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プロローグ

家族への報告

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寮から実家へは電車を利用して向かう。
寮と自宅は電車で1時間もかからないぐらい近いのだが、
マザーの好意で寮を利用させてもらっている。
体験等で起きたら深夜とかあるので、実はかなりありがたい。

寮で準備をした後、電車に乗り込み自宅へと向かう。
バベルを出た時間がお昼を過ぎていたため、
昼食をとったりと寮を出るのが少し遅くなり、自宅に着くともう辺りは薄暗くなっていた。
電車乗る前に猫か犬カフェで癒されてから帰ろうか?とか思ったけど、
行ったら帰ってくるの明日になってたな。
行けなかったのは残念だ・・・本当に残念だ・・・

「ただいま~っと」

家の中は薄暗く、人の気配はしない。
両親は俺が中学1年生の時に事故で亡くなっている。
両親が亡くなった後、隣に住む幼馴染の両親にお世話になっていた。
親戚が引き取る話もあったけど、皆で住んでいた家と離れるのを嫌がった俺は
迷惑になるかもしれないけどと、幼馴染の両親に頼み込んだのだ。
祖父母の協力もあり、思い出の詰まっているこの家から離れずに済み、
此処を離れずにいることが出来た。
幼馴染の両親には日常のことから世話をして貰って、本当に感謝しかない。

幼馴染の名前は佳澄といい、黒髪美人のおっとりしたお嬢様という感じだ。
俺と佳澄は高校の頃から付き合い始めているのだが・・・
まあ、佳澄がもてるってことで色々あった。
これについては他の幼馴染の助けもあったりして、今は平和に過ごせている。

「ただいま、父さん、母さん」
仏壇の前まで移動して軽く挨拶し、自分の部屋に荷物を置く。

「あ、そういえば帰ったこと連絡してなかったな」

急いで佳澄と佳澄の両親に連絡を入れる。
直に佳澄の母親から連絡があり、
丁度これから晩御飯とのことで一緒にどうかと誘われた。
晩御飯の用意をしていなかったので、直行くと連絡を入れる。

「いってきます」

玄関を出て隣の家へ向かいチャイムを鳴らすと、
暫くしておばさんが玄関を開けてくれる。

「お帰りなさい。
 まったく・・・全然連絡してこないんだから、ちゃんとした生活してる?」

「ま、まぁ出来てると・・・思うよ?」

「本当でしょうね~?
 ・・・今度抜き打ちで行くからね。
 今晩御飯用意してるからリビングで待っててちょうだい」

おばさんはそう言いながらキッチンに向かっていく。
抜き打ちとか怖いことを言ってくるな・・・
何を言っても勝てそうにないので、そそくさとリビングへ。

「お、お帰り。
 ちゃんとしてるか?」

「それ、さっきおばさんに聞かれたよ・・・」

「なんだ、そう言うということは出来てないんだな?」

ニヤニヤ笑いながらおじさんが言ってくる。

「き、きちんと生活出来てると思うよ。
 大学はもう卒業だけだけど、ちょっと仕事が大変なだけで」

「ほう、無理だけはするんじゃないぞ?」

ちょっと心配そうにしながらも、笑顔で言ってくれる。

「うん、大丈夫だよ。
 ありがとう」

「しかし、前に比べて話し方が柔らかというか、落ち着いた話し方になってるな。
 どうしたんだ?」

「ああ、バベルでの生活でね。
 色々体験したからじゃないかな」

ちょっと内容は言えなので言葉を濁す。
流石に何してるかは言えないしな。

「用意できたわよ~」

と聞こえたので、返事をして席に着く。

「あれ?そういえば佳澄は?」

「ああ、今日は少し仕事した後、お友達の家に泊まるって言って夕方近くに出たわよ」

「あら、入れ違いだったのか」

「明日のお昼頃に帰ってくるみたい」

そっか、残念だけど仕方ない。

「さ、食べましょう」

「「「いただきます」」」

久しぶりの手料理を味わう。
・・・

「ごちそうさま」

「はい、お粗末様でした」

久しぶりのまともな料理を堪能した後、くつろいでいると

「そういえば、両親に挨拶はしたのか?」

おじさんが聞いてくる。

「明日の朝に挨拶に行くよ」

「そうか、掃除はしてるけど、きれいに拭いてやれよ。
 やっぱり子供に会えるのはうれしいだろうからな」

「うん、ありがとう」
・・・

暫く話をしていたが、夜も遅くなってきたので家に帰ることにした。

「じゃ、今日はもう自宅で休むよ」

「はい、また明日の朝いらっしゃい」

「わかった、ありがとね」

「好きでやってることだからいいのよ」

二人は玄関まで見送ってくれる。
ほんと、足向けて寝れないな。
・・・

自宅でゆっくり休み、翌日朝約束通りに朝食を取りに佳澄の家に行く。

「おはよう。
 もう少しで準備出来るから、ちょっと待っててね」

「おはよう。
 食べたらすぐに行くのか?」

「おはよう。
 うん、食べたらすぐに行くよ。
 その方が人も少ないし」

挨拶をして席に着くとコーヒーを用意してくれたので、
それを飲みながら、朝食が用意されていくのを見ていた。

「さ、準備できました。
 食べましょう」

「「「いただきます」」」
・・・

「ごちそうさま」

「はい、お粗末様でした。
 コーヒーお替りいる?」

「うん、ちょっとだけ貰おうかな」

コーヒーのお替りをもらう。

「すまんな、本当なら送っていくんだが、今日はちょっと用事があって車を使うからな・・・」

「大丈夫だよ、おじさん。
 のんびり行ってくるよ」

「お昼はどうするの?必要なら用意するけど」

「ん、大丈夫。
 街中少し見て、そこで食べるよ」

「そう、わかったわ」
・・・

そして、佳澄の家を出て両親の眠るお墓に向かう。

お墓は街中からバスで20分程度の所の綺麗に整備された山のお寺にある。
お寺に着いたら住職に挨拶し、途中で水を汲みながらお墓へ向かう。
両親の眠るお墓を拭いていく。
そして線香を立て、手を合わせ
「家でも挨拶したけど、久しぶりに帰ってきたよ」

近況を報告した後に

「また落ち着いたら来るね」

そう約束してお墓の前を後にする。

街に戻ってくると丁度お店が開く時間帯になっていた。
さて、これからどうするかな?と街に戻ってきたとき

「あれ?聡介じゃない?」

と声を掛けられた。
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