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三章 8歳(未発見ダンジョン探索開始?)

偶には私に優しくしてもいいのですよ?

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「えぐ・・・えぐ・・・わざとじゃないもん・・・ふぐ・・・違うんだもん・・・
 ちょっとだけ・・・うぐ・・・くしゃみが・・・
 ひっく・・・我慢できなかった・・・だけなんだもん・・・」

傍に居る時にしてくれと説教されました。
ただ、私の弁明も聞き届けられたようで、
今アレッサの尻尾に抱き着いてます。
え?想像できた?でしょうねぇ!
繰り返してますもんねぇ!・・・ふぐ・・・ふえぇ~ん・・・

・・・

「すぅ・・・すぅ・・・」

「エル様、眠ってしまいましたね。
 色々ありましたし、疲れたのもあるのでしょうけど・・・
 魔力制御について早めに出来るようにしないといけないかもしれませんね」

「クラリスの言う通り、少し危ういですね。
 くしゃみ等で過剰に魔力を供給してしまうといったような事が今後もあるかもしれません。
 エル様の魔力はステータスの数値以上に感じられます。
 ハイエルフという種族が実ステータス値を数倍にしてしまうのかもしれません。
 もしくはステータスで見えない何かがあるか・・・
 ですが、制御できるようになってもらわないとエル様自身の体を傷つけてしまう可能性があります。
 外からの敵は私達でどうにかするつもりですが、内側となると・・・」

「そう・・・ですね。
 魔力の過剰放出で体を傷つけるかどうかは判りませんが、気を付ける必要はありますね。
 あと、今回のように魔力を過剰にかけてしまって、
 効果が想像より大きくなりすぎて・・・という事もあるかもしれません。
 魔法についてエル様以上に扱える人は居ないという事で
 訓練はあまりしていませんでしたが、
 魔力量制御での訓練は増やした方が良いかもしれませんね」

「エルちゃん、私達のこと魔王の側近だとか言ってるけど、
 自分は魔王の卵ってところだよね。
 すごく危ない綱渡ってる気がするわ」

「クスッ、由香さんの言う通りですね。
 お嬢様は素質は凄いのですが、自覚があまり無いと言いますか・・・危なっかしいですよね。
 ああ、危なっかしいという意味では、昔の奥様を思い出しますね」

「メイド長・・・あれはエル様とは全く違います。
 奥様は見通されていたのでしょうが、
 私達は振り回されて綱渡りをしたといった感じでしょうか・・・」

「ふふ、そうでしたね。
 すみません、他の方も気になるでしょうが、
 奥様方の過去のことですから、奥様方の了承を得られてから話ますね」

「気になりますが、エルちゃんが知る時に一緒に教えてもらいます」

「では、私はエル様を寝かせてきます。
 食事の準備が中途半端なのですが、メイド長お願いできますか?」

「ええ、判りました。
 お嬢様をお願いしますね」

「お母さん、私も手伝うよ」

「あ、でしたら私もメイド長のお手つだ
 「「クラリスは大人しくしてて!(ください!)」」
 え?わ、判りました。
 他の方にお茶をお出ししておきます」

・・・

んんぅ・・・あれぇ?何で寝てるんだろう?
えっと・・・

「エル様、起きましたか?」

アレッサの声だ、泣いて寝ちゃったんだ。

「はい、起きました。
 泣いて寝ちゃったみたいですね。
 寝室に移動してくれたようですね。
 ありがとうございます」

「いえ、エル様もお疲れでしたし、
 急ぐ必要もなくなりましたので、もう少し休憩を取ってもよかったですね。
 明日以降はもう少しゆっくり進みましょう。
 二日でワンフロア攻略というのはかなりのハイペースですから」

アレッサが私の横に座り、久しぶりに頭を撫でてくれながらそう言います。
やっぱり仕えるってことで、なかなか撫でてもらえなくなったんですよね。
嬉しくなって目を細めながら堪能します。

「そうですね。
 おっちゃん達も今日はかなり疲れてたみたいですし、
 もう少しペース落としましょうか。
 それか、拠点を移動させます?
 このフロアのボスが居た部屋って、またボスが出てくるってことは無いのですよね?」

「はい、あの部屋はある程度は安全ですので、
 拠点を移動で問題無いかと思います。
 注意しないといけないのは、森のフロアから魔物が入り込んでくることですが、
 森のフロアの転移門に魔物が入らないようにしたらよいでしょう。
 今回作られたのは屋根でしたが、壁を作るだけでいいかと思いますよ」

「んふぅ、でしたら明日は拠点移動して、ゆっくり木を伐採していきましょうか。
 転移門の封鎖は、倉庫にまだまだブロックありますから、
 壁厚めにしておけば大丈夫でしょう」

おっと、撫でてもらって思わず声が出ちゃいました。

「そうですね。
 今日討伐された魔物を見る限り、私で問題無く対処できそうですので、
 明日は私が少し森に入って討伐を進めます。
 エル様はクラリス達と木々の伐採に集中してもらえればと思います」

「それだとアレッサに負担がかかり過ぎないですか?
 無理しちゃだめですよ?」

「ありがとうございます。
 私が前に出て討伐するのは何時もの事ですし、
 今日はエル様方が頑張ってくださったので十分休めましたから、大丈夫ですよ」

そう言って、さらに優しく撫でてくれました。
んふぅ、偶にはこんな感じも良いですよねぇ。
ん?偶に・・・こういうの偶にしかないのか・・・
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