突然、プロポーズされまして。

kappa

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エドワード・アルバーン

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誰か俺を愛して欲しい。

俺はこの人生で、愛を貰ったことがないんだから。

俺の世界はモノクロだ。

俺が望んでも望まなくても、何も変わらない。

それはきっと、これからも。

「……」

ラブホのベッドで目が覚めたら、横に全裸の人が寝ていた──。

やってしまった……。

しかも昨日ヤッた記憶が無いんだけど!! 

なんで裸なんだ!?

俺脱いだのか!?

覚えてないんだけど!?

でもスッキリした感じはある……

いやだからってこれはダメだろ!?……

ん?……隣に誰かいる。

誰だろう? あぁそうか……そういうことか。

うん。そうだよな、そういうことだもんな。

昨日、彼女に振られて、飲み屋で飲んでたはず。

それからどうなったかは分からないけど……

多分、酔った勢いのままホテルに来てそのままヤッたんだと思う。

うん。

間違いない。

だって身体痛いし。

「…………」

???身体が痛い?……えっと?……あれ?……え? 

えぇ? ちょっと待ってくれ。

いや、え?

普通逆じゃない?

恐る恐る隣にいる人を見ると、彼女ではなく知らない男だった。

嘘だろおい!!!!!!!!!! 

やっちまったーーー!! 

よりによって見知らぬ男と…… 

うわぁぁああああ!! 

マジかよぉおお!! 

……落ち着け。

とりあえず状況確認しよう。

大丈夫。

落ち着いて冷静になろう。

俺は服を脱いでないし着てるし、シーツに血痕は無い。

良かった……まだ未遂だ。

セーフだセーフ。

ゴミ箱を見ると使用済みのゴムが入ってるけど、

それは見なかったことにするとして、

この男は……服を着ていないだけで他は何も無いように見える。

ということは、この男が勝手に脱いだだけなのか? 

でも、この男の服も無いんだよな……。

どういうことなんだ?

「……」

いや……今はそんなことを考えている場合ではない。

まずはこの男を起こさないように部屋を出ていこう。

よし!

行くぞ!

慎重に行こう!

「……」

音を立てないようにそっと立ち上がって、床に落ちていた下着を履いてパンツを探す。

よしあった。

ズボンもあるな。

あと上着とネクタイと靴下。

「起きたの?おはよー!」

ビクゥッ!!! 

心臓飛び出るかと思った……。

びっくりして声も出ねぇよ。

いつの間にか起きてきた男がニコニコしながらこっちを見つめてくる……。


なんかムカつくんですけど!?  

つか誰!?

なんで全裸で笑ってんだよこいつ!?くっ!顔がいいっ!ムカつくくらいイケメンだ。

腹立つなまじで。

こんな奴知らん。

絶対知り合いじゃない!断言できる!……でもどこかで見たような気もする。

どこだっけ?

思い出せないなら知らない人間でいいはずだ。

金髪で、ちょっと長髪で、体つきは筋肉質で、顔はまぁ悪くはないけど……でもやっぱりムカつく顔で……。


いやムカついてる場合じゃなくて、早くここから出よう。

ここにいたら何をされるかわかったもんじゃない! 

よし……いくぞ。

慎重にいこう。

男がベッドから出て、近づいてくる。

警戒心を緩めずにジリジリ後ずさりしていく。

「昨日、良かったよ?」

そう言いながら俺に近づき、腰辺りを抱き締められた。

……ん?なんで俺逃げられないんだろう?


おかしいな?

……それに、昨日何があったんだ?

……何も思い出せないんだけど。

「左様ですか……」

「ふふっ。敬語使わなくても良いよ」

そう言って男は微笑み、そのままの状態でいるとキスされた。

は?ちょ、なにしてんだこいつは!? 

抵抗しようとするけど力が入らない。

え?どうしてだ?なんでだよ!

力出ないってば!! 

そして何故か俺は舌を入れられている。

いやマジやめて!?

やめてって!

やだ……ぁ……むぐ……ぁああっ!……だめ……ってばぁぁああ!

やめてぇえええ!!

こいつめちゃくちゃ上手い!

ちゅぱって音がエロくて恥ずかしいし、変な気分になる。

あぁぁもう……!

気持ち良すぎて……ぁあ!

やだ……やぁあぁ……んんぅ……や、やめろってばぁ……あぁあん……!

身体が熱くなる前に唇が離れたけど、頭がぼーっとしている。

「可愛いね」

頭を撫でられて、更に身体がゾクッとした。

え、なにこれ?

ちょっと……本当に勘弁して欲しいんだけど!?

いやマジどうなってるんだよこの状況は!

意味がわからない!

……てか、この男の笑顔は何か嫌だ。

すげぇ怪しい感じがするというか……。

そもそも何者だよコイツ?

……でも、悪いやつではなさそうな気がするけど……

多分。

「この後、仕事?休みだったら一緒に居たいなぁ……なんて思ってたんだけど……。あ、そうだ、今度会おうよ!」

え?なんでそういうことになるのかな?

……なんで教えないといけないんだ。絶対に教えるわけにはいかない!

「すみません……、えっと、あの……急用を思い出したので失礼します」

よし、言う通りにしよう!

……逃げるが勝ち!ってことで急いで帰らないと!

……あぁもう最悪だ!

ネクタイを引っ張られる。

あれ?

なんで??

 引っ張られて動けないんですけど!?

 なに?

どういうこと??

「待って。君みたいなのタイプなんだよね、僕。だから逃がしたくない。」


怖い! なんだよこの人!

 いやいや、そんなこと言われても困るっていうか……。

俺帰る!

帰るんだってば!

「えっと……あの……。」

「ねぇ。名前は?」

やばいやばい! 

やっぱダメだ!

このままじゃ帰れなくなる!

「ごめんなさい!」

「あっ!ちょっと!待っ……」

俺は急いで服を着るとホテルを飛び出して駅に向かって走り出した。

……なんとか逃げ切った……。

はぁ……。

危なかった。

というよりヤバかった!

 でもなんで逃げられなかったんだ?

…………とりあえず家に帰ろう。

……それから数日経っても何も無かったけど、ずっとモヤモヤしたままだった。

俺は平凡なサラリーマンさ、たまにはあんな事もあるさ。

……そう思っていたのに、また会うことになるとは…この時は予想すらしていなかったんだ。


 いつも通りの朝を迎えて会社に行き、今日も一日頑張ろうと決意していたはずなのに……。

ベッドにいた男が朝礼で紹介されていて思考停止した。



は? 



嘘だろ? 



………なんで……。



こんなん現実にあるんかよ!!






「本日より、社長に就任する、エドワード・アルバーンだ。よろしく頼む」



は?……


なんで……?


 え?社長って……?


どういうこと? 


え?なんで??


 なんで!?

……なんで、なんで?


 なんであいつがここにいるんだよ!?

……意味がわかんねぇよ!! 


混乱している間にも話は進み、社長の挨拶が終わった。


社長は、俺を見つけてニコッと微笑む。

その瞬間、背中に冷たいものが走った。

え? 

やばくね……?

 な、なんか……目が合っただけで鳥肌たったんだけど……。


な、なんか……怖いんですけど……。


え……ちょっと……、なんか怖すぎ……。


なんか知らないけど怖いです。はい。……あぁ……もう帰りたいよぉ。


俺の心の叫びは誰にも届かない。

いや、届く訳が無いんだ。

だって俺はただの一社員に過ぎないんだから。


ただ……なんで俺の前に居るんだ? 


しかも社長とか……。

意味わかんないし、なんでこんなことになっちゃったんだろう。


てか、近づいて来てる?



……な、なんだろう。嫌な予感しかしない……。


はっ!? 

え?えぇ!?

 なんで??

 は?え?

……なんで?? ちょ、えぇぇ!? は?ちょ、ちょ……まっ!? あぁぁああ!!


……いやぁあ!!やめて!!ちょっ!?やめてってば!!いやぁああぁあ!!やめろおおお!!!!やだああああ!!



俺に跪くんじゃねえぇええ!!


やだぁああああ!!


「カイ・ヨシヒロ、また会ったね。僕と結婚してくれ!僕は君を愛している!僕の夫となって欲しい!!」



いやいやいや!いやいやいや!!


 何がどうしてこうなった!?


……おかしいだろ!?

絶対おかしいってば!


 何これ?どういうこと??

 なんで?なんで!?


 いやぁぁあぁあ!


誰か助けろよぉお!!


隗 頎弘 


27歳 黒髪、普通体型、独身、仕事営業。


エドワード・アルバーンという男のせいで俺の人生が狂っていく……。

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