科学者が転生して元素使いになりました

ラニーニャ

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第三話

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「ふぁぁあ」
 私は目を覚ますと大きなあくびをし体を起こした。すると、手に何かが当たったような気がしたので隣をみてみると、そこには黒髪の男の子が私の横に寝ている。
「キャーー! だ、誰?」
と私は驚きのあまり避けんだ。
「ん? あ、うるせえな」
と男の子は起き上がり、
「俺だよ。ルージュだ」
と言った。
 え? ルージュ? ドラゴネットが人間の男の子に?
 私は起きたばかりでもあるので、頭が整理できない。
「お前、漫画とかアニメ見てないの? ドラゴンとかって人間に変身できるだろ」
と当たり前と言う顔で言ってくる。
「あ、そうなんだ」
と私はそんなことあまり知らないので、うんうん受け入れることしかできなかった。

 私達は朝食を終えた後、ギルドへ向かい依頼を探した。
「あっ、これはどうだ?」
とルージュが見せたのは魔物の森を小さくする依頼だった。
 魔物の森は、植物も動物も全てが魔物に覆われている森のことで、この依頼はその森を小さくして欲しいという依頼だった。最近では、その森が種を飛ばして広がっているらしい。
「これだったら、俺が火を吹けばすぐに解決じゃん」
とルージュは提案してきたが、少し不安だった。
「もし、その森の中に人がいたらどうするの?」
と私が言うと、ルージュは少し考えて、
「人がいないか確認してやれば大丈夫っしょ、受付人に魔物の森行ったやついないから聞けば良いんじゃん?」
と言った。ルージュって前世高校生なのに案外考えが薄っぺらいな。それとも、こういうのはどうでもいいとか思っているのかな? と私は少し思った。

 私は依頼の紙を持って受付人に
「この依頼をやらせて下さい」
とお願いした。
すると、受付人は
「あなた達のような子供はダメよ」
と断られてしまった。
 魔物の森は上や背後から魔物が襲ってくるのでプロの冒険者でも大怪我をして帰ってくることがよくあるらしく、ましてや、私達のような子供には許可を下ろすことはできないと言われた。
「なあ、受付人さんよ。俺達がこの依頼に相応する力を持っていたら許可をしてくれないか?」
とルージュが言うと、受付人は少し考えて
「良いですよ」
とどうせ無理だという顔でそう言った。
すると、ルージュはある男の人の所へ行き、
「おじさん、俺と勝負してくれ」
と戦いを申し込んだ。
「は? 子供が俺に勝てるわけないだろ。俺は魔力一万を超えていてこの町ではトップの冒険者なんだぞ」
と鼻で笑ってバカにしてきた。
「負けるのが怖くて断ってんのか? だせぇぞ」
とルージュはわざと男の人を挑発している。
「舐めるなよ、小僧。やってやろうじゃないか」
と指をポキポキならして、切れている。
 大人が子供の言うことに乗るなんて低レベルな人だなと私は哀れに思った。
「受付人さん、俺がこのおじさんに勝ったらこの依頼許可してくれるか?」
と受付人の所を振り向くと、
「調子に乗るな!」
と大きく右手を振り上げルージュの顔目掛けて振り抜いた。すると、ルージュはサッと避け、腕を掴み足で腹を蹴った。
「ごふぅっ!」
と男の人は苦しい顔をして腹を抑え、ルージュから腕を振り払おうとするが、ルージュの握力の方が上回っているため、なかなかほどけないことに驚いて腕だかりに集中している。
すると、ルージュが
「よそ見するな」
と言い、もう片方の手で顔面を殴った。その勢いで、男の人は飛んで強く壁に叩かれた。
 頬が赤紫色に腫れており、口から血が出ていた。とても痛そうだ。自分がやられたらと想像すると、背筋がゾッとする。
「どうした、かかってこいよ」
とルージュは指をクイクイいている。
 男の人は息が乱れて苦しそうだが、ルージュの方はとても余裕そうだ。
 腹を殴られたら痛みよりも呼吸困難となり、急所と同様食らうと非常に危険な場所と聞いたことがあるが、男の人の様子をみると本当のことだったようだ。
「そこまで! 依頼の許可を出すのでもうやめて下さい」
と受付人が大声でこの争いを止めた。
 これ以上勝負が続いたらこの男性の原型はあるのだろうかと私は想像するだけで、ルージュのドラゴンの力を恐ろしく感じる。
「秒で終わった」
とドヤ顔でルージュは私に言ってきた。
「そこまで、目立って大丈夫なの? 周りを見て少しは手加減した方が良かったと思うけど?」
と私が言うとルージュは頭をかいて、
「これでも結構手加減した方だぜ?」
と困った顔で言う。
「じゃあ、私が許可する時以外は戦うの禁止ね」
と言うと、ルージュはおけ丸水産と軽く返事をし私達はギルドを出た。
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