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早朝のバルコニーで 3
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ワーズス様はありえないというように声を上げられますが。
「そうでしょうか?」
求められた課題をこなせなければ食事を抜かれることもありましたし、罰として厩で一晩過ごした事もありましたので、家から追い出されたこともなんら不思議に思いませんでしたわ。
「若い女性を外に1人で追い出すなんて。それも、侍女が身の回りの事をして当たり前の貴族令嬢を1人で外に出すなんて、そんなの死ねと言っているようなものだろ!」
侍女はいましたが、お父様がお怒りの際は侍女が全員消え、身の回りの事は全て私自身でこなさなければいけませんでしたので、特に問題はありませんが…。
私の事を心配して下さっているのか、ワーズス様はふくよかなお腹をタプンタプンと揺らしながら怒ってくださっている様です。
「心配して頂いてありがとうございます。ですが、私はこうしてワーズス様に助けていただき生きていますので何も問題ありませんわ」
「それは結果論だろ!もしもここに来るまでに何かあったらどうしていたんだ!」
「それは…起こっていないので分かりませんわ」
「…………貴女は見た目によらず大胆な人なんだな」
そうなのでしょうか?
もしそうなのだとしたら、きっとルーファス様との婚約破棄で色々と吹っ切れたからかもしれませんね。
「あ…」
「どうかしたのか?」
「日が…昇りきってしまいましたね……」
ワーズス様とお話をしていて気付きませんでしたわ。
せっかく日の出が見れると思ったのですが、残念です。
「日の出くらい、また見ればいいだろ」
「また…」
「ああ。だが、その時は今みたいな薄着じゃなくて、ちゃんと上着を着てこいよ」
「はい、そういたします。ありがとうございます」
「……別に礼を言われることじゃない」
ぶっきらぼうにそう言われますが、また見ればいいと言うことは、私の事をまだここに置いて下さると言うこと。
それがどれほど嬉しいことか、きっとワーズス様はご存知ないのでしょうね。
お父様に出て行けと言われて出て来ましたが、本当は不安でいっぱいだったのです。
それに、ワーズス様の事は噂程度にしか知りませんでしたし、お会いするまでは追い返されても仕方ないと思っておりました。
ですがワーズス様は私の事を追い出すことはなく、それどころかとても素敵な部屋や食事を用意して下さいました。
本当に感謝してもしきれませんわ。
「あの、ワーズス様」
「ん?なんだよ」
部屋へ入ろうとされているワーズス様を引き止めるように声をかければ、口調はぶっきらぼうですが、しっかりと私の方へと振り返って返事をしてくださいます。
しっかりと私の話を聞いてくださろうとする姿も、ワーズス様の素敵なところですわ。
社交界では容姿のことを噂されていますが、容姿などなんの価値があるのでしょうか。
容姿だけで判断し、ワーズス様の人柄を知ろうともしないなんて、皆様本当に損をされていると思いますわ。
「どうしたんだよ?身体が冷えて動けないとか言わないよな?それならすぐに誰か呼んでくるけど」
「いえ、そんな事はございませんので安心してくださいませ」
「そうか。なら、なんだ?」
「あの、また日の出を見る時は、ご一緒していただけませんか?」
途中からとはいえ、ワーズス様と一緒に日の出が見れそうでしたので、出来れば次も一緒に見ていただきたいと思うのです。
ですが、また一緒に見てほしいなんて厚かまし過ぎでしょうか…。
「そんなことか。別に良いが、俺が起きてる時だけだ。それでもいいか?」
「はい…!はい!ありがとうございます!」
「だから、別に礼を言われることじゃない…。そろそろ朝食だから貴女も早く中に入れよ」
「はい、そうします。ありがとうございました、ワーズス様」
「いや、だから……。まぁ、いいか。それより、俺のことはリックスでいい………一応、婚約者なのだから」
最後は早口でそう言い残し、ワーズス様、いえ、リックス様は今度こそ部屋へと戻られた。
残された私はということ、少し恥ずかしそうにメガネの奥で目を逸らされたリックス様の顔があまりにもお可愛らし過ぎて、悶えておりました…。
なんですの…。
男性にこれ程までに胸がときめいた事は初めてですわ!
目を逸らしながら目にかかるほど長い前髪を触られていたのも照れ隠しだと分かってしまうので、とてもお可愛らしくて気を抜けば頬がだらしなく緩んでしまいそうですわ…!
この感情はなんなのでしょうか…。
リックス様とは婚約者になったのですから、友好的に接していただければ嬉しいと思っていただけですが、もっとリックス様のことを知りたくなりますわ。
今で少し打ち解けられたと思いますし、朝食の後にリックス様に話しかけてみましょうか。
「そうでしょうか?」
求められた課題をこなせなければ食事を抜かれることもありましたし、罰として厩で一晩過ごした事もありましたので、家から追い出されたこともなんら不思議に思いませんでしたわ。
「若い女性を外に1人で追い出すなんて。それも、侍女が身の回りの事をして当たり前の貴族令嬢を1人で外に出すなんて、そんなの死ねと言っているようなものだろ!」
侍女はいましたが、お父様がお怒りの際は侍女が全員消え、身の回りの事は全て私自身でこなさなければいけませんでしたので、特に問題はありませんが…。
私の事を心配して下さっているのか、ワーズス様はふくよかなお腹をタプンタプンと揺らしながら怒ってくださっている様です。
「心配して頂いてありがとうございます。ですが、私はこうしてワーズス様に助けていただき生きていますので何も問題ありませんわ」
「それは結果論だろ!もしもここに来るまでに何かあったらどうしていたんだ!」
「それは…起こっていないので分かりませんわ」
「…………貴女は見た目によらず大胆な人なんだな」
そうなのでしょうか?
もしそうなのだとしたら、きっとルーファス様との婚約破棄で色々と吹っ切れたからかもしれませんね。
「あ…」
「どうかしたのか?」
「日が…昇りきってしまいましたね……」
ワーズス様とお話をしていて気付きませんでしたわ。
せっかく日の出が見れると思ったのですが、残念です。
「日の出くらい、また見ればいいだろ」
「また…」
「ああ。だが、その時は今みたいな薄着じゃなくて、ちゃんと上着を着てこいよ」
「はい、そういたします。ありがとうございます」
「……別に礼を言われることじゃない」
ぶっきらぼうにそう言われますが、また見ればいいと言うことは、私の事をまだここに置いて下さると言うこと。
それがどれほど嬉しいことか、きっとワーズス様はご存知ないのでしょうね。
お父様に出て行けと言われて出て来ましたが、本当は不安でいっぱいだったのです。
それに、ワーズス様の事は噂程度にしか知りませんでしたし、お会いするまでは追い返されても仕方ないと思っておりました。
ですがワーズス様は私の事を追い出すことはなく、それどころかとても素敵な部屋や食事を用意して下さいました。
本当に感謝してもしきれませんわ。
「あの、ワーズス様」
「ん?なんだよ」
部屋へ入ろうとされているワーズス様を引き止めるように声をかければ、口調はぶっきらぼうですが、しっかりと私の方へと振り返って返事をしてくださいます。
しっかりと私の話を聞いてくださろうとする姿も、ワーズス様の素敵なところですわ。
社交界では容姿のことを噂されていますが、容姿などなんの価値があるのでしょうか。
容姿だけで判断し、ワーズス様の人柄を知ろうともしないなんて、皆様本当に損をされていると思いますわ。
「どうしたんだよ?身体が冷えて動けないとか言わないよな?それならすぐに誰か呼んでくるけど」
「いえ、そんな事はございませんので安心してくださいませ」
「そうか。なら、なんだ?」
「あの、また日の出を見る時は、ご一緒していただけませんか?」
途中からとはいえ、ワーズス様と一緒に日の出が見れそうでしたので、出来れば次も一緒に見ていただきたいと思うのです。
ですが、また一緒に見てほしいなんて厚かまし過ぎでしょうか…。
「そんなことか。別に良いが、俺が起きてる時だけだ。それでもいいか?」
「はい…!はい!ありがとうございます!」
「だから、別に礼を言われることじゃない…。そろそろ朝食だから貴女も早く中に入れよ」
「はい、そうします。ありがとうございました、ワーズス様」
「いや、だから……。まぁ、いいか。それより、俺のことはリックスでいい………一応、婚約者なのだから」
最後は早口でそう言い残し、ワーズス様、いえ、リックス様は今度こそ部屋へと戻られた。
残された私はということ、少し恥ずかしそうにメガネの奥で目を逸らされたリックス様の顔があまりにもお可愛らし過ぎて、悶えておりました…。
なんですの…。
男性にこれ程までに胸がときめいた事は初めてですわ!
目を逸らしながら目にかかるほど長い前髪を触られていたのも照れ隠しだと分かってしまうので、とてもお可愛らしくて気を抜けば頬がだらしなく緩んでしまいそうですわ…!
この感情はなんなのでしょうか…。
リックス様とは婚約者になったのですから、友好的に接していただければ嬉しいと思っていただけですが、もっとリックス様のことを知りたくなりますわ。
今で少し打ち解けられたと思いますし、朝食の後にリックス様に話しかけてみましょうか。
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