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一章 ~6歳(勉強中ですよ)

やっぱり色々な種族が有るみたいです

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弟の名前が決まりました。
「ランハート・ヴァルグラント」
お父様とお母様が話し合って決めたみたいです。
漏れ聞こえた内容だと、私と弟どちらが跡継ぎとなるか判らないみたいです。
女の私が跡継ぎの可能性ってどんな家なんだろう?とは思いましたが。
まあ、弟次第かもしれませんが、弟に全部まるっと引き継いで貰いましょう。
私はトップに立つより、トップをサポートするのが性に合ってます。

それで、ついでという訳ではないのですが、
弟の耳がお父様と同じで、お母様や私とは違うのはなぜか聞いてみました。

「そういえば、ランハートのお耳と、私のお耳の形が違うのは何故なのですか?」

「おや、そういえば話て無かったかな。
 メイドや執事達の耳が色々な形だったり、あと尻尾があったり無かったりするよね」

「はい、私に尻尾が無いのがすごく残念ですが」

「え?」

「尻尾は良いものです!
 あの!モフモフが!なぜ!私に!無いのか!と何度思ったか!
 私にあの尻尾があったら、1日中尻尾を抱きしめるのにと!」

「あ、え、ちょ、ちょっと落ち着きなさい。
 尻尾が好きなのは判ったから」

「あ・・・ごめんなさい」

失敗失敗・・・お父様ドン引きしないでください。
尻尾持ちのメイド達も、尻尾隠そうとしなくても大丈夫ですから。
奪おうとなんてしませんから。
お母様「後でお話しましょうか?」と顔で語らないでください。
産後でまだベッドの中なのですから・・・
笑顔とバッテンマークの同居は難しいかと。

少しだけお母様と距離を取ろうとすると、
お父様が笑いながら教えてくれます。
「人は大きく分けてヒューマン、エルフ、獣人、ドワーフに分かれるんだ。
 まあ、分かれると言っても、外見が少し違うのと、得意とするものが違う程度だから
 特に何かあるわけじゃないんだけどね。
 何でこの分けられ方なのか、とか詳しくはもう少し大きくなったら勉強するから置いておくよ。
 私やランハートのように耳が丸く、尻尾が無い人をヒューマンと呼ぶんだ。
 他と比べて標準的な人という事で使われるかな。
 で、キーやエルのように耳が長くてとがってる人がエルフと呼ばれていて、
 魔力が高いことが特徴だね。
 獣人に関しては色んな動物の耳、尻尾が出るのが特徴だね。
 こちらはどの動物の耳、尻尾なのかによって、得手不得手が変わるから
 獣人の中でもまた色々分かれるけど、長くなるから勉強の時にでもね。
 最後にドワーフだけど、外見の特徴は耳が少しとがってて、背が低いことかな。
 ただ、力持ちで手先がすごく器用なんだ」

「なるほど。
 私はお母様、ランハートはお父様に似てるということなんですね」

「そうだね。
 ただ、この耳や尻尾に関しては、必ずしも親と一緒ということは無いんだよ」

「え?」

「どの家もだとは思うけど、どの外見になってもおかしくは無いんだよ。
 まあ、この辺りも勉強が始まったら教えてもらえるかな。
 今は生まれてくる子が、どの外見になってもおかしく無いという事だけ知っておいて」

「ん~?わかりました」

なるほど、何となくだけど、大昔から混ざりまくって
今は何が出てもおかしくないって所でしょうか。

「勉強は何時頃から始まるのですか?」

「そうだな~、エルはエルフだからか3歳だというのに色々理解が早いからね。
 しゃべるのも早かったし。
 軽くならこれから始めてもいいぐらいかな」

「そうですね。
 エルは理解が早くてびっくりするぐらい。
 私も幼いころ早かったと言われているけど、
 同じかそれ以上に早いのではないでしょうか」

お父様とお母様が持ち上げてくる
「え、そうなのですか?」
と照れながら言うと

「ええ、エルはすごいと思うわ」

おお、べた褒めですね。
ふふん、前の世界の記憶を持っているのですから当然です。
前の世界の記憶が崖山のてっぺんで調子に乗ってます。

「本当に、同じぐらいお行儀や言葉使いに対する理解が早ければ、と思うぐらいに」

お、お母様・・・上げてからの落とし方が酷すぎます。
前の世界の記憶が蹴落とされましたよ。
最強の武器は地面だと知っていますか?
上げずに落としてくれる方が傷は浅いのですよ?
さらに前の世界の記憶があるから、お行儀、言葉遣いって・・・致命傷です。

ですが、これで怯んではいけません。
笑顔を貼り付けてでも立って、そろそろ逃げないと。
さっきから頭の中で警報が鳴り続けているのです。

「さて、わ、私は部屋に戻りますね」

「お嬢様、申し訳ございません」

ガシっと狐メイドに背後から持ち上げられます。
あれ?なんで?

「奥様のお傍に参りましょうか。
 大丈夫です、私アレッサも最後まで傍におりますので」

「な!?私を売るのですか!?そして何故ここで名前を!?」

「仕方が無いのです。
 これもお嬢様を思ってのこと。
 あと、お嬢様付きになるようですので、改めて名を告げさせていただきました
 (仕方ないのです。我が身可愛さです。あと、これからは自己主張していかないと)」

「あ!今何か別のこと考えましたね!それに名前は今で無くてもいいではないですか!?
 は、放しなさい。
 私を見逃して!」

「エル?アレッサ、そのまま連れて来なさい」

「はい、奥様」

「ちょ、ちょっと待ちなさい、お父様たすけ・・・」
いねぇし・・・
アレッサに抱きかかえられたまま、お母様の傍へ・・・
・・・
気が付いたらベッドに横になっていて、朝になっていました。
お日様が・・・まぶしいですねぇ・・・
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