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一章 ~6歳(勉強中ですよ)

お勉強始まりますよ

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朝食後にお客様を迎える為、着替えなどの準備をします。
今日は勉強を教えてくれる先生をお迎えするのです。
やっと今日からお勉強が始まります。
ですが、その前に言っておかなければ。

「・・・アレッサ」

「はい、何でしょう?お嬢様」

「また・・・また私をお母様に売りましたね」

「そんな、売っただなんて酷いことをおっしゃいます」

「そう、まあアレッサの尻尾に惑わされたのは認めましょう。
 ですが、その程度でお母様に突き出す必要は無かったのでは?」

「突き出すだなんて。
 お嬢様が私の尻尾に引っ付いて、
 離れそうにないので、そのまま移動しただけです」

「そ・・・いえ、お母様から何を貰いました?」

「約束通りの油揚げをいただけました」

「隠す気ゼロですか!?
 やっぱり買収されているじゃないですか!?」

「お嬢様の専属になって、こういったボーナスが増えた気がしますね」

「くっ、あなたが専属になってから、お母様に叱られる回数が増えた気がします」

「確実に増えていますね。
 まさか週一以上のペースで繰り返されるとは思っていませんでした」

「・・・そ、そんなことないもん。
 それにしても、アレッサ遠慮なくなったわね」

「お嬢様が言ったのではないですか。
 遠慮はいらないからバシバシ来なさいと」

「遠慮の意味が違うわよ!
 お母様にバシバシ突き出しまくってんじゃないわよ!」

「そうは言いますが、私もお嬢様に注意はしていますよ?
 それでも聞いていただけないようなので移動しているだけです」

「う・・・注意・・・されたっけ?」

「ええ、それはもう。
 ですが、お嬢様はえへへと反応されるぐらいで変わらないじゃないですか」

「・・・ちゅ、注意するわ。
 そういえば、今日から勉強が始まるのよね」

「露骨に話題を変えましたね。
 はい、旦那様から先生となる方の紹介がありますので、
 そろそろ移動いたしましょう」

「わかりました。
 行きましょうか」
・・・

そして客間の方へ移動して中に入るため、ノックをして声を掛けます。

「お父様、エルフリーナです。
 入ってもよろしいでしょうか?」

「ああ、入っておいで」

「失礼します」

中に入るとお父様、お母様が並んでソファーに座っています。
対面に黄緑色の長いストレートの髪、
スレンダーな体型の綺麗なエルフの女性がソファーに座っていた。
私が中に入るとエルフの女性が立ち上がり、

「初めまして。
 お嬢様の担当となります、クラリス・ウトナと申します」

「初めまして。
 エルフリーナ・ヴァルグラントと申します。
 クラリス先生とお呼びしても良いでしょうか?」

「はい、それでお願いします。」

どうです!文句なしでしょう!とお母様を伺います。
お母様は普通に笑顔でした。
よし!クリア!
私だって、やれば出来るんですよ(ドヤァ

「エル、こっちに来て座りなさい」

おっと、安心して止まってしまいました。
私がお母様の横に座ると、クラリス先生もソファーに座ります。

「エルはこれからクラリス先生に勉強を見てもらうことになる。
 よく先生の話を聞いて、しっかり学びなさい」

「判りました。
 クラリス先生、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします。
 お嬢様はすごいですね。
 もう挨拶も問題なく出来ているようです」

「はい!お母様にしご」

横から冷気が流れてくる。

「お、お母様に教えてもらいましたので」

「そ、そうですか。」

その様子にお父様が苦笑しながら

「じゃあ、クラリス先生。
 これからよろしくお願いします」

「はい、よろしくお願いいたします」

「では、クラリス様。
 お嬢様のお部屋までご案内いたします」

後ろに控えていたアレッサを先頭に私とクラリス先生は移動します。
部屋を出るとクラリス先生に聞きたいことを聞いてみます。

「クラリス先生、どんな勉強から始めるのですか?」

「そうですね・・・まだ私はお嬢様について知らないことが多いので、
 最初は色々お話していきましょう」

「はい、色々お話ししましょう!
 クラリス先生の事、色々知りたいです」

「そうですね、クラリス先生にはお嬢様の事よく知ってもらわないと」

「ん?アレッサ?」

「お嬢様がこれから何をしでか・・・やらか・・・何かされた時、
 クラリス先生からも奥様に報告していただかなければなりませんからね」

あれ?監視者が増えたってことになるのかな?

「だ、大丈夫よ。
 く、クラリス先生に何かするとかないもん」

「いえ、クラリス先生に何かとは思っていませんよ?
 奥様に報告することが無ければよいのですが・・・」

「それはアレッサが私をお母様に売るからでしょう!?
 私はちゃんとしてるもん。
 私は悪くないもん。
 アレッサの尻尾が悪いんだもん」

「お嬢様、後ろを」

「ふ、ふふん。
 もうその手には引っ掛からないんですからね。
 そう言って私を抱えてお母様に売りつけるつもりでしょう。
 騙されないんだからね」

「そう、エル。
 お母様の方は向いてくれないのね、悲しいわ」

・・・ぇ?
壊れたブリキのおもちゃのような動きで後ろを向くと

「残念だわエル。
 ごめんなさいね、クラリス先生。
 ちょっとだけ、エルと先にお話しさせていただけるかしら」

「は、はいぃ!」

「ありがとう。
 じゃ、エルちょっとそこの部屋に入りましょうか。
 あ、アレッサはクラリス先生の相手をお願いね」

「はい、奥様。
 では、クラリス様、こちらです」

「は、はい」

アレッサとクラリス先生が遠ざかっていく。
私はすでに泣きそうです。

「あ、あの・・・お、お話ってなんでしょう。
 クラリス先生との勉強があるのですが」

「まあ、エル残念だわ。
 せっかくクラリス先生に時間を貰って、
 私が色々と教えてあげようと思ったのに」

「わ、わぁ~、うれしいのですが、べ、勉強はクラリス先生に見てもらおうかな~と思うのですが」

「まあまあ、エル。
 この部屋に入りましょうか」

「は、はいぃ・・・」
・・・

解放されたのは、お日様が真上に来ており、
もうすぐ昼食の時間になる頃でした。
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