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プロローグ
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大勢で結託して、誰か一人を傷みつけて、自分が上に立っていると思い込み、正義のもとで人の人生を壊す。
ゴミ、消えろ、クズ、死ね、被害妄想乙、ブス、キモい、バカ、泣き虫、陰キャ、ダサい、のろま……。こんなにも言葉が溢れているのに、言えない言葉は、助けて。
この世界なんて無くなればいい、そう思い続けた。
人生がこんなにも楽しくないのなら、存在を全て否定してくるのなら、生きる意味を見出せないのなら、全部殺して、無くして、世界を終わりにさせたい。
悪いのは自分をいじめる彼ら?
助けると言葉だけの大人達?
突然裏切った友達?
それとも……自分ですか?
解決の方法を考えて、それでも分からなくて、苦しい日々は常に続いて、誰のせいで誰が悪いのか分からず、全部を放棄して逃げ出したかった。それでも、大人はもっと頑張ろうと声をかけて、逃してくれない。肩をつかんで、腕を引っ張って、地獄に引きずり落とす。
泣いたら、泣くなと言い、死にたいと叫んだら、逃げないで生きろと言う。助けるとだけ言って、何もしてくれない。
もう終わりにしよう。
ひっそりと誰もいない時に、自分の部屋に天井から紐を吊るした。椅子に登って、首に紐を通す。
「ウウッ……グスッ、ウゥ……」
嗚咽が漏れ、視界が滲んだ。喉が腫れ上がって、うまく呼吸ができない。椅子からは飛び降りれなかった。怖い。悔しい。まだ死になくない。まだ、生きたい。
自分に死ぬ勇気も、生きる勇気も無かった。自分の弱さをひどく痛感しただけだった。
喉が、込み上げてくる涙を吞み込むかのようにごくりと動いた。死ぬのが、生きるのが、こんなにも難しいことだったなんて聞いてない。
◆
小学校低学年までは、普通だった。
何も問題なく、友達もいて、放課後は友達と遊んだりと楽しい毎日だった。
しかし、小学六年生のある日、一人の男子から
「退けブス、気持ち悪りぃ」
と言われた。
運の悪いことに、その男子生徒は学校一問題児の不良だった。当然、周りの皆は彼のことを怖がっているし、言うことを何でも聞いたり、話に嫌でも合わそうとしたりする。
でも、あの時の僕は、特に危機感を覚えることもなく、自分が最初に座った席だからと、退くことはしなかった。「先に座ったのは僕だから」そう言って、描いていたイラストに集中を戻した。
しかし、それが本当にダメだったようで、その日から僕はその男子生徒を中心にいじめが始まった。
何日かすれば、全員忘れて何もしなくなるだろうと思ったが、彼らが忘れたのはいじめの発端だけ。
最初は、あだ名をつけられ、次に陰湿的な陰口、そして、直接的な暴言とゴミのような扱い、最終的に暴力、盗み、給食をかけられるなど、なんでもありになってしまった。
お前に人権なんてない。
僕にはもう人権はない?
様々な暴言に刷り込まれ、自分の正当化していた考えは崩れ、存在価値について長い間悩まされた。その後、あの不良の生徒が、学校にすら来ないで問題行動を起こし続けても、校内での僕のいじめは続いた。
今やもう、僕は皆のおもちゃになっている。
学校のある日は毎日、休むことなくいじめが企てられた。夜になると、思い出して泣き、明日になることを恐れて眠れなかった。
親に相談しても「漫画の見過ぎだ」と言われ、先生に話しても「気のせいだよ」で終わらし、解決してくれない。誰も助けてはくれず、話だけ聞いて期待させて裏切る。
なぜ、こんなことをするの?
どうして、僕がこんな仕打ちを受けなければならないの?
僕の生きる意味は……何?
苦しくて、辛くて、胃が痛くて、涙が溢れて……僕はだんだんと自分の世界にのめり込んでいった。生きる希望を見つけるために、少しでも楽しいと思えるように、自分の小さな世界を作って、足掻いた。
ゴミ、消えろ、クズ、死ね、被害妄想乙、ブス、キモい、バカ、泣き虫、陰キャ、ダサい、のろま……。こんなにも言葉が溢れているのに、言えない言葉は、助けて。
この世界なんて無くなればいい、そう思い続けた。
人生がこんなにも楽しくないのなら、存在を全て否定してくるのなら、生きる意味を見出せないのなら、全部殺して、無くして、世界を終わりにさせたい。
悪いのは自分をいじめる彼ら?
助けると言葉だけの大人達?
突然裏切った友達?
それとも……自分ですか?
解決の方法を考えて、それでも分からなくて、苦しい日々は常に続いて、誰のせいで誰が悪いのか分からず、全部を放棄して逃げ出したかった。それでも、大人はもっと頑張ろうと声をかけて、逃してくれない。肩をつかんで、腕を引っ張って、地獄に引きずり落とす。
泣いたら、泣くなと言い、死にたいと叫んだら、逃げないで生きろと言う。助けるとだけ言って、何もしてくれない。
もう終わりにしよう。
ひっそりと誰もいない時に、自分の部屋に天井から紐を吊るした。椅子に登って、首に紐を通す。
「ウウッ……グスッ、ウゥ……」
嗚咽が漏れ、視界が滲んだ。喉が腫れ上がって、うまく呼吸ができない。椅子からは飛び降りれなかった。怖い。悔しい。まだ死になくない。まだ、生きたい。
自分に死ぬ勇気も、生きる勇気も無かった。自分の弱さをひどく痛感しただけだった。
喉が、込み上げてくる涙を吞み込むかのようにごくりと動いた。死ぬのが、生きるのが、こんなにも難しいことだったなんて聞いてない。
◆
小学校低学年までは、普通だった。
何も問題なく、友達もいて、放課後は友達と遊んだりと楽しい毎日だった。
しかし、小学六年生のある日、一人の男子から
「退けブス、気持ち悪りぃ」
と言われた。
運の悪いことに、その男子生徒は学校一問題児の不良だった。当然、周りの皆は彼のことを怖がっているし、言うことを何でも聞いたり、話に嫌でも合わそうとしたりする。
でも、あの時の僕は、特に危機感を覚えることもなく、自分が最初に座った席だからと、退くことはしなかった。「先に座ったのは僕だから」そう言って、描いていたイラストに集中を戻した。
しかし、それが本当にダメだったようで、その日から僕はその男子生徒を中心にいじめが始まった。
何日かすれば、全員忘れて何もしなくなるだろうと思ったが、彼らが忘れたのはいじめの発端だけ。
最初は、あだ名をつけられ、次に陰湿的な陰口、そして、直接的な暴言とゴミのような扱い、最終的に暴力、盗み、給食をかけられるなど、なんでもありになってしまった。
お前に人権なんてない。
僕にはもう人権はない?
様々な暴言に刷り込まれ、自分の正当化していた考えは崩れ、存在価値について長い間悩まされた。その後、あの不良の生徒が、学校にすら来ないで問題行動を起こし続けても、校内での僕のいじめは続いた。
今やもう、僕は皆のおもちゃになっている。
学校のある日は毎日、休むことなくいじめが企てられた。夜になると、思い出して泣き、明日になることを恐れて眠れなかった。
親に相談しても「漫画の見過ぎだ」と言われ、先生に話しても「気のせいだよ」で終わらし、解決してくれない。誰も助けてはくれず、話だけ聞いて期待させて裏切る。
なぜ、こんなことをするの?
どうして、僕がこんな仕打ちを受けなければならないの?
僕の生きる意味は……何?
苦しくて、辛くて、胃が痛くて、涙が溢れて……僕はだんだんと自分の世界にのめり込んでいった。生きる希望を見つけるために、少しでも楽しいと思えるように、自分の小さな世界を作って、足掻いた。
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