ゴミ箱の男の話

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真由の話

第4話 新しい命の代償

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それから真由は美優に嘘を付き、匠との付き合いを続けていた。
美優は気づいていないようだ。
お姉ちゃんが悪いんだもん。
匠さんに別れろなんて、言って……。
美優に上手く嘘をついて2人で一緒にいる頻度を増やしたのだった。
しかし、束の間だった。
真由は夜、吐きに襲われ、トイレで便器を抱え蹲っていた。
気持ち悪い……。
風邪でも引いたかな?
でも、吐き気なんて今までなった事が無いのに……。と不思議になる真由だったが今はそれどころではなかったのでトイレを流して自室に向かう。
ベッドに倒れ込むように横になり目を閉じた。
次の日、美優が真由の部屋に入り起こしに来る。
美優「真由、早くおきなよ、遅刻するよ!」

真由が寝ぼけながら起きる。

真由は目を擦りながら言う。

真由「おねえちゃんおはよう。今日も早いね」

美優「あなたが、お寝坊さんなだけじゃない。」

美優は、部屋を出て行こうとすると、小さな袋が落ちている。

美優(なんだこれ?)拾い出ていく。

良く見ると、コンドームの袋だった。

(えっ?まさか?)

慌てて部屋に戻り、真由に聞く。

真由「えっ?」

美優は、真由の服をめくり上げる。

美優(やっぱり……。キスマーク……。)

美優「あなた…匠と…続いてるの?」

真由は顔を赤らめて答える。

真由「うん……。」
やばい…お姉ちゃんにバレちゃった。
恥ずかしいなぁ……いや、この際ちゃんと私愛されてるんだって言う所を証明しなくちゃ! 
美優「なんで!別れたんじゃなかったの!?」
真由「そうなんだけど……匠くんが、私に会いたいって言ってて……。私も会いたかったから……。でもお姉ちゃんには内緒にしてって言われて……。ごめんね。」
美優は唇を噛むという。
美優は、部屋を出た。
リビングに行く真由。
真由「おねぇちゃん、ごめんさない…。」
真由は泣気気味にそう言って、後ろから抱きついた。
きっとお姉ちゃんは、怒っている。
下を向き美優の返答を待つ。
美優は、口を押さえて、トイレに走った。
お姉ちゃん体調悪そう。と心の中で真由はそう心配していた。
部屋に急いで戻る。
そして、学校に行く。

放課後、喫茶店でバイトをしていた。
梶叔父さんがやってきた。
梶叔父は、深刻な顔をしていた。
真由「どうしたの?」
梶「美優が産婦人科に行ったと
、島の人に聞いてな……まさかとは思ったんだが……。」
真由「そうなの?」焦るように聞く。
梶は顔を伏せると答えた。
梶「真由、お前は何もしらないんだな?」
真由「知らないよ…」
お姉ちゃん体調悪かったのって…。
じゃあ、私も?やばい。
嘘!噓と言ってよ真由は心の中でそう思い詰める事になったようだ。
顔が青ざめ冷や汗をかくようになっていく……。
真由は帰りに薬局で、妊娠検査薬を買う事になったのだ。
そして自室のトイレで結果を見ると線がくっきりとはっきりとついていたことに目を見開いた。
真由「匠さんの赤ちゃん…。」
梶が鍵を開けて入ってくる。
真由の手には妊娠検査薬があったのを見られしまった。
真由「違うから!」焦って言うも手遅れである事は、明白だった..美優だけでなく真由までもが妊娠となると島民からすれば連鎖とは言うと負のイメージが強いものだった。
梶「どう言う事だ?答えろ」
真由「違うから!妊娠なんてしてないから!」と言う。
梶は、無口になっていくのだった。
梶と真由は、リビングで話すことになる。
梶「お前幾つだ。」
真由「17……」黙り込む梶。
そこに美優が帰宅してくる。
玄関のドアを開けると真由と梶叔父さんが深刻な顔で話していた。
真由と目が合うと真由は泣きながら抱きついてきた。
真由「お姉ちゃん!」
美優の顔が腫れている事に気づいたら真由。
真由「お姉ちゃん、顔どうしたの?大丈夫?」
美優は真由を抱きしめながら言った。
美優「うん。ちょっと転んじゃって。」
玄関に梶が出てくる。
梶「なんだその顔は!?とりあえず中で話を聞かせてくれ。」美優と真由はリビングに行く。
梶は少し不機嫌な感じで話始める。
梶「美優、お前が隣村の産婦人科で診察を受けていたと、聞いたんだが本当なのか?」
美優は黙っている。
梶は続けて話す。
梶「お前まさか妊娠してないだろうな?」
美優はビクッとする。
美優は何も答えない。
梶は美優の肩を掴み揺さぶるようにして怒鳴る。
梶「おい!なんとか言え!妊娠してんのかしてないのかどっちだよ!」
美優は泣きそうになる。
真由「お姉ちゃんをいじめないで!」
梶は美優から手を離し言う。
梶「真由お前もだぞ!妊娠検査薬買ってきたら陽性が出たらしいじゃないか!どういうことだ?」
真由も泣き出す。
美優と真由は申し訳なさそうに答える。
美優「はい……。妊娠してます……。ごめんなさい……。」
梶は、ため息をつく。
梶「なんてことだ、亡くなった。お前らの親になんと言えばいいんだ。」
美優も真由も下を向いてしまう。
梶は、腕を組み考える。
しばらくの沈黙の後、ゆっくりと口を開く。
梶「相手は誰だ?正直に言いなさい。」
美優と真由は匠の名前を出す。
梶は驚いている。
梶「由美子の旦那か?あいつがそんなことを?」
美優と真由はうなずく。
梶はまた考え込んでいる。
梶は美優と真由を交互に見て言う。

梶「なんなんだ!それは!不倫してたのか!?お前ら!」
美優と真由はうつむく。
梶は美優の胸ぐらを掴む。
美優は恐怖で震えている。
美優は涙目になりながら言う。
美優「ごめんなさい。」
美優は胸倉を掴まれている為上手く喋れない。
美優は胸が苦しくなる。
美優は咳き込む。
美優「ゴホッ!ゲホ!」
美優は床に倒れ込む。

美優は、呼吸が出来ず苦しい。

真由が慌てて駆け寄る。

真由「お姉ちゃん!」

梶は、我に返り美優から離れて謝りながら背中をさすってくれる。

梶「すまない、美優、真由、俺が悪かった。」

美優は、落ち着く。

美優は、真由と匠との不倫関係を告白する。

梶は、美優の話を聞いてくれた。

そして、匠に対しての怒りをあらわにする。

匠に対する怒りが収まらないようだ。

梶「すぐに、匠をここに呼び出せ!今すぐだ!」

真由は納得がいかないようで反抗した。

真由「匠先輩は悪くない!私が好きになった!だから!家族も壊さないって約束したの!匠先輩を信じて!お願いします。」

梶「お前な馬鹿なのか?お前の好きになった奴のせいでお前らは、大変な事になったんじゃないか?それなのに、まだ信じるとかふざけてるのか?」

真由は、反論する。

真由「馬鹿でいいもん!匠先輩のせいじゃない!!私が勝手に好きになっただけだから。それに、匠先輩は、私の事好きなんだよ。」

梶は、真由に近づき真由の頬を叩く。

真由は、叩かれた事に驚き、泣き出した。

梶は、続けて話す。

梶「お前は、美優の気持ちを考えた事があるのか?美優は、お前を庇って辛い思いをしたんだぞ?それでも、お前はまだ、自分の都合だけで動くのか?美優の事も考えてやれよ。」

真由は、泣きながら言った。

真由「だって!仕方なかったんだもん!匠先輩が好きなんだもん!お姉ちゃんには悪いと思ってるけどでも、私は、後悔してないから!」

美優は、真由の言葉にショックを受けた。

美優(やっぱり、真由もそう思ってたんだね。)

美優は、真由と匠との関係が、ただの先輩後輩の関係
ではなく、男女の関係で、お互いが、本気で愛し合っていたのだと悟った。

梶は、真由の肩に手を置き優しく話しかける。

梶「ふざけるな!何言ってるんだ!相手は既婚者なんだろ?しかも、妊娠までさせて、お前たちは、どうなるんだ?」

真由は泣きじゃくりながら話す。

真由「匠先輩を愛してるの!子供は産むの!なんで誰もわかってくれないの!」

真由は泣き崩れてしまう。

美優は、真由の肩を抱き慰めてあげる。

真由は、今まで、我慢してきた感情が爆発してしまったのだ。

梶「あいつがお前らを愛しているわけないだろう!あんな最低な男なんだぞ?お前ら騙されてんぞ!」

真由は泣き叫ぶ。

真由「違う!騙してなんかいない!あの人は優しいの!いつも、笑顔で接してくれるの!すごく、素敵な人なの!」

梶は、ため息をつく。


梶は、美優に話す。

梶「美優、真由を家から出すな。俺は、あいつと話をしてくる。」

美優はうなずく。

真由「辞めて!匠先輩をいじめたら許さない!」

梶は、真由に言う。

梶「うるさい!黙っていろ!もうお前らの問題ではない!」

真由は、また泣いてしまう。

美優は真由を抱きしめる。

美優も涙を流していた。

美優と真由を残して、梶叔父さんは匠の家に向かった。

************************************
真由「駄目、匠さんは私が守らないと。」
美優「ダメよ!行ったら!」
と止める。
真由「匠さんは、何も悪くないんだから!」
真由は首を振りながら言う。
美優から離れ、台所に向かい棚から包丁を持ち出してくる。
真由「私が守るのよ!梶さんには武器が無いと勝てないもの!」
美優「何してるの!真由!」
美優は急いで真由の腕を掴むが真由は目をうるませて言う。
真由「お姉ちゃんどいて!お姉ちゃんがどかないなら!お姉ちゃんも匠さんの敵だよ!私は匠さんと幸せになるの!そのためには、私が匠さんを守れないとダメなんだ!」
包丁を首に近付ける真由。
美優「待ちなさい!絶対だめ!」と言って、もみ合う形になってしまう二人。
美優を刺そうとしている、真由だった。
美優「やめて!」と言い転ぶ美優。
真由は、その隙を突いて家から出ていってしまった。
もちろん真由の手には包丁を持ちながらだが……。
真由は言うことを聞かなかった。
梶叔父さんを追いかけて行ってしまった、
匠の家に向かう為、走る真由。
美優は必死に走ってついて行ったのだった。
外は土砂降りの雨、傘を刺さず、真由は濡れることも気にせず走る。
美優も家からが追いかけるように息を切らしながら走る。
真由「私が守らなきゃ!」
匠の家の近くに着くと梶が匠の胸ぐらを掴んでいた。
真由「私が匠を守るんだからぁ!!離せっ!」と言って梶に包丁ごと体当たりする。
ドスンという鈍い音と共に、梶が倒れる。
梶「な、なんぜ……ゔが刺されたんだ?」

真由は、泣きながら言う。

真由「匠先輩に……!酷いこと……しないで!!」

匠は、真由を見て驚いていた。

後から美優が真由を追いかけてきた。

美優は真由を見て叫ぶ。

美優「真由!あなた何して!救急車呼ばないと!」

真由は、泣き叫ぶ。

真由「梶叔父さんが悪いの!だから!」

美優は、真由の言葉を聞いてショックだった。

真由は、匠を見て話す。

美優は、スマホを取り出す。

美優「救急車……呼ばないと……。」

真由は、美優に抱きつく。

真由「お願い!救急車はダメ!」

真由は、美優のスマホを投げる。

美優と真由が会話をしている間にも、真由の叔父さんである梶の出血量は増えていく。

匠は、梶に近づき馬乗り、梶の首に手をかける。

匠「お前が、悪いんだからな!お前が俺を怒らせたんだ!」

梶は、匠に首を絞められ苦しんでいる。

美優は、匠の腕にしがみつき、必死に止めようとする。

匠は、梶を殺める勢いで、首に力を入れる。

しかし、美優の力では匠を止める事は出来なかった。
匠は、梶に話しかける。

匠「お前が、俺を馬鹿にしたからだぞ!俺を侮辱した罰だ!死ね!」

匠は、強く力を入れる。

梶は、息が出来ず意識が遠退いて行く。

美優「辞めて!辞めて!辞めて!匠!やめてー!!」

匠は、梶の顔が紫色になっていく。

美優は真由に匠から引き剥がされる。

美優の服は真由が梶を刺した、血で汚れてしまう。

匠は、梶の首を絞めて楽しんでいる。

匠「あぁ~スッキリするな!苦しいだろ!ほら!もっと締め付けてやるよ!」

梶は、抵抗する事なく、白目を向き泡を吹き出し気絶していた。

匠は、それでも梶の首を離さない。

美優「いやっ!匠!もうやめて!お願い!やめさせて!」

美優は、匠に懇願するが、匠は聞く耳を持たない。

梶の息が止まる。

匠は、梶が動かなくなった事を確認すると、やっと梶を離す。

匠は、真由に言う。

匠「こいつ殺しちゃったけど、大丈夫だよ。後始末はしておくよ。真由ちゃんは心配しなくて良いよ。」

美優は、震えながら匠を見る。

美優の目には涙が溢れていた。

部屋の中は、梶の血液が飛び散っていた。

匠は、床に転がっている死体を見ていた。

匠(こいつは、邪魔だし片付けておくか。)

匠は、自分の部屋に行き、ブルーシートを持ってきた。

匠は、梶の死体をブルーシートで包み、紐で縛る。

真由と美優は、現在起きている事に唖然としている。

匠は、真由と美優に言う。

匠匠「お前達は家に帰れ!」

匠は、真由は美優を引っ張る。

匠「早く行け!ここは危険だからな!警察が来ると面倒くさい事になるぞ!いいな?」

真由と美優は、匠に従い家に帰る。

匠「真奈!お前も帰れ!警察に何も言うなよ!分かったな?」

隠れていた女は真奈と言うらしい。

真奈は、匠の家から出ていく。

外は、大雨の中、傘もささずに走る、真由と美優。

美優(なんで?どうして?こんなことに?)

真由は走り疲れたのか歩く。

真由「私が悪いの。ごめんなさい。お姉ちゃん…うぅ……。」

真由は自分の不甲斐なさに落ち込んでいた。

真由と美優は雨でずぶ濡れになっていた。

美優「私も……ごめん…………。」

真由の手からは梶の血が地面に落ちている。

その手を取り、真由は話す。

真由「違うの!真由のせいでこうなったんだよ?全部私のせいなんだから……。真由があんなことしなければ……」

真由美の瞳からも大量の涙が流れてくる。

美優「もう誰も……真由、あなたを失いたくない…の…真由だけは失いたくなかったのに……真由だけでも幸せになって欲しかったのに……。私は、どうしたら良いんだろうね?」


真由と美優は泣き続けた。

美優と真由の二人は泣き止むまでずっと泣き続けていた。

しばらくすると、遠くの方からパトカーの音がきこえてきた。

美優(真由が警察に捕まる…そんなのやだ…よぉ..)

美優は、真由が警察に捕まることを恐れた。

美優「真由、警察に絶対捕まらせないからね!」

真由は何も言わずに下を向いていた。

美優は、真由の腕を掴み必死に、家まで走る。

家に入り、ずぶ濡れの真由をお風呂に入れる。

美優「真由、まず血を落として!話はそれから!」

真由は、黙って従うしかなかった。

美優は、バスタオルと着替えを用意すると浴室から出た。

真由は美優の用意してくれた服に着替えるとリビングで、俯いて座っていた。

美優は、真意を聞かずにコーヒーを入れる準備をしていた。

そして、旅行カバンを開けて必要な物だけを詰め込み始めた。

真由「何してるの?」

美優は真由に笑顔で言う。

美優「今のうちに逃げるのよ。大丈夫よ。この事は誰にも知られないように、真由だけでも逃げて生き延びて、それで好きな男性を見つけて幸せな家庭を築いてほしいの。わかった?」

真由は、涙を流し始める。

真由「お姉ちゃんと離れるのは嫌だよ!!」

美優は、真由を見て優しい口調になる。

美優「真由なら素敵な男性がみつかるわよ。きっと、真由の事を守ってくれるはずよ。真由だっていつまでも子供じゃないんだし、自分で決めないといけないこともあるでしょ?」

真由は美優の言葉を聞いて考え込む。

しかし、答えが出ないのか美優を見つめたまま泣いているだけだった。

美優「お金はなんとかするからね?」

タクシーが家に止まる。

美優「親戚の三木叔母さんには、さっき電話して話してるからね?早く!」

真由は立ち上がるが動かない。

美優は、無理やり真由を連れて玄関に向かう。

真由「お姉ちゃん!!一緒に来て!」

真由は、美優に抱きつき離さない。

美優は、困りながらも微笑みながら優しく言う。

美優「あなたは、きっと匠に利用される。だから何にもやってない私が犠牲になれば、全て丸く収まるでしょう?だから行って。必ず生きて。お願い。」

真由「いーや!お姉ちゃんと一緒に行く!絶対に離すもんか!もう真由を置いていかないでぇ。」

真由の目から涙が溢れる。

真由は美優にしがみつく。

美優は無理矢理真由をタクシーに掘り込む。

美優「ありがとう。愛していたよ。さよなら。」

運転手に行き先を告げる。

美優「じゃあねぇ。元気で暮らすんだよ。」

ドアを閉めるとすぐに発進させる。

車が遠ざかる中、真由の声が聞こえるような気がした。

真由は車の中で大声を上げて泣いた。

その日、美優は妹が梶を刺した事、匠が梶を殺した事を嘘をつくことに決めた。

それは妹を守る為だったかもしれない。

自分の為にも。

真由を乗せた車は、夜の街を走る。

真由は泣き疲れ寝てしまったようだ。


雨は降り続いていた。
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