魂つなぐ転移世界 ~私の平穏は何処なのでしょう?~

蒼劉

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三章 8歳(未発見ダンジョン探索開始?)

召喚獣が奪われました・・・

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ギリギリの所を見極めているのか、
危ういところでしたが、大丈夫でした。

「そういえば、エルの方で確保した魔石はどうします?
 ガルフ様方に金銭の分配をするならこちらで買い取りますが」

「そうですね、確かにお母様の言う通りガルフ様方に分配が必要です。
 それに私達では魔石はあまり使いませんし、お渡しします。
 あ、ちょっとダンジョンで召喚獣に魔石を集めてもらっていたの忘れてました。
 後で取りにい・・・いえ、アレッサ、申し訳ないですが取って来てもらえますか?」

取りに行くと言おうとした瞬間、お母様の手に力が入った気がしたので、
慌ててアレッサにお願いします。
く、ダンジョンへ入るなって今からでしたか・・・。
むぅ、意外とこの縛りきついですね。

「あ、そうでした。
 エルに一つ謝らなければならないことがあります」

「え?何でしょう?」

謝らなければならないこと?
お母様から・・・なんだろ?
あ!私を晒し者にしたこととか、痛めつけたこととか?
やっぱり子供にすることじゃな

「ああ、違います。
 それより反省はしていないように見えますが・・・」

「ななな、そ、そんな訳ないではないですか。
 反省してます~!」

「はぁ、全く・・・
 エルからお借りした召喚獣の2体なのですが」

「ああ、あの2体ですね。
 私の所に戻ってないようですから、倒されたとかでは無いようですし・・・何でしょう?」

「言いにくいのですが、私達が討伐した魔物の魔石を食べてしまったのです。
 それで・・・」

「ああ、別に魔石を食べても問題はないと」

「それがかなり大きな魔石を食べてしまって・・・」

お母様がそう言うと、2体ほど鳥と狼が出て来ましたが、
全く見覚えがありません。
あれ?預けた召喚獣ってこんなだっけ?

「フェニックスとフェンリルへと進化しました」

「はぇ?フェニックス?フェンリル?」

えっと、物語とかで出てくる神獣じゃなかったっけ?
何があったの?

「それで、どうも私と繋がっているようで、
 エルの召喚獣を奪ってしまった可能性があります。
 一度確認をして貰えますか?」

え?繋がりは・・・ありますね。

「大丈夫そうです。
 繋がりは感じられます。
 あれ?でも、かなり細くなってるような?
 まあいいか、戻って来なさい」

プイっ
二匹が同時に顔を背けます。

「え?
 どうしたんですか、戻りなさい」

此方をちらっと見た後、やっぱり顔を背けます。

「ちょっと!
 何で戻らないのですか!
 戻りなさい!
 ああ~今笑いましたねぇ!?
 こ、この・・・ううぅ、お母様ぁ~、こいつらが~!」

「どうも召喚獣から変化しているようで、
 魔石を取り込んで自分の物にしたようなのです。
 それで完全に自我を持っているようで、
 私の命令は聞くようなのですが・・・」

お母様がそう言うと、二匹がどやぁって感じでふんぞり返ってます。
くっこの子達はぁ!
ふぅ、まあいいです・・・お母様についてくれるという事は、
伝達係は有効だってことですよね。
それならまぁ・・・良いことにしましょう。

「ふぅ・・・いえ、お母様についていてくれるのであれば問題ありません。
 私達との連絡を行う手段として活用してください。
 態度はむかつきますが・・・」

そう言って二匹を睨むと、やっぱり顔を背けます。
く~!覚えてなさい!

「暫くエルはダンジョン禁止ですが、
 その後を考えると確かに・・・
 判りました、では私の方で預からせてもらいます」

でも、鳥と狼の召喚獣が居なくなるのか。
何処かで確保しておきたいな~。

「あの、お母様。
 私の召喚獣から鳥、狼タイプの魔物が減るので、
 何処かで補充したいのですが・・・」

「そうですね・・・
 淑女教育が終わってからと言いたいですが、
 召喚獣も魔力を与え続けると進化するようですから、
 早めに確保しておいた方がいいということですか。
 アレッサとクラリスが一緒でしたら許可しましょう。
 ただし、今回攻略したダンジョンとポケットダンジョンの範囲内だけです。
 攻略したダンジョンの情報は後程旦那様に聞いてください。
 取りまとめた資料を用意してくれるはずです」

「ありがとうございます!
 では、また行く時には連絡します」

「ええ、そろそろ武器の確認は終わるでしょうから、
 戻りましょう。
 今回の武器については辺境伯家で買い取りですが、
 ガルフ様方への支払いを多めにというのはどうしたのです?」

「ああ、ガルフ様方のパーティーは恋人同士で、
 資金が貯まれば結婚するそうですので、その支援・・・でしょうか。
 私も結婚式が楽しみですし」

「なるほど、そう言う事でしたか。
 ですが結婚式でしたらそこまで資金は必要なさそうですが・・・」

「ああ、結婚式だけではなく、結婚後の生活を考えてとのことですよ。
 討伐者は危険ですからね。
 他の仕事を探したりするまでの間の資金もという事ですよ。
 そこまで考えるのが普通かどうかは判りませんけど、
 先のことまでよく考えているなと思います」

「それで応援したくなっているという事ですか。
 だとすると討伐者から大きく離れられないことになってしまうのは
 申し訳なくなりますね」

「ですが新人育成とポケットダンジョンのフロア管理です。
 討伐者のような死の危険はありませんし、
 ガルフ様方も快く受けてくれてますから問題は無いと思いますよ。
 もしそこに住まわれる場合、
 生まれてくる子供の教育にいいかどうかは別ですが・・・」

「住む場所・・・ですか。
 でしたら屋敷の裏、エルが光る苗木を植えた近くに家を用意してはどうです?
 あの辺りなら空いている土地がありますし、
 ポケットダンジョンへの入り口は我家の敷地内に作成しますから、
 近い方が良いでしょう?
 家は・・・あ、結婚祝いという事で、エルが建てるのはどうです?
 設計は出来ないでしょうから、辺境伯家から依頼するとして
 ・・・」

そうして私とお母様はおっちゃん達の結婚、結婚後の話で盛り上がり、
我家の傍に家を建てるという事が、
おっちゃん達が居ない間に決まるのでした。
アレッサ達が手を頭に当てて溜息をついていました。
そして「やっぱり親子か」という呟きは私達には聞こえませんでした。
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