僕たちの世界

ラニーニャ

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プロローグ

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 大勢で結託して、誰か一人を傷みつけて、自分が上に立っていると思い込み、正義のもとで人の人生を壊す。
 ゴミ、消えろ、クズ、死ね、被害妄想乙、ブス、キモい、バカ、泣き虫、陰キャ、ダサい、のろま……。こんなにも言葉が溢れているのに、言えない言葉は、

 この世界なんて無くなればいい、そう思い続けた。

 人生がこんなにも楽しくないのなら、存在を全て否定してくるのなら、生きる意味を見出せないのなら、全部殺して、無くして、世界を終わりにさせたい。

 悪いのは自分をいじめる彼ら?
 助けると言葉だけの大人達?
 突然裏切った友達?
 それとも……自分ですか?

 解決の方法を考えて、それでも分からなくて、苦しい日々は常に続いて、誰のせいで誰が悪いのか分からず、全部を放棄して逃げ出したかった。それでも、大人はもっと頑張ろうと声をかけて、逃してくれない。肩をつかんで、腕を引っ張って、地獄に引きずり落とす。
 泣いたら、泣くなと言い、死にたいと叫んだら、逃げないで生きろと言う。助けるとだけ言って、何もしてくれない。

 もう終わりにしよう。
 ひっそりと誰もいない時に、自分の部屋に天井から紐を吊るした。椅子に登って、首に紐を通す。

「ウウッ……グスッ、ウゥ……」

 嗚咽が漏れ、視界が滲んだ。喉が腫れ上がって、うまく呼吸ができない。椅子からは飛び降りれなかった。怖い。悔しい。まだ死になくない。まだ、生きたい。
 自分に死ぬ勇気も、生きる勇気も無かった。自分の弱さをひどく痛感しただけだった。

 喉が、込み上げてくる涙を吞み込むかのようにごくりと動いた。死ぬのが、生きるのが、こんなにも難しいことだったなんて聞いてない。



 小学校低学年までは、普通だった。
 何も問題なく、友達もいて、放課後は友達と遊んだりと楽しい毎日だった。
 しかし、小学六年生のある日、一人の男子から
退けブス、気持ち悪りぃ」
 と言われた。

 運の悪いことに、その男子生徒は学校一問題児の不良だった。当然、周りの皆は彼のことを怖がっているし、言うことを何でも聞いたり、話に嫌でも合わそうとしたりする。 
 でも、あの時の僕は、特に危機感を覚えることもなく、自分が最初に座った席だからと、退くことはしなかった。「先に座ったのは僕だから」そう言って、描いていたイラストに集中を戻した。

 しかし、それが本当にダメだったようで、その日から僕はその男子生徒を中心にいじめが始まった。

 何日かすれば、全員忘れて何もしなくなるだろうと思ったが、彼らが忘れたのはいじめの発端だけ。
 最初は、あだ名をつけられ、次に陰湿的な陰口、そして、直接的な暴言とゴミのような扱い、最終的に暴力、盗み、給食をかけられるなど、なんでもありになってしまった。

 お前に人権なんてない。
 僕にはもう人権はない?

 様々な暴言に刷り込まれ、自分の正当化していた考えは崩れ、存在価値について長い間悩まされた。その後、あの不良の生徒が、学校にすら来ないで問題行動を起こし続けても、校内での僕のいじめは続いた。
 今やもう、僕は皆のおもちゃになっている。
 学校のある日は毎日、休むことなくいじめが企てられた。夜になると、思い出して泣き、明日になることを恐れて眠れなかった。
 親に相談しても「漫画の見過ぎだ」と言われ、先生に話しても「気のせいだよ」で終わらし、解決してくれない。誰も助けてはくれず、話だけ聞いて期待させて裏切る。

 なぜ、こんなことをするの?
 どうして、僕がこんな仕打ちを受けなければならないの?
 僕の生きる意味は……何?

 苦しくて、辛くて、胃が痛くて、涙が溢れて……僕はだんだんと自分の世界にのめり込んでいった。生きる希望を見つけるために、少しでも楽しいと思えるように、自分の小さな世界を作って、足掻いた。
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