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第一章 地獄の島へご出発
船は酔わないが酒は酔う
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「むぐぐぐ……」
船の中。刀利の呻き声。
何故刀利が唸っているのかというと、船内で酒が提供されたからである。刀利は酒が好きと同時に苦手なのだ。すぐに酔ってしまう。泥酔ぶりで加羅を困らせてしまったことが何度かあった。ここで飲んでまた迷惑をかけてはいけない。最悪、酔って船から海に飛び込むかもしれない。そのレベルなのだ。酔う状態というのは、刀利は非常に危険だと認識している。人間の言葉には責任が伴うし、また、人間の行動にも責任が問われるからだ。問題を起こし、酒を飲んでいたのでという言い訳では洒落にならない。あらかじめどういう状況になるのかを予測して動くのが大人というものだ。
「こ、コーヒー飲みます……」
刀利は苦し気に誘惑を断ち切り、出発前に加羅が作ってくれたコーヒーの入っている水筒を開けた。コーヒーを注ぎグイッと飲む。まだ温かい。そして美味しい。流石は加羅のコーヒーだった。
結局酒は提供されたが、飲んだのは白井という女性、そして七雄の二人だけだった。
平川は酔いたくはなかったので酒を断った。彼の好物ではあるが。加羅はあまり酒が好きではない。飲めることは飲める。運転手のリッキーは当然飲むことが出来ない。一度飲み物を提供するために船を止めてから、再び淡々と船の運転に集中している。
空が灰色。今にも雨が降ってきそうだった。疾走する船。動かない海。暗雲の空。
「島が見えてきました」
リッキーが疲れた様子もなく言った。操縦に慣れているのだろう。
やや霧が邪魔して見えづらかったが、加羅は島の姿を視認した。
霧に隠れた緑色。自然が多いのだろう。
どこかに船が止められる場所があるはずだ。事故死なのか。殺人事件なのか。それはまだわからない。ただ、問題の島にもうすぐ着くという現実があるのみ。
リッキーは船を白良島につけた。
木製の船を止められる設備があった。船着き場だ。船が三台は入れそうだった。既に一台の船が船着き場に止まっていた。加羅はそちらを見たが、船は無人のようだった。形状は加羅達の乗ってきた船と同じ構造のようだ。色も一緒。白色だ。
空は相変わらず暗いが雨は降っていない。
「それでは皆さん、お嬢様によろしくお願いします」
「え?リッキーさんは来ないんですか?」
刀利は船の中でリッキーというあだ名を使い始めていた。リッキーの本名は盾上力石である。リッキーも当然島の中に入ると思っていたので予想外だった。
「はい、実はまだ用事があるんで……もう一度本陸に戻らないといけなくて」
「そっか……リッキーさんとご飯食べたかったなぁ。運転ありがとうございました。楽しい経験でした」
頭を下げる刀利。
「いえいえ、こんな可愛い子にお礼を言われたら、運転した甲斐もあるってものです」
リッキーは白い歯を見せて笑った。日焼けした肌とのギャップがある。
「可愛い」
刀利がリッキーの言葉を反復し、目を閉じ胸を張った。単純である。
「ありがとう、リッキー」
七雄が手を振る。
「いえいえ、七雄坊ちゃんもお元気で」
全員が船から降りた。そして別れの挨拶が終わってから、リッキーは再び船の操縦席に乗り込み、加羅達を乗せていた船を発進させた。
船着き場の船が一台だけになった。加羅達以外に人影はない。
「加羅、どう思う?」
そう言ったのは平川だった。
「もしアイドルの事件が陰謀によるものなら、良くないシチュエーションだな」
加羅は遠ざかっていくリッキーの船を見ていた。
「加羅さん、なんで?何が良くないの?」
刀利が首を傾げた。
「帰る手段が無い」
「あ……うん、そうだけど住民の人の中にも、運転手がいるんじゃ……」
「それを確認したいな」
「本部に連絡するか?」
そう言ったのは平川。平川の調査はあくまで個人的なものだった。警察本部からの命で動いているわけではない。本部に連絡すれば船くらいは寄こしてくれるかもしれない。
平川は意外にも上層部には名前が通っている。しかし昇格はない。そして、何も起こっていないのに警察が動くはずがないだろう。
「まずは館に行こう」
加羅は招待状を開きながら言った。招待状に白良島の地図が載っている。丁寧に白良島の住民が住む館への道のりが書いてあった。
「招待状の地図、わかりやすいよね」
刀利も招待状を取り出し、うんうんと頷いている。
「慣れているので僕が案内します」
先頭を歩くのは加羅になりそうな雰囲気だったが、七雄が一番前を歩き出した。
やはり七雄は慣れている。加羅は七雄に尋ねることにした。
「この島に来たことが?」
「ええ、ありますよ。リッキーに何度も送ってもらいました」
「坊ちゃんと呼ばれていましたね。住民の方々と、どんな関係が?」
「お嬢の両親……神楽さん一家ですね。大変良くしてもらったもので」
「どんな関係なんです?」
刀利が身を乗り出してきた。
「仕事の関係で、この白良島には何度も荷物を運んでいたんですよ。僕は運搬業者で、お館の神楽さん達によく泊っていくように勧められたものです。お嬢は小さくて……僕には温かい家族などいないので、幸せな家族のようだったと思います。神楽さん一家は」
「運搬業の方だったんですね。そうか、それでリッキーさんが坊ちゃんって呼んでいたんですね」
「リッキーは真面目な人です。神楽さん一家に恩があるそうで、その義理を守り続けているんですよ。彼は仕事も辞めて神楽さんに仕えていました。神楽さんたち両親もリッキーを信頼していました」
七雄は語っている。
うんうんと刀利は頷いていたが、加羅は少し不思議だった。船の操縦は確かに役に立つだろうが、両親を亡くしたお嬢様の傍にいてやらなくて、女の子は寂しくはないのだろうかと。
お嬢様のイメージが沸いてこない。リッキーの他に、誰か傍にいる人物がいるのだろうか?お嬢様は本陸にも来ようと思えば来れるだろう。それなのにこんな孤島で暮らすのはどんな心境なのだろうか。両親の思い出を抱いて暮らしているのだろうか。
「この先は左ですね」
みんなで歩いている。
道案内する七雄。通路の分岐点だった。左右に道が別れている。右側の道は緑ばかりが生い茂り、暗い雰囲気だった。一方左の道は明るい。まだ館は見えてこない。道は意外にも歩きやすく、通った道に関してはある程度舗装されていた。黒いコンクリート。道の端は緑が通っている。慣れていなければどこかで迷子になってもおかしくない。
「あとどれくらいで着くのですか?」
黒の恰好の白井が尋ねた。酒は飲んだが酔ってはいない。もう十五分くらい歩いているのではないか。
「もうすぐですよ。ここからは館は見えませんが、突然バッと現れるんです。館が」
刀利はそれを聞いて、突然現れるなんてなかなかのホラーだと思っていたが黙っていた。子供っぽいと思われても困るのだ。もう手遅れの感じはある。私、この程度でホラーだと思うなんて軽い女じゃなくてよ、と思っている。
曲がり角を左へ。緑へ覆われた道を歩いていく。
そして、本当にバッと館の姿が現れた。黒と白の風景の建物が見えた。館だ。加羅が予想していたような茶色い洋館のような雰囲気ではなかった。ひたすらに殺風景な色合い。黒と白しかない建物。館の周りは、緑に覆われている。海は見えない。ここからでは崖も見えない。
「素晴らしい外観ですね」
加羅は意外にも笑顔だった。彼は殺風景というか、味気ない雰囲気が好きなのだ。
「え?そう?まあ、加羅さんだからなぁ……」
刀利は苦笑した。
「刀利さんはどのように思っているのですか?」
七雄が笑顔で尋ねた。勿論刀利の様子を見ながら。
「え、えっと……なかなか、先鋭的だと思います」
コメントに困っている食レポーターみたいな様子で刀利は答えた。先鋭的という言葉の意味を知っているかも怪しい。白い両手をお手上げといった感じで上げている。七雄は笑った。
その時、加羅と平川は同じことを思っていた。煙草が吸いたいものだと。
加羅は思いきって聞いてみる事にした。
「七雄さん、中は禁煙ですか?」
「ああ、吸えますよ。一部だけですが……お嬢のお父様もよく煙草を吸っていました。お嬢も嫌がらないと思います」
「それはよかった」
笑顔の加羅。
「煙草魔人め!」
刀利は笑顔で加羅をどついた。
「否定はしない」
「お、ついに魔人の本性を現したか」
「魔人の定義は?」
「ええ……て、定義……」
刀利は黙ってしまった。魔人という言葉を検索したい気持ちだった。
「助かります」
平川は七雄に頭を下げた。吸える場所など限られているのだからありがたい。
「僕に頭を下げられても困ります。お嬢にお願いします。さあ、行きましょう」
七雄は笑った。そして七雄を先頭に館へと向かう一行。
白黒の館の内観はどうなっているのだろうかと加羅は思った。意外にも質素かもしれない。豪華なイメージは思い浮かばなかった。
豪華という言葉について少し考えた。
シャンデリアなどがあれば豪華だろうか?
しかし、それは単に金がかかっているというだけのこと。
本物の豪華とは、一つ一つが洗練されているか。それに尽きるだろう。
船の中。刀利の呻き声。
何故刀利が唸っているのかというと、船内で酒が提供されたからである。刀利は酒が好きと同時に苦手なのだ。すぐに酔ってしまう。泥酔ぶりで加羅を困らせてしまったことが何度かあった。ここで飲んでまた迷惑をかけてはいけない。最悪、酔って船から海に飛び込むかもしれない。そのレベルなのだ。酔う状態というのは、刀利は非常に危険だと認識している。人間の言葉には責任が伴うし、また、人間の行動にも責任が問われるからだ。問題を起こし、酒を飲んでいたのでという言い訳では洒落にならない。あらかじめどういう状況になるのかを予測して動くのが大人というものだ。
「こ、コーヒー飲みます……」
刀利は苦し気に誘惑を断ち切り、出発前に加羅が作ってくれたコーヒーの入っている水筒を開けた。コーヒーを注ぎグイッと飲む。まだ温かい。そして美味しい。流石は加羅のコーヒーだった。
結局酒は提供されたが、飲んだのは白井という女性、そして七雄の二人だけだった。
平川は酔いたくはなかったので酒を断った。彼の好物ではあるが。加羅はあまり酒が好きではない。飲めることは飲める。運転手のリッキーは当然飲むことが出来ない。一度飲み物を提供するために船を止めてから、再び淡々と船の運転に集中している。
空が灰色。今にも雨が降ってきそうだった。疾走する船。動かない海。暗雲の空。
「島が見えてきました」
リッキーが疲れた様子もなく言った。操縦に慣れているのだろう。
やや霧が邪魔して見えづらかったが、加羅は島の姿を視認した。
霧に隠れた緑色。自然が多いのだろう。
どこかに船が止められる場所があるはずだ。事故死なのか。殺人事件なのか。それはまだわからない。ただ、問題の島にもうすぐ着くという現実があるのみ。
リッキーは船を白良島につけた。
木製の船を止められる設備があった。船着き場だ。船が三台は入れそうだった。既に一台の船が船着き場に止まっていた。加羅はそちらを見たが、船は無人のようだった。形状は加羅達の乗ってきた船と同じ構造のようだ。色も一緒。白色だ。
空は相変わらず暗いが雨は降っていない。
「それでは皆さん、お嬢様によろしくお願いします」
「え?リッキーさんは来ないんですか?」
刀利は船の中でリッキーというあだ名を使い始めていた。リッキーの本名は盾上力石である。リッキーも当然島の中に入ると思っていたので予想外だった。
「はい、実はまだ用事があるんで……もう一度本陸に戻らないといけなくて」
「そっか……リッキーさんとご飯食べたかったなぁ。運転ありがとうございました。楽しい経験でした」
頭を下げる刀利。
「いえいえ、こんな可愛い子にお礼を言われたら、運転した甲斐もあるってものです」
リッキーは白い歯を見せて笑った。日焼けした肌とのギャップがある。
「可愛い」
刀利がリッキーの言葉を反復し、目を閉じ胸を張った。単純である。
「ありがとう、リッキー」
七雄が手を振る。
「いえいえ、七雄坊ちゃんもお元気で」
全員が船から降りた。そして別れの挨拶が終わってから、リッキーは再び船の操縦席に乗り込み、加羅達を乗せていた船を発進させた。
船着き場の船が一台だけになった。加羅達以外に人影はない。
「加羅、どう思う?」
そう言ったのは平川だった。
「もしアイドルの事件が陰謀によるものなら、良くないシチュエーションだな」
加羅は遠ざかっていくリッキーの船を見ていた。
「加羅さん、なんで?何が良くないの?」
刀利が首を傾げた。
「帰る手段が無い」
「あ……うん、そうだけど住民の人の中にも、運転手がいるんじゃ……」
「それを確認したいな」
「本部に連絡するか?」
そう言ったのは平川。平川の調査はあくまで個人的なものだった。警察本部からの命で動いているわけではない。本部に連絡すれば船くらいは寄こしてくれるかもしれない。
平川は意外にも上層部には名前が通っている。しかし昇格はない。そして、何も起こっていないのに警察が動くはずがないだろう。
「まずは館に行こう」
加羅は招待状を開きながら言った。招待状に白良島の地図が載っている。丁寧に白良島の住民が住む館への道のりが書いてあった。
「招待状の地図、わかりやすいよね」
刀利も招待状を取り出し、うんうんと頷いている。
「慣れているので僕が案内します」
先頭を歩くのは加羅になりそうな雰囲気だったが、七雄が一番前を歩き出した。
やはり七雄は慣れている。加羅は七雄に尋ねることにした。
「この島に来たことが?」
「ええ、ありますよ。リッキーに何度も送ってもらいました」
「坊ちゃんと呼ばれていましたね。住民の方々と、どんな関係が?」
「お嬢の両親……神楽さん一家ですね。大変良くしてもらったもので」
「どんな関係なんです?」
刀利が身を乗り出してきた。
「仕事の関係で、この白良島には何度も荷物を運んでいたんですよ。僕は運搬業者で、お館の神楽さん達によく泊っていくように勧められたものです。お嬢は小さくて……僕には温かい家族などいないので、幸せな家族のようだったと思います。神楽さん一家は」
「運搬業の方だったんですね。そうか、それでリッキーさんが坊ちゃんって呼んでいたんですね」
「リッキーは真面目な人です。神楽さん一家に恩があるそうで、その義理を守り続けているんですよ。彼は仕事も辞めて神楽さんに仕えていました。神楽さんたち両親もリッキーを信頼していました」
七雄は語っている。
うんうんと刀利は頷いていたが、加羅は少し不思議だった。船の操縦は確かに役に立つだろうが、両親を亡くしたお嬢様の傍にいてやらなくて、女の子は寂しくはないのだろうかと。
お嬢様のイメージが沸いてこない。リッキーの他に、誰か傍にいる人物がいるのだろうか?お嬢様は本陸にも来ようと思えば来れるだろう。それなのにこんな孤島で暮らすのはどんな心境なのだろうか。両親の思い出を抱いて暮らしているのだろうか。
「この先は左ですね」
みんなで歩いている。
道案内する七雄。通路の分岐点だった。左右に道が別れている。右側の道は緑ばかりが生い茂り、暗い雰囲気だった。一方左の道は明るい。まだ館は見えてこない。道は意外にも歩きやすく、通った道に関してはある程度舗装されていた。黒いコンクリート。道の端は緑が通っている。慣れていなければどこかで迷子になってもおかしくない。
「あとどれくらいで着くのですか?」
黒の恰好の白井が尋ねた。酒は飲んだが酔ってはいない。もう十五分くらい歩いているのではないか。
「もうすぐですよ。ここからは館は見えませんが、突然バッと現れるんです。館が」
刀利はそれを聞いて、突然現れるなんてなかなかのホラーだと思っていたが黙っていた。子供っぽいと思われても困るのだ。もう手遅れの感じはある。私、この程度でホラーだと思うなんて軽い女じゃなくてよ、と思っている。
曲がり角を左へ。緑へ覆われた道を歩いていく。
そして、本当にバッと館の姿が現れた。黒と白の風景の建物が見えた。館だ。加羅が予想していたような茶色い洋館のような雰囲気ではなかった。ひたすらに殺風景な色合い。黒と白しかない建物。館の周りは、緑に覆われている。海は見えない。ここからでは崖も見えない。
「素晴らしい外観ですね」
加羅は意外にも笑顔だった。彼は殺風景というか、味気ない雰囲気が好きなのだ。
「え?そう?まあ、加羅さんだからなぁ……」
刀利は苦笑した。
「刀利さんはどのように思っているのですか?」
七雄が笑顔で尋ねた。勿論刀利の様子を見ながら。
「え、えっと……なかなか、先鋭的だと思います」
コメントに困っている食レポーターみたいな様子で刀利は答えた。先鋭的という言葉の意味を知っているかも怪しい。白い両手をお手上げといった感じで上げている。七雄は笑った。
その時、加羅と平川は同じことを思っていた。煙草が吸いたいものだと。
加羅は思いきって聞いてみる事にした。
「七雄さん、中は禁煙ですか?」
「ああ、吸えますよ。一部だけですが……お嬢のお父様もよく煙草を吸っていました。お嬢も嫌がらないと思います」
「それはよかった」
笑顔の加羅。
「煙草魔人め!」
刀利は笑顔で加羅をどついた。
「否定はしない」
「お、ついに魔人の本性を現したか」
「魔人の定義は?」
「ええ……て、定義……」
刀利は黙ってしまった。魔人という言葉を検索したい気持ちだった。
「助かります」
平川は七雄に頭を下げた。吸える場所など限られているのだからありがたい。
「僕に頭を下げられても困ります。お嬢にお願いします。さあ、行きましょう」
七雄は笑った。そして七雄を先頭に館へと向かう一行。
白黒の館の内観はどうなっているのだろうかと加羅は思った。意外にも質素かもしれない。豪華なイメージは思い浮かばなかった。
豪華という言葉について少し考えた。
シャンデリアなどがあれば豪華だろうか?
しかし、それは単に金がかかっているというだけのこと。
本物の豪華とは、一つ一つが洗練されているか。それに尽きるだろう。
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