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三章 8歳(未発見ダンジョン探索開始?)

討伐者パーティーを雇いますよ

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え~と・・・何かおかしなことやった?
ん~引き寄せることだけ伝えて、時空魔法とか伝えてないよね?

「エル様・・・それだと雇う必要が無いという事になります・・・」

クラリスが耳打ちしてくれた。

「あ・・・いや、その~ですねぇ?
 あの~、えっとぉ・・・うぅ・・・くらりす~」

私はクラリスに横から抱き着き、泣きつきました。

「ふふ、判りました。
 エル様が魔物を防壁近くまで移動させることは出来ますが・・・
 それでは新人教育とはならないでしょう。
 これは移動に時間が足りない場合のみと考えてください。
 また移動した後、そこから解体し、防壁内部へ持ち込むとなると難しくなりますし、
 防壁からこちら、もしくは辺境伯家へ移動となると私達だけでは無理です。
 また、今回のことは若手の育成の場と思っていただければと思います。
 辺境伯家で実施している、討伐者の底上げの一環ですね。
 学生でも許可が下りれば参加していただいて構いません」

抱き着いた私の頭を撫でながらクラリスが説明してくれます。

「なるほどな。
 確かにそれだけの数を討伐するとなると、軽く解体したり移動させたりは
 お嬢達のパーティーだけじゃ難しいか。
 俺らは魔物を運ぶこと解体ってことだな・・・ああ、後は若手の育成か・・・了解。
 だが、討伐ギルドでもそれだけの数を扱うのは難しいんじゃねぇか?」

「そうでしょうね。
 ですので、無理そうなものは辺境伯家までお願いすることになるかと思います。
 辺境伯家であれば、討伐ギルドにある倉庫のように空間魔法が施された倉庫がありますので。
 ああ、もちろん倉庫に移動していただいた魔物の料金については、
 辺境伯家で支払われますので心配しなくて大丈夫です。
 討伐ギルドに振り込んで欲しい場合は、その旨伝えていただければ要望通りに進めます。
 ギルドマスターに伝えてはいませんが、ギルドマスターにも話をして動いて貰えればと思います」

「なる・・・ほどな。
 こりゃかなりの力仕事になりそうだ。
 力が無いやつは荷馬車を確保したほうがよさそうだな。
 よし、そっち方面でも何とかしよう。
 ギルドマスターも口利きはしてくれるだろう」

メンバーにアイコンタクトで確認しながら話を進めます。
流石ですね、長年一緒に居たから出来る芸当でしょうか。

「クラリス、ありがとうございます。
 あ、新人で使えそうな素材とかあれば言ってくださいね。
 新人の装備品の強化で生存率が上がるのでしたら、
 そちらは譲ろうと思っていますので」

「ああ、さっきも譲るって言ってたが・・・
 それだとまた貰い過ぎに・・・と思うんだが、
 討伐者の戦力底上げって話になると違ってくるか。
 もしスタンピードとか起こったら、少しでも戦力あった方がいいもんな。
 解った、そこに関しては遠慮せずに伝えることにするさ」

おっちゃんって意外と頭いい?

「・・・なんか物凄く失礼な視線をお嬢から受けてる気がするんだが?」

やべっ

「ひゅーひゅー」

明後日の方を向いて口笛を吹こうとしますが、
動揺してると上手く吹けませんね。
空気だけが洩れます。

「・・・はぁ、まあいいか。
 安全に稼げるし、報酬もよさそうだからな。
 これで結婚と結婚後の生活資金が稼げるなら、何も文句はないさ」

あきれ顔で言われます。
ん?結婚?

「え?おっちゃん、結婚するの!?
 なら結婚式呼んでよ。
 こっそり私もお手伝いするよ?」

「いや、俺だけじゃなくて、皆そうなんだが・・・
 呼ぶのは構わんが、貴族様みたいな結婚式じゃなくて、
 親しい奴らとちょっとしたお祝いするだけだぞ?」

「いいじゃん、いいじゃん。
 合同結婚式だね!
 私も混ぜ」

スパパーン!

「でぇ!」

「「エル様、言葉が崩れてきていますよ?」」

「す、すみません・・・」

「はは、まあお嬢なら問題ないぜ。
 楽しんでくれりゃいいさ」

いい人ですねぇ。
結婚した後、うちで雇えるようなら雇うか、
他の仕事を斡旋しますかね。
流石に結婚したら安定した職が良いでしょうし。
今度どういったことが得意か聞いてみよう。

「他に何か確認しておきたいことはありますか?」

「いや、今の所は大丈夫だ。
 俺らは何時もの討伐用装備に加えて、
 運搬用の道具とか馬車を手配しておけばいいようだからな」

「そうですね、それで大丈夫です。
 では、よろしくお願いしますね」

そう言って立ち上がって、おっちゃんと握手します。
これで契約成立です。

「では、来週お願いします。
 正確な日時についてはギルドの方に連絡を事前に入れておきますので、
 確認をお願いします。
 じゃあ、ソフィアと由香さんの武具見に行きましょうか」

そう言いながら、表の馬車に向かいます。
・・・

<ガルフ視点>
------
「何というか・・・こんな対応でいいのかねぇ・・・」

お嬢を見送りながら思わず声に出してしまう。

「そうだね、貴族らしくないと言ったら失礼かもしれないけど、
 良い人達だね」

つぶやきが聞こえてたのか、ファナがそう言ってくる。
確かに良い人達なんだが・・・

「ちょっと調子崩される感じだったね。
 ハリセンとかびっくりしたよ」

カルロスが笑いながら言い

「そうだねぇ、淑女の教育中って話だけど・・・
 私にゃ判らん世界だね。
 判るのは、あの傍仕えの二人は相当な強さってことだね。
 お嬢は良くわからないけど、二人の感じだと色々やばそうだ」

ウルザがニヤニヤしながらお嬢を見送っている。
ああ、確かにあの二人は相当だな。
お嬢が参加したら討伐数が劇的に増えること言ってたから、
お嬢も凄いんだろうけど、今一つ強さが見えない。

「荷運びで此処まで好待遇ってのはないし、
 頑張らないとっすね。
 あのお嬢さんと縁は切っちゃダメな予感がするっすよ」

ハインがそう言うと

「そうね。
 お嬢様はかなり接しやすい人だし、周りもそれを気にしてないどころか、
 好んでいることから、物凄く良い縁だと思うわ。
 この先色々任されるかもしれないけど、
 この縁は大切にしないといけないわね」

サクラが同意し、皆が頷いている。

「そうだな、お嬢との縁が切れないように頑張るとするか。
 とりあえず、ギルドマスターに一言伝えておいて、
 問題無さそうな奴らを見繕いますか」

そう言って総合受付に向かう。
皆笑顔だし、ほんと良いことありそうだとお嬢の顔を思い出す。
ただ、思い浮かんだのは笑顔のお嬢ではなく、
傍仕えの人に泣きついているお嬢だった・・・なんでだ?

------

「へぶし!」

「「エル様、大丈夫ですか?」」

「ずずっおかしいですね、誰か噂でもしているのでしょうか?」
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