上 下
11 / 221
一章 ~6歳(勉強中ですよ)

弟が生まれました!

しおりを挟む
え~・・・何度かシーツに自由地図を描いたエルフリーナです。
おねしょは無くなったんじゃ?ですって?
えと・・・そう!
今冬で寒いんですから、仕方ないですよね。
きっとそのせいです。
そう、怖くなんて・・・寒いからに決まって・・・あ、そうでした。
きちんとこの国には四季があるんですよ。
露骨?何のことですかね?

此処は日本の夏とは違って、カラっとしている感じですね。
じめっとしている感じはないので、薄着で普通に過ごせます。
その分、ちょっと冬が寒いかなって気はしますが。

冬はどうやって過ごすかというと、恐らく暖炉を想像しているかと思います。
もちろん暖炉もあるのですが、なんとエアコンのように暖かい風の出る道具があるのです。
魔石を入れると温かい風が出るもので、形状はストーブですね。

あとは厚着して過ごしてます。
外に出るときはポケットにウサギのワッペンが付いた可愛いフード付きダッフルコートを着て、
家の中はケープとか膝掛を利用しています。
上は厚手のシャツの上にセーターを着ていて、
下は生地の厚いスカート、タイツも履いてますよ。
ズボンはやっぱりダメでした。
一度
・・・
「ズボンの方が温かいと思うのですが、穿いてはダメですか?」
とキュルルンしながら頼み込んでみたのですが・・・

「お嬢様が普段穿く事の出来るズボンは残念ながらありません」

まあ、そうですよね。
じゃあ、買ってきて欲しいな~とおねだりすると

「判りました。
 では、後ろを向いて聞いてみていただけますか?」

「え?」

後ろには・・・寒気のするような綺麗な笑顔の妊婦が居ました。
・・・

その後の事は記憶にありません。
だからきっと何もなかったのです。
思い出そうとすると体に震えが走り、漏らしそうになりますが、何もなかったのです。

えっと、なんでしたっけ?
そうです!毛糸のパンツは必須です!
あれ?間違え・・・毛糸のパンツが子供っぽい?
え?喧嘩売ってます?子供っぽくなんてないのです!
だってメイド達も履いてい・・・あれ?なんか寒気がしますね。
・・・

それから暫くして、お母様が産気づいたとの連絡が来たので、
私達は出産の用意がされた部屋の隣の待機部屋に移動しました。
まだ初期段階のようで、
陣痛が来た時だけ出産の用意がされた部屋にお母様は移動していましたので、
暫く一緒に過ごすことが出来ました。
そして、本格的な陣痛が始まったのか、お母様は出産の部屋から戻ってこなくなりました。

私はお父様と一緒に待機していますが、
お父様は落ち着かないのか、さっきからウロウロしていています。
時折お母様の苦しそうな声が聞こえてくるので、
それを聞いてお父様は立ち止まって、お祈りしてたりします。
父親ってこんな感じなのでしょうか・・・邪魔ですね。

私ですか?メイドにしっかり抱きしめられているので身動き取れないです。
なぜかって?判りません、気が付いたらこうなってました。
全く・・・私はお父様みたいに動き回ってなんていませんよ。
ちょっと不安になって獣人メイドの尻尾をモフリたおしたぐらいです。
え?50歩100歩、ドングリの背比べって言葉知っているかって?
当たり前じゃないですか。
でも何で今そんな言葉の話が?
・・・

どれぐらい経ったでしょうか、大分暗くなってきて
メイドが灯りを点けていると、お母様の大きな声の後に

「ほぎゃ、ほぎゃ」

泣き声が聞こえました。

「奥様!頑張りましたね!男の子ですよ!おめでとうございます!」
というメイド長の声が聞こえてきたので、皆の顔が少し緩みます。

そして、少しするとメイド長が部屋に入ってきて
「旦那様、お嬢様、おめでとうございます。
 元気な男の子ですよ。
 奥様もお子様も問題はありません。
 奥様の負担になりますので、あまり時間は取れませんが、
 ねぎらってさしあげてください」

「ああ!ありがとう!」

そういうと、お父様は急いでお母様の元へ向かいます。

「キー、ありがとう。
 二人とも無事で安心したよ」

「ええ、あなた。
 ありがとうございます。
 エル、あなたの弟ですよ」

お母様の隣に綺麗になった赤ちゃんが眠っていました。
顔立ちはお母様似なのかな。
髪の毛はまだ少ないのですが茶色のようです。
でも耳が私やお母様みたいに尖ってはいないので、この辺りはお父様かな。
目は開いてないので判らないですね。
もう、無茶苦茶かわいいです。
何時までも眺めていられますね。
これも女の子になった影響でしょうか。

「私がお姉様ですよ~。
 これからよろしくね」

そして暫く皆で弟を眺めていると、メイド長がパンパンと手を叩きます。

「奥様もお疲れですので、今日はここまでとしましょう」

そう言うと、他のメイド達に指示を出していきます。

「さ、旦那様、お嬢様」

メイドに促されて、お父様と私は外に追い出されました。
お母様も弟も元気そうだし、よかった~、可愛かった~とお父様と話をしていると、
安心して気が緩んだのか、二人そろって「ぐー(きゅー)」ってお腹が鳴りました。

顔をあわせて笑いながら、一緒に手を繋いで食堂に向かいます。
きっと何か摘まめるものでもあるでしょう。
後をついてくるメイドと執事達には何か微笑ましいものを見る目で見られていましたが。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪役転生〜主人公に全てを奪われて追放される踏み台悪役貴族に転生した〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:3,750pt お気に入り:23

異世界領地経営記

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:12

視えるのに祓えない~九条尚久の心霊調査ファイル~

ホラー / 完結 24h.ポイント:3,665pt お気に入り:513

処理中です...