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四章 9歳(色々制限中・・・)

他が気になっても人と話をするときは話し相手を見ましょう

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「あ゛~~酷い目にあったわ。
 二人ともエルちゃんにある程度現実見せないとダメよ~」

後半ぼそぼそと言ってたので聞こえませんでしたが、
何かあったのでしょうか。
私も原因の一端っぽいのでとりあえず誤っておきましょう。

「迷惑かけてしまいましたね。
 すみません」

「・・・エルちゃん、とりあえず誤っとけばいいやって考えてない?」

ビクンッ!

「しょ、そんなことないでしゅにょ?
 ご、ごほん。
 と、ともかく、研究内容から一度離れましょう。
 切りがありませんし、今度お父様とお母様が一緒にいるときにしましょう」

うう、由香さんがめっちゃジト目で見てくるよぅ。

「はぁ・・・まあいいわ。
 とりあえず、防音の確認のために用意が必要ね。
 私達が今音を出すやり方だと、あの小屋が吹き飛びそうだし、
 大人しく買い物に行きましょう」

由香さんの言葉に皆何かを考えて、一斉に顔を合わせて頷きます。
想像したのは多分皆同じ光景ですね。

・・・

さて、あの後直ぐに・・・は無理でした。
話が脱線しまくってたせいで、戻ると街に出るにはちょっと遅い時間でしたので。
翌日、淑女教育(拷問)を終えて、街に出てきました。

今日は街に出るということで淑女教育を早めに切り上げるため、
お母様とメイド長も教育に参加・・・
おかげで馬車の座席に座るのが怖く・・・ないですよ?
お尻庇ったりとかないですからね?本当ですよ?
・・・うう、お母様容赦ないんだもん・・・ぐす。

話が逸れました。
私達は今、何故か武具等を作っている鍛冶屋に来てます。
鍛冶屋といってもこじんまりとしたものではなく、
大きな倉庫のような建物です。
表に総合鍛冶屋という看板がなければ煙突が幾つも付いた倉庫にしか見えません。
あれ?銅鑼だったよね?

「えっと・・・私達が買いに来たのって銅鑼だったと思うのですけど」

「そうよね・・・雑貨は・・・ちょっと違うか、でもそういうところだと思ったのだけど」

私と由香さんが何かおかしいと話をしていると、
アレッサが躊躇なく中に入っていきます。

「私達も行きましょうか。
 何か間違ってる気はしますが」

「そうね、楽器が発展してないんだもの。
 きっと金属を扱うということで、ここなのね。
 金管楽器とか武具とは違うんだけど・・・どうしよう・・・」

そう話しながら私達も入ります。
入るとむわっとした熱気が伝わってきます。
うう、やっぱり鍛冶場だとそうだよね。
そう思いながら周りの温度を調節します。
これでも魔法の細かい調整ができるようになってるんです。

周りを見ると正面に受付、左右に道があって看板があり、
看板には鍛冶場と作成物展示と書かれています。
展示・・・気になる。
いやいや、まずは受付へ。

「すみません、展じゃない・・・
 ん?アレッサ、どうしました?」

アレッサが受付の背の低い可愛い女性と少し困った感じでいます。

「銅鑼があるか聞いてみてるのですが、
 もう何年も作成していないそうで、倉庫の方にあるかどうか確認するとのことです」

「これから倉庫の管理者に連絡して在庫があるか確認させますが、
 かなり古いものになるかもしれませんし、在庫がないかもしれません。
 何分数年・・・いえ、もしかしたら10年以上作成をしておりませんので・・・」

由香さんと「あ~、それはそうか」と顔を合わせます。
音楽発展してなくて大きな音鳴らす物の需要ってそんなもんですよね。

「でしたら、材料とか混合比とかの情報をいただけたりしますか?
 作成の依頼をするにしても、10年以上作られていないものですと、
 作成してくれる方もあまりいい顔をされないのではないですか?
 銅鑼のようなものは面白みもなさそうですし」

そういうと受付のお姉さんは胸を軽く抑えながら「あははぁ・・・」と少し目をそらします。

「とりあえず、倉庫から出すのも面倒でしょうし、
 そちらの情報を購入ができれば購入したいです」

「材料と混合比の情報はあります。
 ただ、他の情報も一緒に管理されているので、写しを用意しますので、
 暫くお待ちいただけますか」

「わかりました、ではそれまで展示品を見させてもらいますね」

「では、暫くお待ちください」

受付の人は深く礼をして、急いで奥へ引っ込んでいった。

「はぁ・・・予想しておくべきでしたね。
 楽器というか大きな音を出すものが全く発展していない状態で、
 銅鑼が普通に売っているはずないですよね」

「そうだね。
 こればっかりは考えが足りてなかったよ。
 まあ、成分表がわかれば楽器の研究にも生かせるだろうし、
 これが一番よかったのかもしれないね」

あ、確かにほかの楽器研究もあるのか。
でも銅鑼・・・役立つ?
まあ、シンバルとかならワンチャン?
他の金管楽器の材質もわからないから、利用できる?
うん、さっぱりわからん。

「まあ、役立つかどうかはおいおい考えていきましょう。
 それよりも~展示品見てみましょう♪」

アレッサがジト目で私の顔に触れるかどうかの位置まで近づけ

「エル様、さっきからずっと展示コーナーを気にしてますよね。
 チラチラ彼方の方を見ているの気づかないとでも思いましたか?
 人と話をする際、気を付けることは何でした?」

「ア、アレッサ・・・か、顔近いから・・・あ、いえ、その、ご、ごめんて」

「あ゛?」

「申し訳ございませんでしたーーーー!!!」
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