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一章 ~6歳(勉強中ですよ)

辺境伯ってまぢですか

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あ、きっと聞き間違えだよね?

「辺境伯?」

「はい、お嬢様はヴァルグラント辺境伯令嬢となりますね」

あ、間違いじゃないや。

「ん~・・・あ、爵位について説明が必要でしたね」

いや、違うそうじゃない。
ポカンとしてるのは説明が必要なわけじゃないんだけど・・・
でも、今気が付きました!って感じのクラリス先生がかわいいから許す。

「では、簡単にですが上から行きましょうか。
 一番上が王族、次が公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵となります。
 あと、準男爵は騎士、文官のまとめ役で、爵位を持たない方が該当します。
 領地ですが、王都は王族として、王都の周辺を公爵が囲み、
 その周りを内側から外側に向けて侯爵、伯爵、子爵、男爵という順になります。
 そして、魔物の領域と隣接する地域が辺境伯の領地となります。
 何かしらの功績を残して地位が上がれば領地も増えますが、
 通常辺境伯以外は領地が増えることはありません。
 では、辺境伯領だけなぜ増えるのか?ですが、
 ダンジョン攻略して魔物の領域を切り取ると、それが辺境伯領となるからです。
 さらに辺境伯領が大きくなりすぎると国を興すことになります。
 その国は辺境伯が新たな王となり国を取り仕切ることとなります」

「あれ?ですが、先ほどクラリス先生は王国は血縁状態にあると言われていませんでしたか?」

「はい、辺境伯には王族が降下したり、王族が嫁いできたりと王族の血が頻繁に入っているのです」

あぁ~・・・まじか~・・・
公爵が国興せばいいじゃん・・・王都の周り守るように囲ってるからなのか?
うぇぇ・・・王族絡んでくるとか面倒事多そうだな~。
でも、領地が増えなければ、今と変わらないってことだよね。
でも、貴族だから結婚とか考えないといけないのか~王族とか来たらどうしよう。
でも、流石に早々話は無いだろうし、大丈夫だよね。
でも、王族と婚約とかなったらどうしよう。
うん、そうなったら全部ランハートに任せて、夜逃げしないと。

少し俯きながら考えていると、背後からアレッサがささやきます。
「お嬢様、今思ったことは?」

「ランハートに家の事全てまかせ・・・て、な~んて考えてませんことよ~おほほ~」

「お嬢様・・・面倒だと感じたのは判らないでもないですが、それはどうなのですか?」

「え?な、なんのことですかねぇ。
 空耳でしょう?」

「はぁ~、空耳ではありませんよ。
 態度からも明らかですが、クラリス様を見たらわかるでしょう。
 びっくりして目を見開いて止まってますよ。
 かわいそうに、お嬢様がこんな方だとは思って無かったのだと思いますよ?
 お嬢様、しっかりクラリス様にお伝えしないと」

「え?あ?え?な、何を伝えればいいのかしら?」

「思ったことをそのまま伝えてみては?」

「え?あ、あ。
 ご、誤解ですよ?そんな家のことを弟になすりつけて、
 夜逃げしようとか考えてないですからね?
 クラリス先生、大丈夫です。
 私きちんとやりますから。」

「・・・お嬢様?
 今の話、しっかりと奥様にお伝えしますね。
 旦那様にも伝えた方がいいかしら・・・」

「な!?・・・は、はめましたね!?アレッサ!
 クラリス先生に思ったこと伝えろと言ったのは、あなたではないですか!」

「あ~、いえ。
 確かに言いましたが、そこまで弁明になっていない暴露をされるとは思っていませんでした。
 流石お嬢様です。
 ですが、少し落ち着いてはいかがですか?」

「え・・・こほん。
 落ち着きました。
 ええ、落ち着きましたとも!
 クラリス先生、先ほどは取り乱しましたが、何時もの私はもっと落ち着いた」

「ダウト」
・・・

「あ、アレッサ?
 あなた私に恨みでもあるのですか?」

「お嬢様に恨みなど。
 お嬢様には感謝しておりますよ?
 ただ、これから長い付き合いとなるクラリス様に対して、
 そういう取り繕った発言はいかがなものか?と思いまして。
 すぐばれますよ?」

「あ~!あ~!わかったわよ。
 クラリス先生!これが私です!」

「はい、よくお認めになりました。
 ですが、奥様への報告はさせていただきます」

「あれっざ~、ごべんなざい。
 それだけは~」

「私は奥様に色々と、本当に色々と言付かっております。
 それは全てお嬢様の為のものですよ?
 ですので、お嬢様が辺境伯令嬢として恥ずかしくない行動を取っていただければ
 私は何も行動は起こしません」

「うそだ!
 私で遊んでるでしょう!?」

「否定派しませんが、私がそういった行動を取るときは
 お嬢様が何かしら令嬢としてふさわしくない行動を取っている時です。
 心当たりあるのではないですか?」

「あ・・・う・・・そ、それは・・・その~」

こんなやり取りをしていると

「ふふふ」

「え?クラリス先生?」

「あはははははは」

クラリス先生がいきなり笑い出した。
暫くして笑いが落ち浮いたのか

「はぁ・・・すみません、いきなり笑い出してしまって」

「あ、いえ。
 それはいいのですけど」

「ああ、お嬢様とアレッサさんのやり取りがおかしくて笑ってしまいました。
 大丈夫ですよ、お嬢様。
 事前に相当頭の良いお嬢様だと聞いていたので、少し気を張っていたのです。
 ですが、ふふ、アレッサさんと主従関係ないようなやり取りを見て、
 気が抜けてしまいました」

「なるほど。
 あ、私の事はアレッサと呼び捨てで呼んでいただければ嬉しいです」

「ええ、判りました、アレッサ。
 私の事もクラリスと呼んでください」

「二人ともずるいです。
 私もエルと呼んで欲しい」

「流石にお嬢様を呼び捨てにはできませんから、
 私達だけの時はエル様と呼ばせていただきますね」

「そうですね。
 クラリスの言う通り、私もエル様と呼ばせていただきます」

「こんな私だけど、これからもよろしくね」

そういうと、二人は綺麗な笑顔を向けてくれた。

「今日のお勉強としてのお話はこれまでとして、
 打ち解けるためのお話をしましょうか」

クラリス先生がそう提案してきてくれたので、

「賛成です。
 アレッサ、3人分のお茶をお願いね」

「ふぅ、仕方ありませんね。
 判りました。
 用意しますので暫くお待ちください」

それから、3人で色々な話をして盛り上がった。
・・・

そして・・・その夜、私に盛大な雷が落ちてきた。
アレッサー!ここは無かったことにする空気だったでしょう!?
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