名前だったな。


「私は見た目が良くても貧乏で、必死に周りに媚びを売って高位貴族と結婚しようと頑張っているのに、あの女は何も苦労せず王子と結婚出来るなんて、ズル過ぎますよ」


ずるいと言っても、貴族社会ではそれは当たり前のことだろうが。王族とて、今後の為に高位貴族と繋がりを持っておかなければ面倒な事になるのだから致し方のない事だ。
だが子猫ちゃんにはそんな考えは無いのだろうな。
まぁ、俺もあまりそんな事は気にしていないが。


「あっちは何も頑張らずに王子と婚約。頑張っていた私は醜い公爵令息と婚約させられそうになるなんて、理不尽ですよ」
「待て、もしかしてそれは…」
「そうですよ。あのワーズス様と私は、1度婚約の話があったんですよ」


そんな事は聞いたことがなかったぞ。


「断られましたけど」
「なんだと?」


あの万年婚約者なしの男が子猫ちゃんの婚約を断ったのか?
アイツはバカなのか?


「なんでも、好きな人がいるから私とは婚約できないとかで、こんなにも可愛い私の事を面と向かってふったんですよ、あの男」


その時のことを思い出しているのか、悔しそうに顔を歪めている。


「あの顔でよくそんな事が言えましたよね。あんなデブで不細工な男の婚約者になんてなりたくなかったですけど、まさかフラれるなんて思ってませんでしたよ!ホント、何様なのよ!」


子猫ちゃんが苛立ちを隠さず近くにあった枕を床に投げ捨てる。


「でも、その時ふと思ったんですよ。いつも涼しい顔をしたエリーナ様もあの男にフラれてショックを受ければいいなって」
「もしかして、君が俺に近付いたのは…」
「エリーナ様があの男にフラれる為には、まずルーファス様との婚約をどうにかしなければいけなかったし、あの女を蹴落として王子の婚約者になれば、すごく気分が良さそうだなって思ったんですよね」


ニッコリと笑う子猫ちゃんの顔は、出会った頃の純粋で可憐なものと同じだった。
もしその笑顔が乱れたベッドの上で体にシーツを巻き付けている格好でなければ、きっと俺は子猫ちゃんが元に戻ってくれたのだと喜んでいただろうな…。


「でも、まさかあの二人がいい仲になるなんて予想外でしたよ。しかも、痩せたワーズス様があんなにもイケメンだったなんて予想外過ぎましたよ。もし最初からイケメンだって知っていたら、ルーファス様みたいなバカをあの女から奪わなかったのに」


誤算だと嘆く彼女に、俺は怒ればいいのか悲しめばいいのか分からなかった。


「イケメンだって知ってたら、あっちを本気で落としに行ってたのに…」


子猫ちゃんと出会ってから、やっと俺のことを理解出来る女が現れたと思っていたのに。
まさか、エリーナを貶める為だけに俺に近付いただけだったとは…。


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