ゴミ箱の男の話

kappa

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奈津子の話

第7話 

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裁判官のガベルが鳴り響く。
「主文、被告人を懲役3年に処する」と裁判官が言い判決を言い渡す。
奈津子は、被疑者の横におり肩を摩っていた。
「奈津子さん……ありがとうございます。」と被疑者の男は言う。
奈津子は、首を振る。
そして、男と目が合い微笑み合うのだった……。
奈津子は、仕事を終えて裁判所から自宅へ帰る途中、スーパーに寄る。
奈津子「今日は、毅は友達の家でお泊まりだから、ビール買って家で飲もうかな……。あ、そういや部屋の電球切れてたよな……あと時間余ってるから。」と独り言を言いながら買い物していく。
買い物を済ませて、ビールが入った買い物袋を持ちながら階段を上がる。
そこに、哲也が待っていた。
奈津子「南くん!?」
哲也「奈津子さん!すみません、突然。」と頭を下げる。
奈津子「どうしたの?」
まさか、匠にバレて脅されている?
そう思うと心配でならない奈津子。
哲也「奈津子さん、俺になんでも言ってください!俺ができる限りの事でなら、協力するから。あの大空匠って男。」と険しい表情をした哲也が言う。
奈津子は驚くが、同時に胸を撫で下ろした。
奈津子「ううん……。」
奈津子と哲也は、近くの公園に行く。
奈津子「匠に何言われたの?」落ち込んだ顔で聞く。
哲也「いい仲なんだなと言われただけです。でも先輩と寝てるとも言われました。」
奈津子「ごめん、巻き込んで。」
哲也「いえ、いいんです。それに先輩に何があっても絶対に見捨てませんから!」と言う哲也。
奈津子は「私なんかと付き合うなんて考えないほうがいいよ。だって私……酷いことしてるのよ…。」
哲也「俺に話して下さい。あなたを助けたいんです。」
奈津子の顔は昨日、匠に殴られていたので少し晴れていた。
奈津子は、意を決して哲也に今までの事を話した。
全て話し終えた奈津子は、 いつもとは違い穏やかな顔して、涙を流した。
そんな奈津子の体を抱き締める哲也。
哲也「話してくれてありがとうございます。」
それから哲也は、匠の事を色々調べてくれたりした。
匠は最近、寄り付かなくなっていたので、丁度良かった。
その間に私は哲也と関係を深めていき、毅にも哲也の事を話し、哲也は毅にも優しく接してくれ、匠とは全く違う関係を築き上げようとしていたのだった……。


休日を利用して、毅と哲也を連れて公園に遊ぶに来ていた。
公園で毅と哲也がキャッチボールを楽しそうにしている。
側から見れば親子のようだ。
匠とこんな関係になっていなければ、私は哲也と結婚して、匠とも普通の関係だったのだろうか。
そう思うと胸が痛くなる奈津子。
毅が楽しそうに奈津子を呼ぶ。
毅「母さん!見てー!」とボールを投げる。
哲也はキャッチする。
奈津子はそんな光景を微笑ましく見ていた。
そんな光景を見ていると心が和む。
3人で昼にする。
奈津子手作り弁当を3人で食べる。
「美味しい!」と毅が言い、哲也も「美味いです!」と言う。
奈津子は嬉しそうに微笑む。
奈津子は決心したかのように、毅に尋ねる。
奈津子「ねぇ?毅?南くんみたいなパパがいい?それとも……匠みたいなパパがいい?」
毅は、少し考えてから答える。
毅「俺は、母さんが幸せならどっちでもいい!」と言う。
奈津子は涙が出そうになるが堪えて言う。
奈津子「毅、ありがとう。でも私は毅のお母さんだから……。ごめんね……。」と言う。
そんな奈津子の手を哲也が握る。
哲也「毅くん、僕とお母さんが結婚したら嫌かな?僕は毅くんみたいな息子が欲しいな。」
と哲也が言う。
毅は、少し考えてから答える。
毅「俺は……泣いている母さんは見たくない……。だから、南くんが母さんを幸せにしてくれるなら、俺は応援するよ!」と言う。
哲也「毅くん!ありがとう!!」と嬉しそうに言う哲也。
奈津子は涙を堪えながら、 奈津子「ありがとう。」と言う。
奈津子は、哲也の手を握り返す。
奈津子「毅……いままでごめんね。匠と別れるね?南くん…?もう、自由になりたい。南くん、私と結婚して。
」と奈津子が言う。
哲也「わかりました。」と頷く。
哲也の目には涙が浮かんでいた。
いままでごめんね、毅。
こんな母親で。
そして、南くん。
こんな私だけど、これからよろしくお願いします……。
奈津子は匠と別れる決意をしたのだった……。
匠は、奈津子と毅と哲也が公園で仲良くしている姿を目撃し、怒り心頭だった。


それから数日後。
奈津子の仕事をしている弁護士事務所に匠がやってきた。
弁護士事務所の営業は終わっていた。
奈津子は匠の姿を見て驚くが、冷静に対応する。
奈津子(南くん……毅を守ってね……)と心の中で祈るのだった……。
匠は酷く酔っているようで、奈津子の胸ぐらを掴み壁に叩きつける。
アルコールの臭いがする。
匠は、奈津子を壁に押し付けたまま言う。
匠「久しぶりだな。いい男捕まえたじゃねぇか。」
奈津子「なんの話よ。それより家に入れる代わりに、事務所には来ない約束でしょ?お酒飲んでるの?早く帰って。」と冷たくあしらう。
匠と不倫関係になってから、事務所に居られると迷惑なので、約束をしたのだ。
匠「いいだろうがよ!」と怒鳴りつける。
匠は事務所で暴れ出し椅子や机を蹴り倒す。
奈津子「やめて!」と匠を制止する。
匠は、奈津子の胸ぐらを掴んで言う。
匠「うるせぇ!てめぇ、俺に逆らう気か?」と怒鳴る。
奈津子「逆らうも何も約束でしょ?それに事務所で暴れないで!迷惑よ!」と言う。
匠は舌打ちをして言う。
匠「俺以外の男作った罰だ。」と奈津子を殴る。
奈津子は倒れこむ。
奈津子は、顔を抑える。
奈津子は急いで自分のデスクに戻り、封筒を取り出して、匠の胸に叩き付ける。
奈津子「もう、二度と来ないで!」と言う。
匠は封筒の中身を見て言う。
匠「なんだ?これは?」と聞く。
奈津子「ある程度のお金が入ってる。もう家には来ないで。じゃないと容赦しない。」
匠「手切れ金か?そういうこと言っていいのか?あの事ばらすぞ?」
奈津子「好きにしたら。あんたの悪事は私が処理してきたんだから、あんたを終わらすことなんていつでも出来るんだから。」と強気で言う。
匠「なんだ!あの南とか言う男に惚れて、俺を切るのか?あんな男に乗り換えてもろくな目に遭わないぞ?」と言う。
奈津子「あんたよりよっぽどましよ!もう帰って!二度と来ないで!」と言う。
匠「ち、」と舌打ちをしてから、奈津子に近く。
奈津子「なに?本気で怒るよ。」と睨んで言う。
匠「最後に一発やらせろよ。それぐらいいいだろうが!!」
と奈津子の胸ぐらをまた掴む。
奈津子「……いいわ、これで最後だから。」
これで……。最後だから……。
 
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