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小さな人間の子
10・魔法の様なひと時
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「レディはお美しお顔立ちですね。
私共も飾りがいが御座います。
完成が楽しみです。」
何気ない感じで鼻歌交じりに服の準備をしながら、商会の人が言った。
あまりに自然に褒められて、びっくりして固まってしまう。
そして瞬時に、『ああ、これはお世辞なんだ。』と、気が付き、恥ずかしくなって顔を赤くしてワンちゃんのモフモフに顔をうずめる。
わんちゃんがよしよしと頭を撫でるように頭をすりすりしてくれた。
いつだってこの子は優しい。
私は恥ずかしくって真っ赤になった顔で、いざドレスショッピングに立ち向かうことにした。
がちがちに緊張して棒人形の様になった私を、採寸係の皆さんがニコニコと採寸していく。
ウエストはもちろん、手首や足首足の甲の高さに首周りまで、測れるところは全部測るくらいに細かに採寸されていく。
前世ではもちろん、今世であってもドレスなんてオーダーメイドしたことは無いのだから、そのあまりの緻密さにびっくりして、少し恥ずかしく終始顔を赤くしていた。
「どのような、お色のドレスが良いでしょう。」
「初めてのお披露目ですもの!華やかなものが良いわよね。」
「それでいて、レディの可憐さが引き立つデザインがいいわ~。」
「大ぶりな飾りも素敵ですけど、小ぶりで品のある飾りが贅沢に使われているのがいいと思うわ」
ワイワイと楽しそうに商会の方がドレスを取り出しては、私にさっと合わせ、議論を戦わせては、さささっと手早く私に着つけていく。
ドレスのことなどさっぱりわからない私は、何を言われてもこくこく頷くことしかできず、鏡の中でどんどんいろんなドレスで変身していく私を、魔法みたいな心地で見ていた。
「綺麗な瞳のお色を引き立てるような、水色のドレス!プリンセスラインのドレスに銀の刺繍!背中のふわりとしたおリボン!宝石が散りばめられて、キラキラ輝いていて、まるで妖精のプリンセスのようではないですか!」
鏡の中の私が、嬉しそうに裾をゆらゆら揺らすと、キラキラした宝石が、魔法みたいにドレスを輝かせている。
「待ってくださいまし!この銀色に輝くエンパイヤラインのドレス!シルエットはシンプルですが、美しい模様に軽やかなレース!レースに縫い留められた宝石の輝きが風が吹くだけでもゆれますわ!
布地は発光し輝く、エリーズスイートを使っていますわ!神々しい月の女神のように見えましてよ!」
鏡の中で、ご機嫌な私は小さく一回転をする。すると魔法の粉でもかけられたみたいにレースが輝きながら軽く舞い、発光する軽い布地にふんわりと舞い降りる。
…夢みたい。
それからも沢山のドレスを着て、そのどれもが本当に可愛く夢のようにきれいだった。
皆どんどんとテンションが上がり、白熱し、髪形や化粧の議論を交わし、にこにこと笑いながら、キラキラとドレスを選んでいるうち、楽しい空間は出来上がったのだけど、どれもこれも素敵で決まらない!!と言う、新たな悩みが生まれてしまった。
頃合いを見計らったように、偉い立場の鳥の獣人さんが、
「あ~私共では、素敵過ぎて決めきれない!
どれもこれも似合うのだから、どなたかが決めて頂けたらな~。」
私はもしや私が決めなければいけないのか?!と、緊張する。
ぐるぐる考えて焦っていると、
「わん!」
ワンちゃんがキラキラした瞳で、一つのドレスの横にお座りし、手を示している。
「ワンちゃん、それがいいの?」
「わん!」
どう見てもニコニコの可愛い顔で、自信満々にドレスをおすすめしている。
可愛い!大好き!
「あ!あの!私もこれがいいです!」
鳥の獣人さんは、満面のニコニコ顔で
「では、そちらに致しましょう!」
それを合図に、盛り上がって熱くなった部屋はワッとさらに熱を加えたように笑顔になり、当日のメイクにアクセサリ、髪形などが素早く提案され、決まっていった。
「それでは、私共はこれで。
こちらは、王城よりの招待状に御座います。
急になりましたが、明日着付けとお迎えに上がります。」
差し出された封筒は上等な紙に重みを感じるほどに分厚いカードが入っている。
王城と聞き一気に不安が押し寄せる。
その不安を察したのか、使者の方はすかさず
「安心してください。
決して悪い事では御座いません。」
と美しく優しく笑った。
「ごゆっくりお休みくださいませ。」
そうしてキラキラの魔法の時間が、明日を期待させて、静かに扉の向こうに消えていった。
私共も飾りがいが御座います。
完成が楽しみです。」
何気ない感じで鼻歌交じりに服の準備をしながら、商会の人が言った。
あまりに自然に褒められて、びっくりして固まってしまう。
そして瞬時に、『ああ、これはお世辞なんだ。』と、気が付き、恥ずかしくなって顔を赤くしてワンちゃんのモフモフに顔をうずめる。
わんちゃんがよしよしと頭を撫でるように頭をすりすりしてくれた。
いつだってこの子は優しい。
私は恥ずかしくって真っ赤になった顔で、いざドレスショッピングに立ち向かうことにした。
がちがちに緊張して棒人形の様になった私を、採寸係の皆さんがニコニコと採寸していく。
ウエストはもちろん、手首や足首足の甲の高さに首周りまで、測れるところは全部測るくらいに細かに採寸されていく。
前世ではもちろん、今世であってもドレスなんてオーダーメイドしたことは無いのだから、そのあまりの緻密さにびっくりして、少し恥ずかしく終始顔を赤くしていた。
「どのような、お色のドレスが良いでしょう。」
「初めてのお披露目ですもの!華やかなものが良いわよね。」
「それでいて、レディの可憐さが引き立つデザインがいいわ~。」
「大ぶりな飾りも素敵ですけど、小ぶりで品のある飾りが贅沢に使われているのがいいと思うわ」
ワイワイと楽しそうに商会の方がドレスを取り出しては、私にさっと合わせ、議論を戦わせては、さささっと手早く私に着つけていく。
ドレスのことなどさっぱりわからない私は、何を言われてもこくこく頷くことしかできず、鏡の中でどんどんいろんなドレスで変身していく私を、魔法みたいな心地で見ていた。
「綺麗な瞳のお色を引き立てるような、水色のドレス!プリンセスラインのドレスに銀の刺繍!背中のふわりとしたおリボン!宝石が散りばめられて、キラキラ輝いていて、まるで妖精のプリンセスのようではないですか!」
鏡の中の私が、嬉しそうに裾をゆらゆら揺らすと、キラキラした宝石が、魔法みたいにドレスを輝かせている。
「待ってくださいまし!この銀色に輝くエンパイヤラインのドレス!シルエットはシンプルですが、美しい模様に軽やかなレース!レースに縫い留められた宝石の輝きが風が吹くだけでもゆれますわ!
布地は発光し輝く、エリーズスイートを使っていますわ!神々しい月の女神のように見えましてよ!」
鏡の中で、ご機嫌な私は小さく一回転をする。すると魔法の粉でもかけられたみたいにレースが輝きながら軽く舞い、発光する軽い布地にふんわりと舞い降りる。
…夢みたい。
それからも沢山のドレスを着て、そのどれもが本当に可愛く夢のようにきれいだった。
皆どんどんとテンションが上がり、白熱し、髪形や化粧の議論を交わし、にこにこと笑いながら、キラキラとドレスを選んでいるうち、楽しい空間は出来上がったのだけど、どれもこれも素敵で決まらない!!と言う、新たな悩みが生まれてしまった。
頃合いを見計らったように、偉い立場の鳥の獣人さんが、
「あ~私共では、素敵過ぎて決めきれない!
どれもこれも似合うのだから、どなたかが決めて頂けたらな~。」
私はもしや私が決めなければいけないのか?!と、緊張する。
ぐるぐる考えて焦っていると、
「わん!」
ワンちゃんがキラキラした瞳で、一つのドレスの横にお座りし、手を示している。
「ワンちゃん、それがいいの?」
「わん!」
どう見てもニコニコの可愛い顔で、自信満々にドレスをおすすめしている。
可愛い!大好き!
「あ!あの!私もこれがいいです!」
鳥の獣人さんは、満面のニコニコ顔で
「では、そちらに致しましょう!」
それを合図に、盛り上がって熱くなった部屋はワッとさらに熱を加えたように笑顔になり、当日のメイクにアクセサリ、髪形などが素早く提案され、決まっていった。
「それでは、私共はこれで。
こちらは、王城よりの招待状に御座います。
急になりましたが、明日着付けとお迎えに上がります。」
差し出された封筒は上等な紙に重みを感じるほどに分厚いカードが入っている。
王城と聞き一気に不安が押し寄せる。
その不安を察したのか、使者の方はすかさず
「安心してください。
決して悪い事では御座いません。」
と美しく優しく笑った。
「ごゆっくりお休みくださいませ。」
そうしてキラキラの魔法の時間が、明日を期待させて、静かに扉の向こうに消えていった。
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