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三章 8歳(未発見ダンジョン探索開始?)

いろんな意味でまぢか~って状態です

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次の日、討伐を進めるために防壁の上で準備します。
今日は曇りなので雨は大丈夫ですが、
何時振ってもおかしくないので、屋根を設置します。

う~ん・・・強い風とか吹くと雨入って来そうですけど、
大丈夫でしょう。
とりあえず、防壁というか堀の前にドラゴン各種とヒドラを召喚します。
飛べるドラゴンは空から警戒してもらって、
他は木々を抜いてもらうためですね。
道を作らないといけないですから。

「では、どういう形で進めますか?
 いつも通り、クラリスと由香さん頼みです?」

「そうですね・・・本来でしたら森を歩いて進むのでしょうけど、
 やはり危険ですからね。
 安全な方法がありますからね。
 後は、そちらの召喚獣をどんどん前進させて・・・とかでしょうか」

アレッサが考えながらそう言うと、
メイド長がちょっと嬉しそうに

「あら、私が前に出てもいいですよ?」

「いえ、ややこしくなるのでメイド長は引っ込んでいてください」

アレッサが速攻で却下します。

「残念。
 仕方ありませんね」

メイド長が肩をすくめて少し残念そうにします。
どんだけ前に出たいんですか・・・
私の中のメイド長の聖母のようなイメージが原型ないぐらいぼこぼこです。

「それなら魔物をあぶりだしたりするのに、
 召喚獣を突っ込ませますか?
 ちょっと危険があるかもしれませんが・・・
 遠距離攻撃者がそれなりに居ますし。
 そういえば、メイド長は遠距離攻撃手段ってあるのです?」

私がメイド長に質問すると
アレッサがギョッとした顔をします。
あれ?何かおかしなこと言っちゃいました?

「ありますよ。
 本当は近距離の方がいいですが、遠距離で参加しましょうか」

そう言いながら取り出したのは、錨に鎖を付けた物でした。
明らかに体重より大きい物ですけど、
メイド長の体全然ぶれないですね。
あ、いや、そうじゃなくて

「え?えんきょ・・・り?」

私がそう呟くと、メイド長がニコニコしながら

「はい、久しぶりに使いますけど、
 大丈夫だと思いますよ?」

違う、聞きたいのはそれじゃない。
え?それって遠距離攻撃武器なの?
普通に考えて射程数mあるかどうかじゃないの?
あ、いや遠距離と言えば遠距離だけど、弓とか銃とかで狙う距離だよ?
防壁から堀があるから普通に攻撃するなら20mとかで
あれ?私がおかしいの?
周りを見ると、アレッサが頭に手を当てて溜息をついていて、
他の皆は私と同じように驚いていますね。
あ、ソフィアは普通にしています。

「はぁ、皆さんがびっくりするのは当然かと思います。
 エル様、大丈夫です。
 不思議だとは思いますが、あれでも射程は最低200mはあります」

「はぁ!?どう考えてもメイド長より重量あるでしょう!?
 そんなの投げれるなんて物語の中だけですよ?
 あんなの振り回したら自分が吹き飛ぶでしょう!?」

「わかります、ひっじょ~~に良くわかります。
 重力制御をうまく生かしているものだと思ってください。
 そう思わないとやってられませんから」

アレッサが何か必死に訴えかけるような感じでそう言います。
うん、出来るってことだけで、あまり聞かない方が良いんでしょうね。

「・・・あ・・・はい・・・。
 で、ですが、近場は大分減っているので、
 倒そうと思うとかなり遠くになりますが」

そこまで言ったところでメイド長が

「えい♪」

そんな可愛い掛け声で、錨を投げます。
錨はものすごい勢いで飛んで行って、
木々を薙倒しながら500mぐらい先に着弾し、
爆音響かせて土煙が立ち上ります。
えと・・・爆発物でも設置したっけな?
魔物に当たったのかどうかは判りませんが・・・
クラリスと由香さんのびっくりしたというか、
あり得ないというような顔を見る限り当たっているのでしょう。

「そい♪」

そう言って鎖を引くと錨がメイド長の元へ戻って来てキャッチします。
・・・もう、何でもいいです。

「はは、メイド長も遠距離攻撃手段持っているようですね~。
 では遠距離攻撃手段を持っている人は此処から魔物を討伐していきましょうか~」

「お嬢・・・目が死んでるが大丈夫か?」

おっちゃんが気まずそうに聞いてきます。

「大丈夫なわけないでしょう!?
 何なんですかあれは!
 どうしたらそうなるんですか!?
 もうどうにでもなれって思っても仕方ないと思いませんか!?」

私は着弾地点を指さしたり、頭を抱えたり
忙しなく手を動かしながらおっちゃんに詰め寄ります。

「お嬢、言いたいことは判るが、落ち着いてくれ!」

「これが落ち着いていられ」

スパパーン!

アレッサとクラリスに顔面と後ろ頭をハリセンで叩かれます。

「「落ち着いてください」」

「ばい、落ち着きまじだ」

痛くはありませんが、衝撃が凄いです・・・
ですが、とりあえず落ち着きました。

「と、とりあえず、遠距離で攻撃できる人は遠距離で魔物を討伐してください。
 あ、別に一撃で葬らないととか考えなくて大丈夫ですので、
 気にせずどんどん攻撃してください。
 近場に魔物が居なくなったら、防壁をどんどん転移門の方へ伸ばしていくので、
 伸ばすときは言いますね」

ふぅ、とりあえずこれでいいでしょう。
しかし・・・辺境伯家パーティーでまともなのは私だ
「「それだけはありえません」」
け・・・え?
おかしいな声は出してないはず。

「エルちゃん、顔見たら判るよ?」

・・・まぢで?
周りを見ると皆が頷きます。
まぢか・・・
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