神様に癒しをお願いしたら旦那様がもふもふでした

Keina

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小さな人間の子

3・異世界転生って流行ってるんでしょ?

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「僕、最近日本で遊んでたんだけどさ!
凄い概念を発見したんだよ!
君たち異世界に転生したいんだよね?!
流行ってるもんね?!」

らんらんと輝く瞳を間近い輝かせ、尚も神はまくしたてる。

「や~本当にびっくりしたよ!!
異世界に転生!記憶を持ったまま生まれなおすなんて概念!!
目から鱗!青天の霹靂!雷に打たれたみたいな衝撃だった!!」

神は日本文化をどっぷり学んだらしい用語を駆使しまくってくる。

「本当に面白いことを考えるよね!
そんなこと考えもつかなかったよ!
一本取られたね!」

たはーと言った最高のタイミングのジェスチャーを交え、神は非常に楽しそうに興奮している。
神の日本文化を押し出す用語と熱意に若干引いていく自分を感じてしまう。

…綺麗な顔なのに、なんて残念な神なんだ…。
秋葉で遊んだに違いない。

「でもさ、これ!異世界に転生ってやつ!
か・な・り!難しい技術なんだよ!
何せそんな概念すら存在しなかったんだ!
新しい摂理の構築さ!
無理難題!ミッションインポッシブルさ!」

カタカナ英語も完璧な日本発音である。

「で~も~!
僕なら!
出来た!!
す~~~~~っごく大変だったけどね!」

満面の笑みで両手を広げはしゃいで見せる。
もう私の目には神々しさのかけらさえも見えなくなってしまっていた。

「詳しく聞きたい~~?
あのね!まず   」
「いえ!!!詳しくは大丈夫です!!」

長年の経験で素早くフラグを折っておく、これは3時間コースだ。

「大体言わんとすることは、異世界転生って時点で想像できるんですが…。
なんで私なんですか?
特に誰かを救ってトラックにひかれた覚えもないですし、ホワイト企業勤務ですよ?」

神は話の腰を折られて、可愛く頬を膨らませる。
こんな文化まで習得済みとは…。

「ん~まぁ、ちょっと、選んだりするのは、めんどくさいって言うか~
特にそこに興味は無かったから~
たまたま!
ちょうどそこに君が目について。
すっごいたまたま!連れてきた!」

「なんか、不幸そうな顔してたし、いいかな?って、地球に未練ないかな?
って思って!」

ものスゴイ、偏見に満ちた決めつけ!

「いや!一応私にもありますよ!!地球に未練くらい!
勝手に決めつけないでください!!
ワン○ースとハンター×○ンターの完結まで死ぬわけにはいきません!!」

神様は、はっと息をのみ口を押える。

「ごめん…!!僕は…!とんでもないことをしてしまったね…。
…気持ちは、分かるよ。」

申し訳なさそうな、顔もつかの間だった。
あの、絶対的な神としてのオーラを身にまとうように、優美な仕草を取り戻し手を振る。

「フフフ!
でも、ざ~んねん!」

「もう君の魂は転生を開始してるよ?
フフフ、ごめんね!
もめることも、漫画で履修済みなんだ。」

美しい顔が不敵にニヤリと笑う。

「!!
そんな!…まって!聞いてない!!」

神は高貴な仕草でため息をつき、首をかしげて見せる。
私の体が段々と光り始め、感覚が薄れていく。

「何これ?!」

「君の望みは癒されることらしいね?神社で言ったでしょ?
大丈夫。それっぽい所を選んでおいたよ。」

(そんな!まだ、本当の心残りが!!)

もはや私の体は薄くなり、声を出すことも叶わなかった。

「ああ!そうだチートとか言うシステムあるんだっけ?
僕には何がチートになるのか、ちょっとわかんないんだよね~」

神はマイペースに、楽しそうに語りつ続ける。

(待って!家族に!まだ何も言ってない!!)
声にならない叫びが私にだけこだまする。

「役に立つのか分かんないけど、能力?適当に付けとくね?」

「ふふ!じゃあ!異世界、楽しんで!」

神はその存在に相応しい、完璧に美しく傲慢な笑みを向けた。

(最っ悪!馬鹿!オタク!
神なんて!絶対に恨んでやるんだから~~~~~!!!)

恨み節を心の中で叫びながら、私は自分のけたたましく泣く声で目を覚ました。
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