魂つなぐ転移世界 ~私の平穏は何処なのでしょう?~

蒼劉

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一章 ~6歳(勉強中ですよ)

生まれました、女の子ですってよ

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・・・
・・

なんだ・・・苦しくてすごく・・・疲れてて・・・意識もはっきりしない・・・
息がしづらいので、空気を求めて一生懸命息をしようとするけど
「ふぎゃぁ、ふぎゃぁ」
という声になってしまう。

「お生まれになりました!
 元気な女の子ですよ!」

女の人の声が聞こえる・・・でも体が怠くて眠くて仕方がない・・・
暫くすると温かいお湯につけられ、体が拭かれる。
それがさらに眠気を誘い、意識が落ちてしまう。
・・・

目が覚めると、すごくお腹が空いている。
目を開けようとしても空かないので、周りに気付いてもらおうと声を出そうとするが
「ふぎゃぁ、ふぎゃぁ」
という声しか出せない。

それでも気づいてもらえるかと一生懸命声を出すと
「お腹が空いているようですね。
 奥様、抱っこしてお乳を飲ませて差し上げてください」

そういって、横になっていた女の人を支えながら優しく教えている。

「えと、こう・・・でいいのでしょうか」
そっと、ぎこちなくだが抱いてくれて、甘くいい匂いのするものが口に含まされる。
・・・

お腹一杯になったら眠くなってくる・・・
目も開けられないし、眠気で考えることができない・・・
今はこの暖かさに・・・

---2か月後---
色々周りが見えるようになってきた。
とりあえず、判ったことは女の子になってるってことだ。
まさか性別が変わるとは・・・でも嫌悪感とかそういったの無いんだよな。
マザーが環境適応力あげてくれたからなのかな。
母親からお乳もらうときも、お漏らししたときも羞恥心とかほぼ無かったから、
きっとそうなんだろう。

そして、実は名前がよくわかってない。
当たり前だけど、愛称で呼ばれるからな~。
とりあえず、「エル」と呼ばれてるから、候補はいくつかあるんだよね。
まあ、そのうち判るから気にしてはいないけど。

あと判ったことは、家はかなり裕福なのだろう。
父親は旦那様、母親は奥様って呼ばれてるし、メイドらしき人もいるし。

父親はかなりのイケメン。
く、イケメンは敵だ。
少し青味がかった黒髪をきれいにセットしている。
何だろう、ゲームとかのイケメンが少し年を取って
落ち着いたらこうなるんじゃないかなという感じ。
目は緑色で優しそう、
体は細マッチョというのかな?かなり鍛えてそう。

母親は少し赤味の入った茶髪のロング。
綺麗なストレートで腰ぐらいまであるね。
目は青色で少しきつめに見えるけど、ものすごい美人。
きれいな笑顔を向けてくれて、優しさにあふれる雰囲気を持っていて
傍にいると凄く安心できる。
胸は大きく、腰は産後とは思えないほど細い。

メイドは沢山いて皆やっぱり美人ばかり。
父親はこんな美人に囲まれて過ごしてるのか・・・悔しくなんてないぞ。
メイドは色んな人がいるけど、種族が違うのかな。
特徴のない人、獣耳と尻尾のある人、耳がとがってる人、背が低い人。
特徴のない人は普通の人間なのかな。
獣耳と尻尾のある人が獣人?耳がとがってる人がエルフ?背が低い人がドワーフ?
母親も耳がとがってるからエルフなのかな?父親は普通の耳っぽいけど。
髪の色は様々で赤、青、緑とカラフルだ。
これだけでもファンタジーの世界だと判る。
でも皆魔法らしきもの使ってないな・・・。
魔法は無いのかも?

メイド以外だと執事もいるんだろうけど、
この部屋には入って来てないからよくわからない。
男の人でこの部屋に入ってくるのは、父親のみだ。
母親からお乳を貰ってるからかな。

家については屋敷と言っていたので、かなり大きいのだろう。
でも、外に出させてもらえないのは何でだろう?
日の光が入る部屋だから、日照不足とかは問題なさそうだけど。

その他はまだ食っちゃ寝生活だから、あまり周りが判らないんだよね。
大分力が入るようになったから、立てないかとか考えたけど、
足に力がそこまで入らないし、プルプルなんだよな。
本当にプルプル・・・
暫くはゴロゴロ寝返りでの移動かな。
頭ぶつけて盛大に泣いたけど。

---2か月後---
ようやく、ハイハイができるようになってきた。
周りに玩具らしきものが沢山ある。
精神が体に引きずられるのか、遊びたくてうずうずするし、
なんか自制が効いてないのか、はっちゃけた感じになってしまう。
まさか、これもマザーの仕業だったりしないよな。

最近はメイド達とよく遊んで過ごしている。
その中でも狐の耳と尻尾を付けた人がお気に入り。
耳とか尻尾を触ってみるとフサフサのモフモフで・・・
狐の尻尾がこんなにも良いものだとは・・・
しがみついて寝てしまったときは、動けなくなってしまったみたいで
かなり迷惑をかけてしまった。
でもさ、フサフサでモフモフなんだよ?仕方ないよね!
よ、涎は多分垂らしてなかったと思うよ。
・・・多分。

耳で思い出したが、母親と同じように私の耳ってとがってるんだよね。
そう、エルフの耳のような感じなんだけど、
エルフっぽいメイドより少し長いように感じる。
鏡が見れてないから容姿は判らないけど、父親と母親を見る限り、
美人さんになるんじゃないかな。
髪は父親に似た黒で光の加減で青く見える。
目は自分で確認してないけど、母親と同じ青らしい。

ちょっと確認しようと鏡を探してみるけど、見当たらない。
他の部屋にあるのかな。
そういえば、ずいぶん経つけど、やっぱり部屋の外に出れないんだよな~。
何でだろう?

そう思っていたら、
「エル、ちょっと手を借りますね」
と母親から大きめのサイズの指輪を右人差し指にはめられた。
ぶかぶかな指輪は自動でちょうどいいサイズに変化する。
すげぇ、こんなこと出来るのかと指輪を眺めていたら
メイドの一人と母親が会話が耳に入る。

「これで魔力が暴走することは無いでしょうから、部屋の外に出られますね」

「ええ、そうですね。
 暴走しないように、この魔力が制限される部屋で過ごす必要がありましたからね。
 皆にも協力してもらって、不自由させてしましました。
 皆協力してくれてありがとう」

「いえ、お嬢様のことを思えば、それぐらい何でもないことです」

どうも外に出れないのは魔力が原因だったらしい・・・ん?魔力?・・・魔力!
魔力ってことはやっぱり魔法が有る世界なのか!?
眠ってた中二が目覚めるか!
でも暴走って言ってたから危険なのかな。
魔法を使ってるように見えなかったのは、私の魔力が暴走しない為だったのか。
情報も無いし、試したりはやめておいた方がいいか・・・
何かあって父親、母親に悲しい思いさせたくないし。

そして母親に抱かれて、屋敷の外に出る。
さっと周りのメイドが日傘をさしたり、先導したり、
周りを囲んだりと訓練された兵士のように動く。
すごいな、と見てたが外に出て、周りの景色に感動する。
特にこれと言って変わったもののない庭園なのだが、
生まれて初めて見る景色だからだろうか。
気が付いたら手を伸ばしていた。
それを母親とメイド達が優しい目で見ていた。

「庭園が気に入ったようですね。
 毎日とはいかないかもしれないけれど、
 出来るだけ一緒に出ましょう。」
と母親が言ってくれる。
暫く眺めていたが、母親の温もりもあって眠気が襲ってくる。
・・・

「眠ってしまいましたね。
 エルは普通の子よりもかなり魔力が多いから、
 魔力を制御する道具を用意するのに時間がかかってしまいましたね。
 仕方ないことではあるのだけれど、
 ちょっと申し訳ない気がしますね」

「そうですね。
 予め用意していたものでは、抑えられそうにありませんでしたので」

「エルフの血が強く出ているのでしょうけど・・・
 私の子供の頃と比べて相当多いですね。
 ここまで多いと、成長するにしたがって魔力増加も相当なものでしょう。
 出来るだけ早めに制御の訓練はした方が良いかもしれないですね」

「それでも、まだ先の話です。
 今はお嬢様が元気に過ごせるように尽力いたしましょう。
 予め、魔力が想定以上に多くなったとしても問題ないよう、
 制御用の装飾を手配しておきます」

「そうね・・・それはお願いします。
 今後のことは皆で話会いながらにしましょう。
 皆よろしくお願いしますね」

その言葉でメイド達が一斉に礼を取る。
子供を抱く慈母を中心にメイド達が礼をとる、絵画のような光景がそこにあった。
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