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第二章 現場捜査のツインキャッスル
コンビニ店員?
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ホワイトホテルとブラックホテルの周りは、途端に騒がしくなった。警察の車が続々と登場、宿泊客は、泊まりどころではなくなってしまった。みな、事情聴取を順番に受けている。
加羅と刀利も例外ではなかった。警察官から、取り調べを受けていたのである。そして、取り調べを行っていたのは、桜警部補の部下の、正平だった。加羅と刀利とは、知人である。
「あ、正平さん?凄いことになっちゃいましたね」
他人事のように語る刀利。正平は呆れ顔である。
「凄いことじゃ済まないよ、刀利君。こんな事件は滅多にない」
「解決出来そうですか?」
「まだ、なんとも。状況がちょっと複雑でね」
「ふむふむ。確か、二人の人が殺されてしまったんですよね?」
「どこから聞いたの?」
「そこら辺で」
「そこら辺って……」
正平は頭を抱えた。
「桜警部補は?」
横から、加羅が言った。
「もうすぐ来ますよ。なにせ、予告通りですしね」
「予告?なんの予告ですか?」
「ええと、悪戯みたいな文章が、警察に届いたんですよ。ここだけの話ですよ。内容は全部覚えていないんですけど、何か、事件をほのめかすような手紙が届きましてね。俺と、他のもう一人が、桜警部補の指示で、ホテルへ向かわされていたんです」
正平は憂鬱そうだ。桜の叱責が怖いのかもしれない。
「大失態ですねぇ」
刀利はのほほんとしている。
「それどころじゃないよ!ああ、もう憂鬱……」
「事件の概要って、わかるんですか?」
「わかるけど……桜警部補の許可が無いからね。二人には話せないんだ」
「そこをなんとか侍」
「どんな侍なんだ……まあ、ちょっとならいいか。えっとね、ホワイトホテルで一人、ブラックホテルで一人、それぞれ人が殺されたんだ。それだけでも奇妙なのに、なんでも、対を成す二つのホテルで、両方の死体が、503号室で殺された。被害者の関係性は不明。でも、偶然なんてあるわけがないから、なんらかの関係性はあるよね。怪しいのが、ブラックホテルの被害者を発見したのは、西山慎太っていう、ホテルの従業員なんだけど、もう一つ、ホワイトホテルの方の目撃者が、コンビニ店員なんだよね。コンビニ店員がホテルを訪れるって、極めて怪しい気がするんだよなぁ」
正平は首を傾げている。確かに、状況としては出来すぎている。加羅は話を丁寧に聞いていた。
「ホテルに宿泊していないのに、ホテルに立ち寄りたくなるという感覚は、なんとなくわかりますね。特殊な空間ですから」
「まあ、加羅さんの言うことはわかります。これらのホテル、綺麗ですしね。あ、電話だ。失礼」
正平はぴこぴこ鳴っている携帯を取り出した。
「もしもし?あ、桜さん。どうしました?え?今から現場に来る?今、加羅さんたちと一緒なんですけど……事件のこととか、話してもいいんですか?まあ、少しは喋っちゃったんですけど……あ、いいんですね。わかりました。ホワイトホテルにいるんで、ここで待ってます。お気をつけて」
正平は電話を切った。加羅と刀利も、その会話を聞いていた。
「桜警部補ですか?」
加羅が聞いた。
「はい。すぐに来るみたいですよ。事件の内容を話してもいいそうです。いつものことですけど、現場を見ても構いませんよ」
「現場見れるんですね!これは加羅さんと一波乱……」
刀利はにこにこしている。何が波乱なのかわからない。
「何も起こらないだろう……しかし、まったく似た部屋で殺人とは。何かの意味がありそうですが……同一犯か。同一犯に見せかけた、複数犯か。なるほど、難しい。ホワイトホテルの現場を見に行っても構いませんか?」
「どうぞどうぞ。桜さんは後で合流すると思います」
「らじゃー」
刀利はびしっと敬礼した。何かの軍隊かもしれない。
そして、加羅と刀利は、ホワイトホテルの503号室へと向かっていった。
ホワイトホテルのエレベーター。そこに加羅と刀利が乗り込んでいる。
「(狭いところで二人でいると緊張する……)」
ひそかに、そう思う刀利であった。刀利は加羅のことが大好きなのである。しかし、いつも軽くいなされている。
「どう思う?」
加羅がエレベーターのボタンを押しながら、刀利に聞いた。
「どう、ですか?うーん。今のところは何とも……なんとなくですけど、交換殺人とかじゃないですかね。お互いに利益が一致している犯人が、お互いに殺人を交換する。そうすれば動機が追跡出来なくなって、犯人を特定することは難しいっていう」
「それは一理あるな」
「ふっふっふ」
「調子に乗るんじゃない」
「すみませーん」
刀利はにこにこしいる。推察としては、割と鋭い。
「少し、気になることがあるか……まあ、いい。現場とやらを見に行こう」
「ノリノリの加羅さん!」
「お前なぁ……」
加羅はため息をついた。
加羅と刀利も例外ではなかった。警察官から、取り調べを受けていたのである。そして、取り調べを行っていたのは、桜警部補の部下の、正平だった。加羅と刀利とは、知人である。
「あ、正平さん?凄いことになっちゃいましたね」
他人事のように語る刀利。正平は呆れ顔である。
「凄いことじゃ済まないよ、刀利君。こんな事件は滅多にない」
「解決出来そうですか?」
「まだ、なんとも。状況がちょっと複雑でね」
「ふむふむ。確か、二人の人が殺されてしまったんですよね?」
「どこから聞いたの?」
「そこら辺で」
「そこら辺って……」
正平は頭を抱えた。
「桜警部補は?」
横から、加羅が言った。
「もうすぐ来ますよ。なにせ、予告通りですしね」
「予告?なんの予告ですか?」
「ええと、悪戯みたいな文章が、警察に届いたんですよ。ここだけの話ですよ。内容は全部覚えていないんですけど、何か、事件をほのめかすような手紙が届きましてね。俺と、他のもう一人が、桜警部補の指示で、ホテルへ向かわされていたんです」
正平は憂鬱そうだ。桜の叱責が怖いのかもしれない。
「大失態ですねぇ」
刀利はのほほんとしている。
「それどころじゃないよ!ああ、もう憂鬱……」
「事件の概要って、わかるんですか?」
「わかるけど……桜警部補の許可が無いからね。二人には話せないんだ」
「そこをなんとか侍」
「どんな侍なんだ……まあ、ちょっとならいいか。えっとね、ホワイトホテルで一人、ブラックホテルで一人、それぞれ人が殺されたんだ。それだけでも奇妙なのに、なんでも、対を成す二つのホテルで、両方の死体が、503号室で殺された。被害者の関係性は不明。でも、偶然なんてあるわけがないから、なんらかの関係性はあるよね。怪しいのが、ブラックホテルの被害者を発見したのは、西山慎太っていう、ホテルの従業員なんだけど、もう一つ、ホワイトホテルの方の目撃者が、コンビニ店員なんだよね。コンビニ店員がホテルを訪れるって、極めて怪しい気がするんだよなぁ」
正平は首を傾げている。確かに、状況としては出来すぎている。加羅は話を丁寧に聞いていた。
「ホテルに宿泊していないのに、ホテルに立ち寄りたくなるという感覚は、なんとなくわかりますね。特殊な空間ですから」
「まあ、加羅さんの言うことはわかります。これらのホテル、綺麗ですしね。あ、電話だ。失礼」
正平はぴこぴこ鳴っている携帯を取り出した。
「もしもし?あ、桜さん。どうしました?え?今から現場に来る?今、加羅さんたちと一緒なんですけど……事件のこととか、話してもいいんですか?まあ、少しは喋っちゃったんですけど……あ、いいんですね。わかりました。ホワイトホテルにいるんで、ここで待ってます。お気をつけて」
正平は電話を切った。加羅と刀利も、その会話を聞いていた。
「桜警部補ですか?」
加羅が聞いた。
「はい。すぐに来るみたいですよ。事件の内容を話してもいいそうです。いつものことですけど、現場を見ても構いませんよ」
「現場見れるんですね!これは加羅さんと一波乱……」
刀利はにこにこしている。何が波乱なのかわからない。
「何も起こらないだろう……しかし、まったく似た部屋で殺人とは。何かの意味がありそうですが……同一犯か。同一犯に見せかけた、複数犯か。なるほど、難しい。ホワイトホテルの現場を見に行っても構いませんか?」
「どうぞどうぞ。桜さんは後で合流すると思います」
「らじゃー」
刀利はびしっと敬礼した。何かの軍隊かもしれない。
そして、加羅と刀利は、ホワイトホテルの503号室へと向かっていった。
ホワイトホテルのエレベーター。そこに加羅と刀利が乗り込んでいる。
「(狭いところで二人でいると緊張する……)」
ひそかに、そう思う刀利であった。刀利は加羅のことが大好きなのである。しかし、いつも軽くいなされている。
「どう思う?」
加羅がエレベーターのボタンを押しながら、刀利に聞いた。
「どう、ですか?うーん。今のところは何とも……なんとなくですけど、交換殺人とかじゃないですかね。お互いに利益が一致している犯人が、お互いに殺人を交換する。そうすれば動機が追跡出来なくなって、犯人を特定することは難しいっていう」
「それは一理あるな」
「ふっふっふ」
「調子に乗るんじゃない」
「すみませーん」
刀利はにこにこしいる。推察としては、割と鋭い。
「少し、気になることがあるか……まあ、いい。現場とやらを見に行こう」
「ノリノリの加羅さん!」
「お前なぁ……」
加羅はため息をついた。
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