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二章 7歳(ダンジョン突入!?)

やっぱり転移者みたいですよ

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魔力でまたやらかしたエルフリーナです。
私がしゃがんで何の絵か判らないものを書いている間に
アレッサとクラリスが女の人を起こしていました。
ふふ、私はスルーですか・・・そうですか・・・
・・・

「う・・・うぅん・・・」

「大丈夫ですか?」

アレッサが声を掛けます。

「あなたは・・・!ここは!?」

女の人がアレッサを確認したら狐耳が目に入ったのかな?
ちょっとびっくりしてる。

「此処はもしかしたら、貴方にとって異世界かもしれません」

アレッサが答えると

「い、異世界!?」

女の人は呆然としている・・・

「本当は先に自己紹介等をしたいとは思うのですが、
 此処はあまり安全とは言えません。
 色々説明をしたいと思いますので、私達の拠点に場所を移しましょう」

「わ、分かったわ。
 いえ、良くは解らないけど・・・貴方方についていくのが安全そうね」

私を見ながら女の人は答える。
ああ、私が子供だから悪い人じゃないだろうと安心した感じなのですかね。
ともかく話を聞いてくれそうでよかった。

あ、女の人の外見を伝えてませんでしたね。
背はちょっと低め、髪は黒で肩辺りで揃えていて清潔感ある感じで、
綺麗というよりかわいい感じかな。
え?胸はアレッサとクラリスの間ぐらいと言っておきます。
それじゃわからないって?大きい小玉スイカを半分に切って、
切断面をまな板の上に置いたぐらうぉ、寒気したぁ!?
えと、白衣の下はシャツにタイトスカート、黒タイツにパンプスって言うのかな?ヒールが低いやつ。
拠点まで歩き大丈夫かな?
・・・

防壁の拠点から地下を進み、草原の拠点に戻りましたので、
食堂に皆で集まります。

「アレッサ、お茶の準備をお願いできますか」

アレッサにお願いして、椅子が足りないので椅子を倉庫から出します。

「い、今、何もないところから椅子が・・・」

あ、魔法が当たり前になってて忘れてましたけど、
説明なしに魔法使ったらびっくりしちゃいますよね。

「あ、ごめんなさい。
 魔法の無い世界から来られたのですね。
 此処は魔法がある世界になります。
 今やったのは、空間魔法を使って倉庫から椅子を取り出しました。
 どうぞ、座ってください」

席を勧めて、女性が座りやすいよう私も座ります。
お茶の準備が終わり、アレッサ、クラリスが私の後ろに控えたのを確認して、
私は立ち上がり、

「さて、まずは自己紹介ですね。
 私は辺境伯爵令嬢 エルフリーナ・ヴァルグラントと申します。
 後ろに控えている獣人がアレッサ、エルフがクラリス、共に私の傍仕えになります」

私はカーテシーを、アレッサとクラリスが会釈をする。
そうすると今度は女性が立ち上がり、

「わ、私は笹木 由香と申します。
 此処だとユカ ササキになるのでしょうか?
 よろしくお願いします」

と緊張した感じで挨拶を返してくれます。
私が貴族だと告げたから緊張し始めたのかな。

「ありがとうございます。
 そうですね、名前、苗字の順になるので、そちらでお願いします。
 では、お茶をいただきながら、情報交換しましょう」

私が座っても、由香さんはまだ緊張しているのか立ったままでした。

「どうぞ、座ってください。
 あと、アレッサ、クラリスも座って頂戴。
 由香さんが座り辛いでしょうから」

アレッサ、クラリスが座ったのを確認して、
ちょっと緊張が解れたのか由香さんも椅子に座ります。

「まずは、こちらの状況も含めてお伝えしたほうがよさそうですね。
 恐らく此処は由香さんの居た世界とは別の世界となります。
 由香さんと同じように過去、別の世界から来られた転移者という方々がいらっしゃいます。
 ただ、今転移者で生きている方は別の国にいらっしゃる1名のみですので、
 恐らく会う事は出来ないと思います。
 この世界では転移者の方々の知識を元に、色々作成されていたりするので
 恐らく不自由することは無いと思います。
 あとはゲームやファンタジー世界を思い浮かべていただければと思います」

凄くざっくりですが、説明します。
来た世界が私と同じなのか判らないですし、
差を全部とか説明できないですもん。
良いんですよ、最初はざっくりで。

「ファンタジー・・・ですか。
 という事はレベルとかステータスとかそういったのがあるのでしょうか」

「あります。
 そういえば、先ほどの遺跡で鍵を見つけているので、
 後でお渡ししますね」

遺跡であったアーチって別世界との転移装置だったのでしょうね。
研究してたのは時空魔法なのでしょう。
鍵が壊されたりしてましたし・・・本はもしかして転移装置の・・・
ダンジョン攻略したら解読しないといけないですね。
これは情報が漏れるとまずいので他の人に任せられません。

「わ、わかりました。
 あと辺境伯爵令嬢と言われていましたが、
 お屋敷とかは見当たりませんし調査とかでこの辺りに来られているのですか?
 私のイメージですと、貴族令嬢と言われるとあまりこういった場所に来ることは無さそうなのですが」

「ああ、そうでした。
 レベルとかステータスが通じるなら、ダンジョンというのも通じるかと思います。
 此処はダンジョン内部で、先ほどの場所ですと魔物に襲われる可能性があった為、
 こちらの拠点まで移動させていただきました。
 私達がなぜダンジョン内部に居るかなのですが、
 野営訓練の最中にダンジョンに取り込まれまして、現在このダンジョンを攻略中だからですね」

「だ、だんじょん・・・攻略中・・・」

「そうです。
 現在外に出る為にダンジョンを攻略中で、
 遺跡傍に居たこのフロアのボスらしき魔物を討伐したところですね。
 今は次のフロアへ続く転移装置を探している所で、
 由香さんが居た遺跡に転移装置があるか調査していたところです」

「つ、つまり、本当に安全な場所へ行くためには
 ダンジョンを攻略して先に進まないといけないと」

「そうなります。
 ああ、この拠点は周りに罠とか色々仕掛けているので、
 安全に過ごせますので安心してください。
 ただ、申し訳ないですがダンジョン攻略中は一緒についてきていただく必要があります。
 此処が安全というのも魔物を倒せる私達が居るからで、
 由香さん一人ですと危険なことがあるかもしれませんから」

「わ、私も一緒にですか!?
 戦う力なんて私には無いですよ!?」

「はい、ですので由香さんもレベルを上げたり、
 適性のある武具での訓練を少しして貰います。
 ただ、基本的に戦うのは私達になります。
 私達の戦い方は長距離広範囲索敵後、遠距離から一方的に殲滅ですので、
 由香さんが魔物の前に出るようなことは無いはずです」

「そ、そうですか。
 それならいいのですが」

「はい、パニックにならないようにする為だと思っていただければ。
 あ、あと普段は敬語とか別にいいですよ。
 アレッサとクラリスは私の傍仕えですので、
 私に対しては敬語になってしまいますが由香さんは違いますから」

「そ、そう。
 じゃあ、そうさせてもらうわ。
 え~と、エルちゃんでいいかしら?」

「はい、大丈夫です。
 ただ、公の場ですと敬語を使ってもらわないといけなくなりますが」

「それは大丈夫。
 エルちゃんも私に敬語使わなくていいわよ?」

「いえ、これはお母様にしご・・・きょうせ・・・しつけら・・・
 えと、淑女を目指す為に崩さないようにと言われていますので」

「エル様?きちんとお伝えしておきますね」

「な、何をですかね。
 わわわ私は何もおかしなことは言ってないですよ」

「そう思われるのでしたら、お伝えしても大丈夫ですね」

「あれっざ~、ごべんなざい~」
・・・

「えと、クラリスさん?
 止めなくていいのですか?」

「はい、何時もの事です」

「いつも・・・貴族のお嬢様って・・・」

何時もじゃないもん!
カッコよく決めてたつもりなのに、由香さんの中の私のイメージが~!
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