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エピローグ2 最終話
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子供ができてからも、妊娠中、私と影由さんはセックスをした。
ゴムはつけてたし、無理もしないセックス。
子供を作るためではないセックスは高校生のとき以来だった。
私はそれが何故かとてつもなく嬉しかった。
光岡さんはその間、私に触らなかった。
もしかしたら上手く行くかもしれない。
そんな願いはあっけなく崩れた。
息子が生まれて、産褥期を終えて、私達は何度もセックスを試したけど、途中で影由さんが萎えたり、私が泣き出してしまったり、もとには戻れなかった。
セックスレスになり、寝室も分けた。
しばらくして私は光岡さんとの関係を再開した。
息子が幼稚園や学校でいない日にホテルでした。
家でするのは怖かった。
20年間、我が子を愛しながら、影由さんを愛しながら、光岡さんを利用した。
息子にはバレなかった。
影由さんは気付いていたと思う。
「離婚していただけますか」
息子が二十歳になる直前、私は影由さんにそう別れを切り出した。
影由さんは頷いた。そして20年ぶりに私は影由さんに抱かれた。
「日向……柔らかいな、光岡に感謝だな」
私のナカを指で弄りながら、影由さんはそんなことを言う。
これじゃまるで光岡さんが影由さんのために私を抱いていたみたいだ。
「……やめて」
「事実だろう? 息子もいる女が、息子の通った道を、間男に開け放して……そのおかげですんなり入るな、もう3本も入ってる」
バラバラに影由さんが動かす指に、私は悶えた。
私の気持ちいいところ、私の反応してしまうところ、影由さんは全部覚えていた。
「あっ! やっ! そこっ! だめっ!」
「濡れて十分ほぐれてる。だめではなさそうだぞ、日向」
そう言って影由さんはペニスを取り出した。
久しぶりに見た。
「あ、ああっ!」
いつも入れている光岡さんのと違う。
違うところが引っかかる。
当たり方が違う。
最初に光岡さんに抱かれたときと真逆のことを私は思った。
20年間で、光岡さんの方が私の当たり前になってしまっていた。
「締め付けてるな、いい心地だ。光岡もさぞ喜んでくれてるんだろうな」
「うう……」
自業自得ながら涙が出る。
その涙を舌で拭ってから、影由さんが尋ねてくる。
「光岡と再婚するのか?」
「……しません」
そんなことをしたら息子にバレる。
子供の頃ならまだしも、もう二十歳なのだ。
そういうことだったのか、と思われる。
「内縁関係か……それもありなんだろうな、今時」
それもどうなんだろう。
私の光岡さんに向ける感情は影由さんありきだった。
この人と別れてから光岡さんに抱かれる事ができるのか、私には分からなかった。
姉の婚約者に姉の代わりに抱かれていた私は、婚約者の部下に婚約者の代わりに抱いてもらった。
それだけの、話だった。
婚約者、思えばこの人のことを旦那だの夫だの、そういう呼び方をしたことがなかった。
結婚してしばらくはそんな感じではなく、すぐに私達は父と母になったから。
「……旦那様」
「なんだ? 奥様」
それは光岡さんの呼び方を揶揄していて、この人にはやっぱり私の気持ちなんて分からないのだろう。それが分かった。
「あなたの妻に、なりたかった」
「…………」
影由さんのモノははち切れそうになっていて、その体はあまりにも重く私にのしかかっていた。
影由さんの顔は一気に曇ったけれど、それでも腰を振る鋭さは変わらなかった。
「日向……日向!」
20年を経て、ようやくこの人は姉の名前を呼ばなくなったのだと、私はそんなことに気付いた。
この人は、姉の婚約者。
私にとってはずっとそう。
何があってもそれは変えることができない。
それに気付きながら、私は影由さんの精を久方ぶりに受け入れた。
あの頃そうしていたように、ぎゅっと膣を締め付けた。私はまるで妊娠を望むようにそうした。
そんな私を影由さんは軽く抱きしめてから去って行った。
ゴムはつけてたし、無理もしないセックス。
子供を作るためではないセックスは高校生のとき以来だった。
私はそれが何故かとてつもなく嬉しかった。
光岡さんはその間、私に触らなかった。
もしかしたら上手く行くかもしれない。
そんな願いはあっけなく崩れた。
息子が生まれて、産褥期を終えて、私達は何度もセックスを試したけど、途中で影由さんが萎えたり、私が泣き出してしまったり、もとには戻れなかった。
セックスレスになり、寝室も分けた。
しばらくして私は光岡さんとの関係を再開した。
息子が幼稚園や学校でいない日にホテルでした。
家でするのは怖かった。
20年間、我が子を愛しながら、影由さんを愛しながら、光岡さんを利用した。
息子にはバレなかった。
影由さんは気付いていたと思う。
「離婚していただけますか」
息子が二十歳になる直前、私は影由さんにそう別れを切り出した。
影由さんは頷いた。そして20年ぶりに私は影由さんに抱かれた。
「日向……柔らかいな、光岡に感謝だな」
私のナカを指で弄りながら、影由さんはそんなことを言う。
これじゃまるで光岡さんが影由さんのために私を抱いていたみたいだ。
「……やめて」
「事実だろう? 息子もいる女が、息子の通った道を、間男に開け放して……そのおかげですんなり入るな、もう3本も入ってる」
バラバラに影由さんが動かす指に、私は悶えた。
私の気持ちいいところ、私の反応してしまうところ、影由さんは全部覚えていた。
「あっ! やっ! そこっ! だめっ!」
「濡れて十分ほぐれてる。だめではなさそうだぞ、日向」
そう言って影由さんはペニスを取り出した。
久しぶりに見た。
「あ、ああっ!」
いつも入れている光岡さんのと違う。
違うところが引っかかる。
当たり方が違う。
最初に光岡さんに抱かれたときと真逆のことを私は思った。
20年間で、光岡さんの方が私の当たり前になってしまっていた。
「締め付けてるな、いい心地だ。光岡もさぞ喜んでくれてるんだろうな」
「うう……」
自業自得ながら涙が出る。
その涙を舌で拭ってから、影由さんが尋ねてくる。
「光岡と再婚するのか?」
「……しません」
そんなことをしたら息子にバレる。
子供の頃ならまだしも、もう二十歳なのだ。
そういうことだったのか、と思われる。
「内縁関係か……それもありなんだろうな、今時」
それもどうなんだろう。
私の光岡さんに向ける感情は影由さんありきだった。
この人と別れてから光岡さんに抱かれる事ができるのか、私には分からなかった。
姉の婚約者に姉の代わりに抱かれていた私は、婚約者の部下に婚約者の代わりに抱いてもらった。
それだけの、話だった。
婚約者、思えばこの人のことを旦那だの夫だの、そういう呼び方をしたことがなかった。
結婚してしばらくはそんな感じではなく、すぐに私達は父と母になったから。
「……旦那様」
「なんだ? 奥様」
それは光岡さんの呼び方を揶揄していて、この人にはやっぱり私の気持ちなんて分からないのだろう。それが分かった。
「あなたの妻に、なりたかった」
「…………」
影由さんのモノははち切れそうになっていて、その体はあまりにも重く私にのしかかっていた。
影由さんの顔は一気に曇ったけれど、それでも腰を振る鋭さは変わらなかった。
「日向……日向!」
20年を経て、ようやくこの人は姉の名前を呼ばなくなったのだと、私はそんなことに気付いた。
この人は、姉の婚約者。
私にとってはずっとそう。
何があってもそれは変えることができない。
それに気付きながら、私は影由さんの精を久方ぶりに受け入れた。
あの頃そうしていたように、ぎゅっと膣を締め付けた。私はまるで妊娠を望むようにそうした。
そんな私を影由さんは軽く抱きしめてから去って行った。
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