神様に癒しをお願いしたら旦那様がもふもふでした

Keina

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小さな人間の子

18・心は大人の子供

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次の日、お城見学としてお庭をお散歩させてもらっていた。
羊さんの獣人の可愛いメイドさんに案内してもらって、休憩にふかふかのソファーのある東屋で夢みたいに可愛いティータイムをしていた。
お城のメイドさんは、話しかけたら楽しそうに答えてくれて、凄くフレンドリーでいい人ばかりだった。

「ラフィ~?まだ怒ってるのかな~~?」
そこに、おもむろに、控えめとはいいがたいくらいにお供をずらっと連れたワンちゃんが現れた。
渋い猫耳の獣人さんのセバスさんも傍に控えている。

するとワンちゃんがふかふかの白いソファーの上で正座をして、首をかしげてこちらを伺ってくる。

私はほっぺをぷくっと膨らませて、プイっとそっぽを向く。

あざとい!失格!

ワンちゃんが、ショックを受けたようにビクッとして、耳も尻尾もたれてしょんぼりする。

ぐ!
かわいい・・・。なでたい・・・ダメだ!これもばれてるかも!

「~~~~~もう!怒ってない!
心の中秘密にする方法教えて!」
降参だよ!この恥ずかしい状況を改善することが先決だわ!
私なんて、何回もワンちゃんに可愛い!とか大好き~とか、心の中だからと大声で叫んだか分からない!

私の怒ってないの一言で顔がぱあっと輝き、耳がピコンと立って、尻尾をぶんぶん振っている。

う~!
かわいい!好き!

私は観念して、ワンちゃんの膝に抱っこしてもらうことにした。
ここが一番落ち着くのだからしょうがない。

「ゴホン。では、僭越ながら、セバスがご教授致しましょう。
王に任せては、何を教えられるか・・・信用なりませんから。」
「ひどいな!そんなことは無いぞ!ちゃんと僕にだけ、愛を伝えられる方法なども教える!」
「そのような高度な所から教えられても困ります!」

セバスはワンちゃんに容赦なくぴしゃッと却下する。
猫さんとワンちゃんの戦いは猫に軍配が上がってしまうものだ。

「ラフィリア様。お心の中の訓練も大切な事ですが、ラフィリア様には、この国の事、仕組みなど、王の伴侶として学んでいただかなければいけないこと、多々あるようです。
昨日お母上様、侯爵夫人にお聞きしたところ、教師による教育などは行っていなかったとお聞き致しました。
拝見いたしています所、お勉強を始めるのに十分な頭脳のご成長されているご様子。
早速ですが明日、教師を手配いたしました。
そちらの方も是非、宜しくお願い致します。」

「有難う御座います!知りたいこと!沢山あったんです!」
私の前のめりな勉強意欲に、ちょっと驚いたようだが、セバスさんは少し安心したようだ。

当たり前のことなんだ、私は心は大人なんだもの。
何も分からないままで生きて、選択するなんて!恐ろしくて出来ない。

「ラフィは、心は大人なのか?」
ワンちゃんがなでくりなでくり私の頭を撫でながら、ポソっと疑問を口にする。

しまった!私は心の言葉がばれるんだった!
何この世界!意味わかんないよ!

「はは!ラフィは正直に何でも話してしまうものね。
可愛い~。だから私はラフィに愛されていることを疑わずに済むよ。」
そう言ってまた癖のすりすりをしてくる。
「・・・でも時々規模がでかい、世界規模な話するよね?
別の世界から来たみたいに。」

!!核心を!
・・・無心だ・・・。
これは禅の作業なんだ。
心を無にしろ、私!

ああ!考えちゃってる!
考えないのって難しいよ~~!

「もしかしてラフィは神様から言われて来た、異世界の使徒なの?」

え?そんな言葉あるの?使徒じゃないけど!

「異世界から来たの?神様にはあった?」

気が付くと、そこに居る全員が私に注目して、目を見開いてみている。

たぶんこれ、ダメなやつ・・・。
無無無無無・・・・。

私は知らない。
何も分からない。
生まれる前のことなんて覚えてない。

「神様には生まれる前に会うのか。僕は途中から来るのかとも思っていたけど。」

!!
どうしよう。私は嘘が下手なんだ。
それは前世から変わらない。
絶対に隠せない。

「わんちゃん。私はおかしい?これはダメな事かな?
嫌いに、なる?」

私は、観念して聞いてみることにした。
不安いっぱいの私にワンちゃんは、優しく頭を撫でながら甘く微笑む。

「大丈夫。
おかしくないよ。
皆、どこから勉強を教えたらいいか分からないから、興味があっただけだよ。」

「ラフィは何も心配しないでいいんだよ。
僕は何があっても、君のそばに居るし、ラフィを大好きなのは変わらない。
僕が絶対に守ってあげるからね。」

そう言ってすりすりして、ギュッと抱きしめてくれる。

これ以上ないくらい心強い安心する腕の中だったけど、私は、ほんの少し心の片隅で不安が芽吹いたのを感じた。

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