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三章 8歳(未発見ダンジョン探索開始?)

私は見世物ではありませんよ

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え~・・・今私はアレッサに背負われています。
恰好は・・・まあ縛られて手が出てはいませんが、赤子のように・・・

「え~と・・・エル様、目が死んでますが大丈夫ですか?」

クラリスがちょっと心配そうに尋ねてきます。

「あはははぁ~、わたしはだいじょうぶですよ~。
 ふふ~、な~んにも・・・そう、な~んにももんだいはないですよ~」

「あ~・・・はぁ、なんでもないです。
 では、私達は馬車で向かいますね。
 着いたら連絡してください」

クラリスがアレッサと私を交互に見て、
諦めた表情で馬車の方へ向かっていきます。

「じゃ、エルちゃんまた後でね」

そう言うと、由香さんは早々に何時ものことだしと馬車へ向かっていきました。

「あ、え~と・・・な、何でもありません!
 え、エル様、が、頑張ってください!」

ソフィアはどうしようと困った感じでいましたが、
アレッサがソフィアの方を向いた瞬間、顔を背けて応援の言葉を残して、
弾かれるように馬車の方へ向かって行ってしまいました。
アレッサのドラゴンも馬車へ向かいます。
あ、貴方は此方では無かったのですか!?
ちょ!何此方を見て目頭を押さえながらハンカチを振ってるのですか!
誰です!そんな芸を教えたのは!?
あ・・・そういえば悪戯して連行されてるドラゴンに私がしたかも・・・

え?おっちゃん達ですか?
私が転がされた所で、ちょっと迷った結果、
何も見なかったことにして、さっさと馬車へ移動してしまいましたよ。
くぅ・・・裏切者~。

「さて、エル様。
 じゃま・・・ではなく、皆さま馬車へ向かわれたことですし、
 私達も行きましょうか」

「・・・もう・・・何も言いません・・・
 好きにしてください・・・」

「では、しっかり掴まっていてくださいね」

「いや、ぐるぐるに縛られてて何処につかまれとぉぁぁぁ!?」

アレッサが走り始め、私は後ろに頭を持っていかれます。
何とか前を向いて体を固定します。

「い、いきなり走るのは止めてください!
 頭後ろに持っていかれたじゃないですか!」

「いきなり本気で走るつもりはないですから、大丈夫です。
 もう少ししたら緊急用の道に出ますので、
 そこからはある程度本気で走ります」

「・・・え゛?
 え~と、今の状態でも馬車では出せないような速度な気がするのですが?」

「そうですか?
 今は馬車で出せる速度より少しだけ早いぐらいですが」

「じゅ、十分早いと思います。
 私では馬車が普通に走るぐらいならどうにかですが、
 今の速度は到底出せないです」

「大丈夫ですよ。
 エル様も一応前衛のクラスも持てたではありませんか。
 何れエル様も走る方が早いようになりますよ」

「前衛ねぇ・・・ジェスター(宮廷道化師)って前衛なのですか?
 私はサーカス団員ではないのですが・・・」

「クラウン(道化師)よりはいいではありませんか。
 宮廷お抱えですよ?」

「どちらかと言えば、召し抱えるほうの立場なのですが・・・
 どうせなら派生ではなく大元のメッセンジャーが欲しかったです」

「一応令嬢ですし、それもどうなのかと」

「一応じゃなくて令嬢です!
 しかし・・・何故特殊派生のクラスが手に入ったのか疑問です」

「そうですね・・・
 (奥様お抱えの道化師だからなのではないでしょうか)」

「ん?どうしました?」

「いえ、何でもありません。
 そろそろ緊急用の道に出ますよ」

「そういえば緊急用の道なんてあるんですね」

「流石に普通の道を緊急馬車等が走ると危険ですからね。
 と言っても緊急用の道で行けるところは防壁付近と緊急車両のある駅までですが」

「まあ、そうですよね。
 おか・・・お・・・おかしな速度で走られると、一般人に危険が及びますからね」

「エル様も凝りませんね。
 奥様がお聞きになられていたらどうなっていることか」

「ちょ、私はまだお母様がどうとは言ってませんよ!?」

「言いかけた時点で、奥様相手ですとアウトですよ?」

「うぐ!?き、気を付けます・・・」

「お願いしますね。
 はい、ではそこの建物から、緊急用道路に行きます。
 既に状況は伝わっているので、辺境伯家の者であれば素通り出来るはずです」

「あの駅のような建物ですね。
 中はゲートのようですが、職員に説明が必要だったりしないのですか?」

「既に話が行っているので、此方のカードでゲートを通ることが出来ます」

そう言って、胸辺りからカードを取り出し、此方に見せてきます。
狼と鷲のような鳥が描かれた我家の紋章が書かれたカードですね。
ですが・・・

「胸のあたりから出てきた気がしましたが、
 そこから取り出す必要ありましたか?」

「いえ、こういったものは此処から出すのが王道だと何かが囁いたので」

「ま、まあ確かに、そういった物を胸の谷間から取り出すというのは
 何か来るものがありますが・・・」

「では、建物内に入ってゲート抜けて本気で走りますね」

「ううう、これ以上ですか~・・・ちょっと怖いですね・・・」

そして私達は建物内に入り、駐留している職員の方々の視線が集中しました。

「?どうしたんでしょう?
 皆さん凄く困った顔をされていますが」

「あ・・・
 き、気のせいでしょう」

アレッサがやべって感じで何でもないと言いますが・・・
ん~何かおかしなことでもあ・・・
・・・私の恰好・・・
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