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美優の話
第4話 新たな命/奪われる命2
しおりを挟むこの物語はフィクションであり実在する人物や地名などとはなんの関係もありません。
************************************
美優は、産婦人科に来ていた。
美優(妊娠してたら……どうしよう)
匠と不倫関係になってから半年が経っていた。
その間、避妊具無しでのセックスも何度かあった。
ピルを飲んでいたので、妊娠した事は一度も無かったのだ。
美優(大丈夫だよね?きっと違うよ)
不安な気持ちを抑えながら受付をする。
周りはお腹の大きな妊婦さんや小さな赤ちゃんを連れたお母さんばかりだった。
美優は受付を済ませて待合室に行く。
島から離れた病院にした。
美優(もし、知り合いにあったら……。)と考えると怖かった。
幼馴染の由美子が結婚している旦那と不倫してるなんて誰にも言えないし、知られたくなかったからだ。
由美子にバレたら、島の人達にバレたらと思うと怖い。
だからこの事は絶対に知られてはいけないと思った。
そして今から診察を受けるのだが緊張していた。
しばらくすると名前を呼ばれた。
美優は立ち上がると診察室に入った。
中に入ると若い男の先生がいた。
その男は美優を見ると言った。
医者「こんにちわ、今日はどうされました?」
美優「あの、妊娠検査薬で陽性が出まして…それで来ました」
医者「わかりました。では内診しますね。隣の部屋に移動お願いできますか?」
美優は言われた通りに隣に移動した。
そこにはカーテンがあり、椅子があった。
そこに座ると看護師が来た。
看護婦A「山岸さーん。下着を脱いでくださいね~」
美優は恥ずかしそうに脱ぎ、椅子に座る。
すると脚を大きく開かせられた。
そして膣鏡を入れられ子宮口を見られたり触診されたりした。
美優(なんか変なかんじするぅ)と思いながらも我慢をしていた。
しばらくして終わり服を着替えるように言われて終わった。
その後、診察室に呼ばれ結果を聞くことになった。
医者はカルテを見ながら言った。
医者「山岸さんの生理周期を教えてください」
美優は答える。
医者はその日数を聞いて計算していく。
そして答えを出した。
医者「山岸さんは妊娠していますね。3ヶ月目です」
美優はそれを聞いた瞬間、絶望感に襲われた。
まさか本当に妊娠してしまうとは思わなかったのだ。
医者「山岸さん、お年はいくつですか?」
美優は言う。
美優「19歳になります」
医者はカルテに書き込む。
医者「成人してるけど、未成年ですね。親御さんかパートナーには連絡しましたか?」
美優は首を横に振る。
美優「親はいません。」
医者「じゃあ、パートナーさんを後日連れて来て下さい。今後の説明をしましょう」
美優「堕したいで…す」
医者は少し考えてから言った。
医者「なら、この同意書にパートナーの方の名前を書いてもらって印鑑を押してもらわないといけません。あと中絶費用として50万円かかりますがいいでしょうか?」
美優はお金の事など考えていなかった。
ただ産むという選択肢は無かった。
同意書を持って病院の近くの公園のベンチに腰掛ける。
美優(どうしよう……、これからどうすればいいの?)
匠の子供を妊娠した、でも不倫で出来た子供だなんて言えるわけがない。
美優のスマホが鳴る。
匠からの着信だ。
美優は、電話に出る。
匠「もしもし」
美優「はい…山岸です……。」
美優は元気のない声で答える。
匠「おい、どうしたんだよ。体調悪いのか?」
美優「いや、そういう訳じゃないんだけど、ちょっと色々……」
匠「せっかく、やろうとおもってたのによ。まぁいいか。真由にでも頼むわ。」
真由とは美優の妹である。
匠は妹の真由とも肉体関係があり、不倫関係にある。
美優「辞めて!妹に手出さないで!行くわよ!今すぐ!」
匠「じゃあ、いつものホテルで待ってるぜ。」
匠は嬉しそうな声で答えた。
美優は匠と肉体関係を持つ時は基本、ラブホを使っていた。
そのラブホテルに急ぐ。
美優はラブホテルに着き、部屋に入る。
匠はベッドの上で待っていた。
匠「遅かったな。ほら脱げよ。」
美優「その前に話しがあるの。」
匠は怪しげな顔をして聞く。
匠「なんだ?早くしろよ。こっちは溜まってんだ。」
美優は意を決して話す。
美優「実は私、妊娠してるの。」
匠は驚いた顔をしない。
むしろニヤリと笑ったのだ。
匠は知っていたかのように話し始めた。
匠「やっぱりな。お前最近生理が遅れてたろ?それに俺の精子の量が多すぎて排卵日に中出ししたら妊娠しやすいからな。」
美優は驚きを隠せない。
匠「俺の子だろ?お前彼氏には、中出しなんてさせないだろ?」
美優は何も言えなかった。
匠は続ける。
匠「でも、お前喘ぎながら、気持ちいい!中出してって言ってただろ?」
美優は思い出したくない事を言われ顔が赤くなる。
匠は続けて言う。
匠「妊娠検査薬買ってきたら赤い線が出て焦っただろ?」
美優は黙っている。
匠はさらに続けた。
匠「妊娠検査薬で陽性が出たから産婦人科に行った。違うか?」
美優はビクッとした。
なぜわかったのか不思議だった。
匠はさらに続ける。
匠「堕胎同意書持ってるんだろ?堕ろすのか?それとも産むか?」
美優は迷っていた。
匠は美優のお腹を触り始めた。
美優はお腹を触られるとゾワっとする感覚に襲われる。
匠はお腹を触りながら言った。
匠「ここにいるんだろうな。」
美優は涙目になりながらも言った。
美優「お願いだから、もう辞めて。」
美優は、芽生えた命を堕す事は出来なかった。
匠「真由も妊娠したらしいぜ?俺は、初めから姉妹同時に狙っていたんだよ。姉妹丼って知ってるか?一度やってみたかったんだよ。姉妹一緒に犯すのが夢だったからさ。」
美優は絶望した。
美優「なんで……私達なのよ……どうしてこんな事に……。」
匠は笑いながら言った。
匠「お前の母親いたじゃん?死んだ。」
美優は言葉が出なかった。
匠はさらに言った。
匠「お前のオヤジが仕事で借金して首輪回らなくなって、代わりに俺がお前の母親に金貸して、ついでに身体売らせたんだよ。いい具合で身体の相性良かったからさ。そしたら妊娠しちゃってさ、でもさほらお前の知っての通り、自分から車に飛び込んで死んじゃってさ。」
美優「嘘よそんなの。」
美優は泣き崩れた。
匠は美優の頭を撫でる。
匠は美優の耳元で囁くように言う。
匠「親も具合いいんなら、娘たちも具合いいだろ?」
美優は匠を睨み付ける。
美優「あんた最低ね。」
匠「親子丼最高だよ。」
美優は匠を殴ろうとした。
しかし匠は美優の腕を掴み、そのまま押し倒した。
匠「おっと危ないじゃないか」
美優は抵抗するが匠の力には勝てず身動きが取れない。
美優「離せ!この変態!」
匠は美優の服を脱がしていく。
匠「中絶費用なんか、出せないだろ?」
美優と真由の両親は、小学校の頃に亡くなっており、
親戚の叔父さん、梶叔父さんが好意で貸してくれた家に住んでいる。
お金は島からの援助とアルバイトをして何とかなっている。
美優「お金なんて無いわよ!」
匠は美優のブラジャーを外し胸を揉む。
美優は必死に抵抗するが匠に押さえつけられている為、何も出来ない。
匠は美優の乳首を舐め始める。
匠「じゃあ、俺の子供を産んでくれよ。」
美優は匠を蹴り飛ばす。
匠はベッドから落ち床に尻餅をつく。
匠は立ち上がり美優の頬を叩く。
匠「何しやがる!」
美優は匠の股間を蹴る。
匠は悶絶している。
匠「この尼!調子に乗りやがって!」
美優は匠に殴られる。
美優「痛い!やめて!」
匠「うるさい!」
美優は匠に何度も顔を叩かれる。
美優「いや!許してください!何でもしますから!お願いです!お願いですから!やだ!やだ!やだ!やだ!」
匠は美優の顔を叩き続ける。
美優は鼻血を出し、口の中を切った。
美優は泣いて謝る。
美優「私が悪かったんです!だからもう辞めて下さい!本当にすみませんでした!反省してます。」
匠「なら、これから俺の言う事を聞くか?なんでも聞くか?出来るか?返事はどうした?はいだろうがよ。」
美優の長くて綺麗な黒髪を引っ張る。
美優「はい。」
匠は美優の髪を引っ張りながら言った。
匠「お前は俺の奴隷だ。俺の命令には絶対服従だ。わかったな?」
美優は涙を流しながら答える。
美優「わかりました。」
匠は美優の唇を奪う。
美優は舌を入れられ絡まされる。
匠は美優の口に唾液を流し込む。
美優は飲み込んだ。
美優(気持ち悪い)
匠は美優のパンツに手を入れる。
美優は足を閉じようとするが匠の足が入り込み開脚状態になる。
匠は美優の秘部を触り始めた。
匠「お前は、奴隷だ。」
美優はこの日から匠の奴隷になった。
************************************
美優は、4時間後匠から解放されて、家に帰る途中だった。
匠にされた事を思い出そうとするだけで吐き気がする。
匠に中絶同意書は破かれた。
匠は堕ろす事は許されないと言った。
家に着く。
玄関のドアを開けると真由と梶叔父さんが深刻な顔で話していた。
真由と目が合うと真由は泣きながら抱きついてきた。
真由「お姉ちゃん!」
美優は、梶叔父さんにバレたのだと、悟った。
真由「お姉ちゃん、顔どうしたの?大丈夫?」
美優は真由を抱きしめながら言った。
美優「うん。ちょっと転んじゃって。」
玄関に梶が出てくる。
梶「なんだその顔は!?とりあえず中で話を聞かせてくれ。」美優と真由はリビングに行く。
梶は少し不機嫌な感じで話始める。
梶「美優、お前が隣村の産婦人科で診察を受けていたと、聞いたんだが本当なのか?」
美優は黙っている。
美優(見られてた…!)
梶は続けて話す。
梶「お前まさか妊娠してないだろうな?」
美優はビクッとする。
美優は何も答えられない。
梶は美優の肩を掴み揺さぶるようにして怒鳴る。
梶「おい!なんとか言え!妊娠してんのかしてないのかどっちだよ!」
美優は泣きそうになる。
真由「お姉ちゃんをいじめないで!」
梶は美優から手を離し言う。
梶「真由お前もだぞ!妊娠検査薬買ってきたら陽性が出たらしいじゃないか!どういうことだ?」
真由も泣き出す。
美優と真由は申し訳なさそうに答える。
美優「はい……。妊娠してます……。ごめんなさい……。」
梶は、ため息をつく。
梶「なんてことだ、お前らの親になんと言えばいいんだ。」
美優も真由も下を向いてしまう。
梶は、腕を組み考える。
しばらくの沈黙の後、ゆっくりと口を開く。
梶「相手は誰だ?正直に言いなさい。」
美優と真由は匠の名前を出す。
梶は驚いている。
梶「由美子の旦那か?あいつがそんなことを?」
美優と真由はうなずく。
梶はまた考え込んでいる。
梶は美優と真由を交互に見て言う。
梶「なんなんだ!それは!不倫してたのか!?お前ら!」
美優と真由はうつむく。
梶は美優の胸ぐらを掴む。
美優は恐怖で震えている。
美優は涙目になりながら言う。
美優「ごめんなさい。」
美優は胸倉を掴まれている為上手く喋れない。
美優は胸が苦しくなる。
美優は咳き込む。
美優「ゴホッ!ゲホ!」
美優は床に倒れ込む。
美優は、呼吸が出来ず苦しい。
真由が慌てて駆け寄る。
真由「お姉ちゃん!」
梶は、我に返り美優から離れて謝りながら背中をさすってくれる。
梶「すまない、美優、真由、俺が悪かった。」
美優は、落ち着く。
美優は、真由と匠との不倫関係を告白する。
梶は、美優の話を聞いてくれた。
そして、匠に対しての怒りをあらわにする。
匠に対する怒りが収まらないようだ。
梶「すぐに、匠をここに呼び出せ!今すぐだ!」
真由は納得がいかないようで反抗した。
真由「匠先輩は悪くないです。私が好きになった!だから!家族も壊さないって約束したの!匠先輩を信じてあげてください。お願いします。」
梶「お前な馬鹿なのか?お前の好きになった奴のせいでお前らは、大変な事になったんじゃないか?それなのに、まだ信じるとかふざけてるのか?」
真由は、反論する。
真由「馬鹿でいいもん!匠先輩のせいじゃない!!私が勝手に好きになっただけだから。それに、匠先輩は、私の事好きなんだよ。」
梶は、真由に近づき真由の頬を叩く。
真由は、叩かれた事に驚き、泣き出した。
梶は、続けて話す。
梶「お前は、美優の気持ちを考えた事があるのか?美優は、お前を庇って辛い思いをしたんだぞ?それでも、お前はまだ、自分の都合だけで動くのか?美優の事も考えてやれよ。」
真由は、泣きながら言った。
真由「だって!仕方なかったんだもん!匠先輩が好きなんだもん!お姉ちゃんには悪いと思ってるけどでも、私は、後悔してないから!」
美優は、真由の言葉にショックを受けた。
美優(やっぱり、真由もそう思ってたんだね。)
美優は、真由と匠との関係が、ただの先輩後輩の関係
ではなく、男女の関係で、お互いが、本気で愛し合っていたのだと悟った。
梶は、真由の肩に手を置き優しく話しかける。
梶「ふざけるな!何言ってるんだ!相手は既婚者なんだろ?しかも、妊娠までさせて、お前たちは、どうなるんだ?」
真由は泣きじゃくりながら話す。
真由「匠先輩を愛してるの!子供は産むの!なんで誰もわかってくれないの!」
真由は泣き崩れてしまう。
美優は、真由の肩を抱き慰めてあげる。
真由は、今まで、我慢してきた感情が爆発してしまったのだ。
梶「あいつがお前らを愛しているわけないだろう!あんな最低な男なんだぞ?お前ら騙されてんぞ!」
真由は泣き叫ぶ。
真由「違う!騙してなんかいない!あの人は優しいの!いつも、笑顔で接してくれるの!すごく、素敵な人なの!」
梶は、ため息をつく。
梶は、美優に話す。
梶「美優、真由を家から出すな。俺は、あいつと話をしてくる。」
美優はうなずく。
真由「辞めて!匠先輩をいじめたら許さない!」
梶は、真由に言う。
梶「うるさい!黙っていろ!もうお前らの問題ではない!」
真由は、また泣いてしまう。
美優は真由を抱きしめる。
美優も涙を流していた。
美優と真由を残して、梶叔父さんは匠の家に向かった。
************************************
梶が匠の家に着きインターホンを押す。
ピンポーン♪
匠が家から出てくる。
匠は、梶を見て驚く。
匠は、美優と妹真由が妊娠している事を知っていたからだ。
匠は、梶に言う。
匠「なんで、あんたがここに?」
梶は、匠に詰め寄る。
梶「なんで?それはこっちのセリフだ!貴様!姪っ子たちを孕ませてどういうつもりだ!?」
匠は何も答えない。
匠が何も言わないので、梶は匠に怒鳴り散らす。
梶「なんとか言えよ!このクズ野郎が!!」
匠は、梶を睨みつける。
匠の目つきに梶は怯んでしまった。
匠は、梶に言い放つ。
匠「合意の上だよ!俺と彼女達のな。」
梶は、驚きを隠せない。
梶(嘘だろう?こんな奴に、そんな度胸があるのか?)
梶「お前には由美子がいるだろうが!何を考えているんだ!!
匠は、冷静に答える。
匠「あんたには、関係ない事だ。」
梶は、匠に掴みかかる。
梶は、匠の服を掴み揺さぶるようにしながら話す。
梶「関係なくはない!お前と由美子は結婚しているんだぞ!それを分かっていてやったのか?お前は、由美子を裏切ったんだぞ!」
匠は、梶の手を振りほどく。
匠「離せよ!痛いじゃないか!あんたには関係ないって言っているだろう?」
梶は怒りを抑えきれない。
梶「ふっざけるな!!由美子が可哀想だと思わないのか?」
匠は梶に怒鳴る。
匠「知ったことか!」
梶は唖然として、家に強引に入る。
梶(こいつは一体何を考えいるんだ?どうしたら、こう育ってしまうんだ?)
梶は匠を叱りつけた。
匠は反省するどころか逆ギレする。
匠「おい!何するんだよ!勝手に入ってくんなよ!」
梶は匠を殴り飛ばす。
匠は、倒れ込む。
家には裸でソファーで寝ている女がいた。
その姿を見て梶の怒りは爆発した。
梶「おいっ!そこに寝ているのは誰だ?匠お前!美優と真由のほかにまだ若い女の人と付き合ってんのか!何人抱けば気が済むんだ!ふざけやがって!」
匠は、起き上がり梶を睨む
ソファーに寝ていた女は、驚き違う部屋に行く。
匠「うるせいな!出て行けよ!お前みたいなおっさんに関係ないだろう?」
梶も負けじと言い返す。
梶「ふざけんじゃねぇぞ!お前のせいで、美優と真由がお前の子供を妊娠してるって言ってるんだぞ?どう責任取るんだ?」
匠は立ち上がり梶に近づき殴ろうとする。
匠「うるせぇ!お前に関係ないだろうが!いいから出ていけ!」
梶は、殴られそうになり避けるが、匠の拳がかすった。
そして、ドスと鈍い音と共に梶が倒れる。
梶の後ろには、手を血で真っ赤にして、包丁を持って真由が立っていた。
梶は、痛みで動けない。
梶「な、なんぜ……ゔが刺されたんだ?」
真由は、泣きながら言う。
真由「匠先輩に……!酷いこと……しないで!!」
匠は、真由を見て驚いていた。
後から美優が真由を追いかけてきた。
美優は真由を見て叫ぶ。
美優「真由!あなた何して!救急車呼ばないと!」
真由は、泣き叫ぶ。
真由「梶叔父さんが悪いの!だから!」
美優は、真由の言葉を聞いてショックだった。
真由は、匠を見て話す。
美優は、スマホを取り出す。
美優「救急車……呼ばないと……。」
真由は、美優に抱きつく。
真由「お願い!救急車はダメ!」
真由は、美優のスマホを投げる。
美優と真由が会話をしている間にも、真由の叔父さんである梶の出血量は増えていく。
匠は、梶に近づき馬乗り、梶の首に手をかける。
匠「お前が、悪いんだからな!お前が俺を怒らせたんだ!」
梶は、匠に首を絞められ苦しんでいる。
美優は、匠の腕にしがみつき、必死に止めようとする。
匠は、梶を殺める勢いで、首に力を入れる。
しかし、美優の力では匠を止める事は出来なかった。
匠は、梶に話しかける。
匠「お前が、俺を馬鹿にしたからだぞ!俺を侮辱した罰だ!死ね!」
匠は、強く力を入れる。
梶は、息が出来ず意識が遠退いて行く。
美優「辞めて!辞めて!辞めて!匠!やめてー!!」
匠は、梶の顔が紫色になっていく。
美優は真由に匠から引き剥がされる。
美優の服は真由が梶を刺した、血で汚れてしまう。
匠は、梶の首を絞めて楽しんでいる。
匠「あぁ~スッキリするな!苦しいだろ!ほら!もっと締め付けてやるよ!」
梶は、抵抗する事なく、白目を向き泡を吹き出し気絶していた。
匠は、それでも梶の首を離さない。
美優「いやっ!匠!もうやめて!お願い!やめさせて!」
美優は、匠に懇願するが、匠は聞く耳を持たない。
梶の息が止まる。
匠は、梶が動かなくなった事を確認すると、やっと梶を離す。
匠は、真由に言う。
匠「こいつ殺しちゃったけど、大丈夫だよ。後始末はしておくよ。真由ちゃんは心配しなくて良いよ。」
美優は、震えながら匠を見る。
美優の目には涙が溢れていた。
部屋の中は、梶の血液が飛び散っていた。
匠は、床に転がっている死体を見ていた。
匠(こいつは、邪魔だし片付けておくか。)
匠は、自分の部屋に行き、ブルーシートを持ってきた。
匠は、梶の死体をブルーシートで包み、紐で縛る。
真由と美優は、現在起きている事に唖然としている。
匠は、真由と美優に言う。
匠匠「お前達は家に帰れ!」
匠は、真由は美優を引っ張る。
匠「早く行け!ここは危険だからな!警察が来ると面倒くさい事になるぞ!いいな?」
真由と美優は、匠に従い家に帰る。
匠「真奈!お前も帰れ!警察に何も言うなよ!分かったな?」
隠れていた女は真奈と言うらしい。
真奈は、匠の家から出ていく。
外は、大雨の中、傘もささずに走る、真由と美優。
美優(なんで?どうして?こんなことに?)
真由は走り疲れたのか歩く。
真由「私が悪いの。ごめんなさい。お姉ちゃん…うぅ……。」
真由は自分の不甲斐なさに落ち込んでいた。
真由と美優は雨でずぶ濡れになっていた。
美優「私も……ごめん…………。」
真由の手からは梶の血が地面に落ちている。
その手を取り、真由は話す。
真由「違うの!真由のせいでこうなったんだよ?全部私のせいなんだから……。真由があんなことしなければ……」
真由美の瞳からも大量の涙が流れてくる。
美優「もう誰も……真由、あなたを失いたくない…の…真由だけは失いたくなかったのに……真由だけでも幸せになって欲しかったのに……。私は、どうしたら良いんだろうね?」
真由と美優は泣き続けた。
美優と真由の二人は泣き止むまでずっと泣き続けていた。
しばらくすると、遠くの方からパトカーの音がきこえてきた。
美優(真由が警察に捕まる…そんなのやだ…よぉ..)
美優は、真由が警察に捕まることを恐れた。
美優「真由、警察に絶対捕まらせないからね!」
真由は何も言わずに下を向いていた。
美優は、真由の腕を掴み必死に、家まで走る。
家に入り、ずぶ濡れの真由をお風呂に入れる。
美優「真由、まず血を落として!話はそれから!」
真由は、黙って従うしかなかった。
美優は、バスタオルと着替えを用意すると浴室から出た。
真由は美優の用意してくれた服に着替えるとリビングで、俯いて座っていた。
美優は、真意を聞かずにコーヒーを入れる準備をしていた。
そして、旅行カバンを開けて必要な物だけを詰め込み始めた。
真由「何してるの?」
美優は真由に笑顔で言う。
美優「今のうちに逃げるのよ。大丈夫よ。この事は誰にも知られないように、真由だけでも逃げて生き延びて、それで好きな男性を見つけて幸せな家庭を築いてほしいの。わかった?」
真由は、涙を流し始める。
真由「お姉ちゃんと離れるのは嫌だよ!!」
美優は、真由を見て優しい口調になる。
美優「真由なら素敵な男性がみつかるわよ。きっと、真由の事を守ってくれるはずよ。真由だっていつまでも子供じゃないんだし、自分で決めないといけないこともあるでしょ?」
真由は美優の言葉を聞いて考え込む。
しかし、答えが出ないのか美優を見つめたまま泣いているだけだった。
美優「お金はなんとかするからね?」
タクシーが家に止まる。
美優「親戚の三木叔母さんには、さっき電話して話してるからね?早く!」
真由は立ち上がるが動かない。
美優は、無理やり真由を連れて玄関に向かう。
真由「お姉ちゃん!!一緒に来て!」
真由は、美優に抱きつき離さない。
美優は、困りながらも微笑みながら優しく言う。
美優「あなたは、きっと匠に利用される。だから何にもやってない私が犠牲になれば、全て丸く収まるでしょう?だから行って。必ず生きて。お願い。」
真由「いーや!お姉ちゃんと一緒に行く!絶対に離すもんか!もう真由を置いていかないでぇ。」
真由の目から涙が溢れる。
真由は美優にしがみつく。
美優は無理矢理真由をタクシーに掘り込む。
美優「ありがとう。愛していたよ。さよなら。」
運転手に行き先を告げる。
美優「じゃあねぇ。元気で暮らすんだよ。」
ドアを閉めるとすぐに発進させる。
車が遠ざかる中、真由の声が聞こえるような気がした。
真由は車の中で大声を上げて泣いた。
その日、美優は妹が梶を刺した事、匠が梶を殺した事を嘘をつくことに決めた。
それは妹を守る為だったかもしれない。
自分の為にも。
真由を乗せた車は、夜の街を走る。
真由は泣き疲れ寝てしまったようだ。
雨は降り続いていた。
続く
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