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ノーマルエンド
結実
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王宮騎士団第三隊長はため息をついた。
祭典から一週間が経った。
東の寮に彼女が訪れてくれることはなかった。
「…………はあ」
よもやあの時出会ったメイドが姫君だったとは。
祭典の上座、王と女王と王子の端に、着飾った彼女の姿を見た時は息が止まるかと思った。
何故メイドがあんな所にいるのか? しばらく考えてようやく彼女が姫君だと気付いた。
王から勲章を授与される間も気が気ではなかった。
いつ姫君が彼のことを無体を働いた暴漢だと糾弾するかと思うと、いっそ剣を自分の首に突きたててしまいたかった。
しかし姫君は何も言わなかった。
騎士と上座の姫君とは確かに目が合った。その時にも姫君は完璧な淑女の微笑みを浮かべるばかりであった。
王族の笑顔、高いところから与えられる決して届かぬ微笑み。
まさか他人のそら似だろうか。
いいや、いくらなんでも見間違えるはずがない。
となれば、彼女は受け入れていたのだ。
自分の純潔を奪った男がそこにいることを。
何という肝の据わり方であろうか。
後から王宮勤めの長い新しい部下を捕まえて聞いたことによれば、まだ若き姫君が祭典に顔を出されるようになったのは、ここ二年の間のことだという。
二年といえば騎士が西の国境で死闘を繰り広げていた期間に符合した。
二年の間に勲章は胸に貯まりに貯まっていたが、王から直々に勲章を授与されるのは久方ぶりのことであった。
「あのお美しさを知らずに二年も西に……お労しいことです」
部下にはそう言われた。まったくだと思った。
一週間の間、騎士は期待と不安の間で揺れ動いていた。
姫君が自分を受け入れ訪ねてくれるのではないかという期待。
姫君が自分を糾弾しなかったのは人前だからで、裏では着々と自分の捕縛の計画が動いているのではないかという不安。
そのどちらも起きなかった。
「……いっそあのボロ屋に……いや、そこで会える確率なんて……くそっ……」
次があれば気を付ける、と姫君は言っていた。
姫君は次もあのボロ屋を使うつもりなのだろうか?
騎士が無垢な彼女に教え込んだ快楽を、他の男に与えられている姫君。
それを想像するだけで騎士のはらわたは煮えくり返った。
あの薄汚く狭苦しいボロ屋のベッドに横たわる姫君を想像する。
そこに跨がる男の姿を想像する。
その男は自分だろうか。自分ではない。どこの誰ともしれないボヤッとした顔の男が姫君に跨がっている。
姫君が真っ赤に染まった頬で、涙に濡れた目でその男を熱っぽく見つめる。
男の手が姫君の体をまさぐり、姫君が身をよじる。
そして男は下の服を脱ぎ去り、姫君の中にその醜い肉棒を……。
「……くそっ」
騎士は奥歯を噛み締めた。夜は更けていった。
翌日は朝から休日であった。騎士は我慢が利かず、とうとうボロ屋に向かっていた。
カーテンの布は白色、女が待っているという印が出ていた。
騎士は息をのんだ。
走り出すわけにもいかず、できるだけ早歩きで向かっていた騎士の目の前で、他の兵士がボロ屋に入っていった。
「なっ……!」
騎士はその場に凍り付いた。
昨晩の想像が頭をよぎる。
姫君に跨がっている男の顔が先ほどの兵士になる。
「……待て!」
騎士は思いっきりドアを開いた。
ドアはギィと軋む音を立てた。
中には先ほどの兵士が上着を脱ぎ、ベッドの上ではすでに半裸になった女が気怠げにしていた。
女は見知らぬ顔だった。
「…………」
「だ、第三隊長殿!?」
「あら、複数人希望?」
兵士は驚き、女は余裕を見せた。
「私は構わないけど……あんたは?」
「じ、自分も……は、はい……第三隊長殿の仰せであれば……」
「いや、すまない、部屋を間違えたのだ。気にしないでくれ、邪魔をしたな」
早口にそう言うと騎士はボロ屋から出た。
ドアを閉めるとギィという音が彼を追いかけた。
ボロ屋の外でがっくりとため息をつく。
自分は何をやっているのだろう。
とにかく今日はもう寮に戻ろう。もしかしたら彼女が訪ねてくれるかもしれない。
そう思って顔を上げた先に、着飾った姫君がいた。
周囲にはメイド達が数人控えていて、こんな王宮の隅まで来てしまったことに明らかに困っていた。
「あ……」
騎士は一週間ぶりのその姿に顔を輝かせた。
その声に姫君は騎士を見る。
騎士をあのときの男と認め、一瞬驚きの顔をし、そして姫君の顔はみるみるうちに曇っていった。
その目に涙が浮かぶ。
「…………姫様?」
「いいえ、いいえ、いいのです。きちんとした約束を、交わしたわけではないのですから……」
そう言うと姫君はくるりと騎士に背を向けた。
そして走り去っていった。
「姫様!?」
メイド達が困惑する。
「……お、お待ちください!!」
騎士は叫んだ。
誤解されたのだ。
そう気付いた。
自分が事後だと思われたのだ。
違う。違うのだ。聞いてほしい。待ってほしい。
鍛えている騎士と、蝶よ花よと育てられた姫君との走力は比べものにならなかった。
騎士はすぐに姫君に追いついた。
その姫君の足が焦りにもつれ、繁みの中へと転がり込むのを騎士は必死に抱きかかえた。
「きゃあっ!?」
姫君が悲鳴を上げた口を自分の口で塞ぐ。
騎士はその柔らかい感触をしばらく味わった。
姫君の目からは涙がポロポロと流れ落ちていた。
騎士は名残惜しさを覚えながら口を離した。
「……誤解なのです。姫様、お聞き入れくださいませんか?」
「……何です?」
聞かないと言われたところで離すつもりはなかった。
メイド達が姫君を探す声がする。
なるべく小さな声で騎士は囁いた。
「偶然なのです……俺はただあなたを探していて……どうにかまた会いたくて探しに来ていたのです……あそこで他の女を抱いていたわけではないのです」
「……本当に?」
「本当です。誓って嘘はつきません」
「……信じます」
姫君は恥じ入るように目を伏せた。
「ああ、ずっと、お会いしたかった」
騎士はやっとの思いでそう告げた。
「……あのね、わたくしも会いに行きたかったのです。でも、なかなかに自由な時間がなくて……今日もああやってメイド達がぞろぞろくっついているから、もちろんボロ屋を使う気なんてなくて……ただ、あなたに出会った場所に行きたくて……」
「嬉しゅうございます」
「……敬語をやめてくださいな。二人きりの時は、あの時みたいにお喋りしたいわ」
「……会えて嬉しい。このまま抱き潰してしまいたいほどだ」
騎士は本音をぶつけた。
姫君は頬を赤らめた。
「……騎士様、今夜時間はありますか?」
「……ああ」
「必ず忍んで参ります。だから……その、えっと……」
「是非に、お待ちしております」
そう言って騎士は再び姫君に口づけた。
軽いキスに姫君はどこか不満げな顔をした。
「さあ、メイドが心配します。もう出て行きましょう」
「……はい」
姫君は名残惜しそうに騎士に抱きついた。
その行動に騎士は己が高ぶるのをなんとか鎮めなければならなかった。
繁みから出てきた二人にメイドたちはざわめいた。
「姫様が転ばれたのをなんとか抱きかかえることができた」
繁みの中から出てきたことにはそうごまかせたが、姫君が突然走り出した奇行については騎士は何も言えなかった。
姫君は澄ました顔で「騎士様と追いかけっこをしてみたかったの」と述べた。
そんな子供っぽい言い訳にメイドたちは頷いた。
姫君はずいぶんと子供らしく思われているようだ、騎士は気付いた。
待ちに待った夜が来た。
遠慮がちに寮の戸が叩かれた。
そこにはメイドの服を着た姫君がいた。
頭巾を被って、顔を隠している。
騎士は素速く彼女を自室に迎え入れた。
「人には見られませんでしたか?」
「わたくしに従順な娘に手引きしてもらったの、大丈夫よ」
姫君は騎士が一脚の椅子を勧めるのを断り、騎士のベッドに座った。
騎士は思わず息をのんだ。
男の寝台に座るなど押し倒せと言っているようなものであるが、姫君にそのような知識があるとも思えない。
騎士は息を整え、姫君の隣に腰掛けた。
「あのね、あの後、わたくし、服を脱ぐ練習をしたのよ! あなたといつこうなってもいいように……」
最初は嬉しそうに、徐々に恥ずかしそうに、姫君はそう言った。
「こ、光栄です」
騎士は口ごもった。
どうアプローチしていいか分からなかった。
姫だと知らぬ内は無遠慮に扱えた。
しかし姫だと知ってしまった今、彼は細心の注意を払って姫君と接していた。
あの時に糾弾されなかったのは運が良いだけだ。
何かを大きくしくじれば、自分の首は胴体と泣き別れである。
「敬語はやめてって言ったのに」
姫君が口を尖らせた。
「あ、ああ……光栄だ。……じゃあ、服を脱ぐとこを見せてもらっても?」
無礼を意識するあまり、とんでもない要求を騎士は姫君に突きつけていた。
「……あ、あなたがご覧になりたいのなら」
姫君は恥じらうようにそう言ってリボンタイに手をかけた。
解かれるリボンタイ。外されていくボタン。あらわになる胸元。
コルセットも外し、上半身が無防備になる。
すぐにでもむしゃぶりつきたいのを我慢し、騎士はその姿を堪能する。
「な、なんだか恥ずかしい……」
頬を染めながら姫君はメイド服を脱ぎ捨てた。
下着とガーターベルト姿になる。
それを脱ぐ時はかなりのためらいを見せていたが、彼女は思いきってそれも脱ぎ去った。
全裸の姫君が騎士のベッドの上にいる。
「ふー……」
騎士は精神を統一するために息を深く吐いた。
「い、いかが?」
「ああ、とても……とてもお美しい……触っても良いか?」
「え、ええ、もちろんですとも」
姫君は胸を張った。
形の良い胸、ピンクの乳首が騎士に差し出される。
騎士は胸を持ち上げ、口に含んだ。
「んん……」
姫君は声を我慢した。
騎士はわざと激しく舌を動かした。
「あっ……意地悪っ……!」
声では抗議をしながらも、姫君は嫌がる素振りはしなかった。
騎士はしばらく姫君の胸を堪能した。
「はーっ……はーっ……」
姫君は座っているのも苦しい様子でベッドに徐々に横たわっていった。
その後を追いかけながら、ずっと胸をなぶっていた。
「ね、ねえ、そろそろ他の所にも触れてもらいたいわ……」
「他の所、というと?」
胸から口を離して騎士は聞いた。
よだれが胸に滴った。
「あん……意地悪……し、下に……下を触ってほしいです」
「分かった」
裸の姫君の体をつーっと手の指で撫でながら騎士の指は下へと向かう。
「確か……ここか」
前回に見つけた姫君の気持ちの良い場所を騎士の指は覚えていた。
一直線にそこを貫かれ、姫君の腰はビクンと上がる。
「あっ……! ああっ……!」
その反応が愛おしくて、騎士は何度もそこをつついた。
指の本数を増やせば姫君の反応はより激しくなる。
「き、騎士様……」
姫君は十分に蕩けきっていた。
物欲しそうな目で騎士を見上げている。
さあ、とうとう肉棒を挿し入れる時だ、そう思った。
騎士は服を脱ぎ捨てた。そして、そこで、困った。
肉棒が勃っていないのだ。
勃たないのだ。
「……騎士様?」
不安そうな声が姫君から漏れる。
「あ、いや……これは……これは、なんだ……」
騎士は戸惑った。
しかし、理由は明白だった。
相手が姫君だからである。
相手がただのメイドであれば、孕ませたところで結婚してしまえば良いと思っていた。
そうするだけのものをあの時騎士は彼女に感じていた。
しかし、相手は姫君である。
騎士ごときが本来触れて良いような相手ではない。
それを恐れると騎士の肉棒は勃たなくなった。
多少の反応はしているし、汁も漏れているが、到底挿し入れることが出来るほどの硬さがなかった。
もどかしい思いで、騎士は自分の分身を掴んだ。
どうにか奮い立たせようとそれを擦ってみせるが、肉棒は一向に硬くならない。
「えっと……ええっと……」
姫君の興奮が治まりだした。
困った顔をしている。
「あの……えーっと……今日は、その、調子が悪いのかしら、騎士様」
「ま、待ってくれ」
騎士は必死で肉棒を揉みつつ姫君を見下ろす。
そうだ、彼女の裸体。それを眺めていれば、興奮せずにはいられまい。
そう思うが、肉棒は一向に立ち上がることはなかった。
「…………」
姫君はなんだか泣き出しそうな顔をしていた。
騎士も泣き出したかったが、さすがにこらえた。
「……申し訳ございません!」
騎士はベッドから降り、土下座をした。
裸での土下座はなんとも滑稽であった。
「こ、この王宮騎士団第三隊長、恥ずかしながら、姫様を犯すという大罪を前に、身が竦んでどうにも……どうにも……!」
「大罪……」
姫君はポツリと呟いた。
「これは……これはそんなに悪いことなのかしら……」
「……騎士が姫君を犯す。それは身の程を知らぬ愚かの行為です。許されるようなことではありません」
「……でもお母様はよく護衛騎士を寝室に連れ込んでいるわ」
「ごほっ」
飛び出してきた思わぬ王族の醜聞に騎士は咳き込んだ。
「お父様も若い侍女を寝室に誘っているし、お兄様だって……」
「ひ、姫様、そ、それ以上は……その、あまり口にされない方が……」
「そう?」
姫君はきょとんとしてみせた。
王族の寝室事情はずいぶんとただれているようだ。
姫君がなんだかんだと騎士の求愛を受け入れてしまったのはそのせいだろうか?
騎士は少し不安になった。
「そ、その、姫様、姫様と自分の行為について誰かに話したりは……」
「まさか!」
姫君は頬を赤らめた。
「あれはあなたと私だけの時間です。他の者に告げるなんてとんでもない!」
「そ、そうですか、それはよかった」
「……私達、どうしたらいいのかしら」
「……正式に婚姻が結ばれれば、あるいは……」
その可能性はどれだけあるだろうか?
王族の姫が騎士に降嫁された例はなくもない。
しかしその場合は騎士の出身が有力貴族の末息子だったり、あるいは騎士団長にまで上り詰めた豪傑であるかのどちらかだ。
王宮騎士団第三隊長は市民の出だ。
武勇こそ見せ異例の出世を果たしたが、騎士団長になるには可能性がないわけではないが、まだまだかかる。
「……じゃあ、あなたが騎士団長になるのを待つわ」
「……それ、は」
それにはどれだけの時間がかかるだろう。
その間に姫君に縁談が舞い込まないとも限らない。
「それほどの時間……お待ちいただけるか……」
「……じゃあ、お父様にお願いするわ」
「え」
「祭典の日に、あの騎士に一目惚れしたと告げてきますわ。嘘ではありませんもの」
「は、はあ……」
「ですから、あなたもがんばってわたくしにふさわしい騎士団長になってね」
姫君はベッドの上で微笑んだ。
強い淑女の笑み。それはあの祭典で見せたものと同じ種類の笑みだった。
王族の笑み。決して手が届くはずがなかった笑み。
「が、がんばります……」
そして何を思ったか、床に降り、騎士の肉棒に手を伸ばした。
「ひ、姫っ!?」
「えい」
誰に教わったのか、姫君は騎士の肉棒を両手で掴んだ。
根元から、先の方までゆっくりじっくり絞りながら動かしていく。
体が熱い。心がざわざわする。気持ちが良い。
「あっ……ああっ……」
騎士の肉棒は膨らみ、硬くなり出した。
「ひ、姫様……」
「まあまあ、姫に触られて、興奮するなんていけない方」
そう言って姫君は微笑んだ。
騎士は今ならいけるのではないかと思った。
「し、失礼!」
姫を慌てて床に押し倒す。
豊かな胸が衝撃に弾む。
硬く尖った肉棒を、姫の秘所をまさぐって、突っ込もうとした。
「あ……」
無理だった。やはり肉棒はすぐにしおれてしまった。
「…………」
「待ちますわ、何があっても待ち続けます。ずっとずっと待ちますから」
姫君は床の上、彼女にはふさわしくない場所でそう言って微笑んだ。
「……はい」
「だ、だから、あの、その、えっと、ま、また下に……指でいいから……あの……」
「分かった」
姫君をゆっくり抱きかかえ、ベッドに座らせる。
膝を開くと姫君は恥ずかしそうに股間の前に手を下ろして隠す素振りを見せた。
「隠されては触れないぞ」
「は、はい……でも、あの、ジロジロ見ないで……」
騎士は姫君の秘所に指を二本突っ込んだ。
バラバラにその膣の中で指を遊ばせる。
「あ……ああん……」
姫君が腰をよじる。
続いて、もう片方の手で姫君の肉芽をつまんだ。
「ああっ!?」
姫君はビクリと体を跳ねさせ、脱力した。
なんとかイけたのだ。
騎士はホッと一息ついた。
目を覚ますと姫君は体を雑に清めて、メイド服を着、香水を自分に振りまき、去って行った。
「約束ですよ。約束しましたからね、騎士様」
「はい、もちろんです。もちろんですとも、姫」
何度も二人は念押しをして、別れた。
それから一月が経った。
王宮騎士団第三隊は北方の国境への派遣を命じられた。
「…………」
騎士は悩んだ。
姫君とはあの後、正式にお茶会に呼ばれたりしていた。
王宮ですれ違うこともあった。
しかし、そのすべてにおいて彼女の周りには誰かがおり、具体的な話をする機会はなく、寮に彼女が訪れることはなかった。
はたして姫君の王への直談判がどうなっているのか、騎士は知るよしもなかった。
北の国境では厳しい戦いを強いられていると伝え聞く。
生きては帰れないかもしれない。
王宮騎士団第三隊にはそれまで王宮警護ばかりで戦場には馴染みのない者達も多く、不安そうな顔が見受けられた。
騎士は隊の者を集め、そして服を脱ぎ、胸元を見せた。
「この傷を見ろ! 西で貫かれた傷だ! 俺は三日三晩生死の境をさまよった! 国境で戦うというのはそういうことだ! 死ぬのが怖い者は名乗り出ろ! 今なら外してやれる!」
王宮騎士団第三隊はざわめいた。
てっきり鼓舞されると思っていた彼らは隊長の言葉に戸惑った。
「俺も死ぬのは怖い! 俺には愛する女がいる! その女のことを思うと、死にたくはない! しかし、戦わねば、その女を守ることもできない! 貴様らが何のために戦うのか、もう一度考えてみろ!」
姫君の顔を思い浮かべながら、騎士は叫んだ。
王宮騎士団第三隊からの離脱者は数名いた。
それでいいと騎士は思った。
出立に当たって、国王直々に激励を受ける機会があった。
「……よって王宮騎士団第三隊長、貴殿に北の国境への着任を命ず」
「はっ!」
「そして……あー……騎士団第三隊長。貴殿に配偶者は?」
「おりません!」
王からの唐突な言葉にひとつの期待を胸に抱きながら、騎士は答えた。
「……うん、よし。北での戦は今まででもっとも厳しいものとなるだろう。戦況は厳しい。故に戦功を上げた暁には我が娘を貴殿に降嫁させる。護国の英雄に与えられる最大の褒賞だと思っている」
「身に余る光栄です……ですが、姫君のお気持ちは……?」
白々しくも騎士は訊ねた。
「それが、あの娘と来たら……貴殿に一目惚れだそうだ。まったく浮ついたことを……」
国王はブツブツと呟いた。
現王にとってはたった一人の娘である。おそらく姫君のことはもっと政治上の意義がある家にでも嫁がせたいのだろう。
騎士は頭を深く下げながら、心の中で決意を固くした。
北での戦は厳しかった。
吹き付ける雪に立っているだけで体力は奪われた。
そこに慣れている隣国の兵達は手強かった。
多くの犠牲が出た。
騎士もまた無傷ではいられなかった。
「ああ、第三隊長、無茶です! 傷が広がります!」
「だが、ここを切り開かなければ、勝機はない!」
軍医を振り切り、騎士は戦場に立ち続けた。
その姿に部下たちはついてきた。ついてきてくれた。
激しい戦況は、相手方の砦を陥落させるまで続いた。
騎士たちは多くの犠牲を生みながら、勝利を手にした。
「あっ……あっ……ああんっ……」
騎士の下で姫君が喘いでいる。
姫君は背の高い机に手をついて、尻を突き出している。
姫君の胸を揉みながら支え、騎士はその腰を前後に突き動かす。
「旦那様……旦那様……」
正式に婚姻を果たした彼女からの呼び名に騎士はまだ慣れなかった。
結婚パレードは戦勝記念も兼ねた豪勢なものであった。
姫君は乳母やメイド達をたくさん引き連れて嫁いできた。
騎士は王都に広い屋敷を一つ与えられた。
その愛の巣で、騎士は毎日のように姫君を後ろから犯していた。
「だ、旦那様……わたくし、そろそろ……」
「ああ」
騎士はすべらかな姫君の背に体を押しつけた。
もはや何の遠慮も要らない。
肉棒は十全に勃つようになった。
騎士の肉棒から姫君の中に白濁とした液が注がれる。
ぐっと蓋をするように肉棒を押しつけながら、騎士は姫君の体から力が抜けるのを支えた。
果ててしまった姫君を抱きかかえ、ベッドに向かう。
横に寝転がりながら、しばらく姫君の顔を撫でていたが、騎士は一つ深いため息をつくと、姫君に背を向けて、眠りについた。
目を覚ますと、騎士の頭は何か柔らかいものの上に乗っていた。
小さな手が頬を優しく撫でている。
姫君の太ももの上にいるのだと気づき騎士は慌てて、起き上がった。
「……旦那様」
悲しそうに姫君が騎士の背中に呼び掛ける。
騎士の背には深々とした切り傷がついていた。
北でついたものだ。もう痛くはない。
しかし引き攣れたそれが醜いものであろうことは騎士には想像がついた。
「……見ないでくれ、姫」
「……でも」
「あなたのように美しい方の配偶者がこのように醜い男などと、思い知るのが嫌なのだ」
そう言いながら騎士は自分の顔に手を当てた。
騎士の顔面半分、姫君が撫でていた頬には凍傷の痕が残っていた。
雪降る戦場で足を負傷し、倒れ伏したときについたものだった。
ベッドの上であぐらを組めば、その足の傷も見える。
幸いにしてその傷たちは時が経てば体の動きに一切の支障を来さなかった。
しかしその姿はあまりに痛々しく、特に服では隠せない顔の傷についてはあまりに有名であった。
姫君があのような傷の男に嫁ぐとは、そうあちらこちらで言われているのを騎士は知っていた。
「旦那様は醜くなどありません……! その体はその顔は護国の英雄の証です!」
騎士団の中では確かにそれらは名誉の負傷として称えられた。
しかし騎士の心はそれを素直に受け入れられなかった。
男として傷くらい何だと思う自分と、一国の姫を娶るにはふさわしくないと思う自分がいた。
そうであるから、騎士は姫君を獣のように後ろから犯すことしか出来なくなっていた。
自分の姿を見られながらの行為が出来なくなったのだ。
「私は旦那様のそのお顔が好きです。胸の傷が、背中の傷が、足の傷が、すべてが好きです!」
姫君は必死に騎士の背に呼び掛けた。
「あなたは、私のために、戦ってくださいました……わ、私がお父様に無茶なお願いをしたら……お父様はあなたを厄介払いするために北に送り込んで……!」
姫君は泣いていた。
そんなことは分かっていた。王宮騎士団第三隊、結成されたばかりの統率の取り切れていない部隊を、雪降る土地で率いるのは本当に骨が折れた。
皆果敢に戦ってくれた。
それでも多くの部下を死なせてしまった。
「あなたがいない間、いくつかの縁談が来ましたが、何故か全部相手の悪い噂が出て、立ち消えになり……」
それは騎士の西の国境戦時の部下たちと、第三隊から離脱した部下たちの暗躍の結果だ。
痛い腹のない貴族などいなかった。
「そして、あなたは生きて帰ってきてくれた! 十何年もかかると言われた戦争を終わらせ、敵の砦を陥落させてくださった! 我が国の安寧は保たれ、お父様だって望んで私を嫁に出すほどのお方にあなたはなった!」
「しかし、あなたを泣かせてしまっている……」
騎士は苦しい思いでそう呟いた。
「だって、だって……私のせいだと思ったらどうしても涙が……」
「だから、見ないでください、姫」
今も背中の傷が姫君に向けられている。
それが騎士には苦しかった。
「わ、私……私、最初にあのボロ屋であなたと出会ったときに、胸の傷に見惚れたの」
「え……?」
「傷なんて初めて見たわ。いいえ、男の人の体も初めて見たけど……ああ、この方は素性は知れないけど、戦って生き残った方なんだ。私達のために国を守ってくださった方なんだ。そう思ったら、私……私、ずっと、その傷に惚れていたの」
「姫様……」
「ああ、だから、ねえ、騎士様。傷が増えたのが何だというのでしょう。私を見てくださいませ。私に見せてくださいませ。あなたを、あなたのすべてを」
そう言って姫君はベッドから降りた。
歩いてくる。騎士の前に歩いてくる。
ベッドの端に座っている騎士の前に姫君は立った。
麗しい体。
まばゆい白さ。
姫君は恥じらいなくその裸を騎士の前にさらしている。
姫君は手を伸ばした。
騎士の顔に、騎士の胸に手を添えた。
愛しげに、傷を撫でた。
「ああ、美しいわ。あなたは……美しいのよ、騎士様」
「いいえ、この世で最も美しいのは、あなただ、姫様」
騎士はそう言って、彼女の体を抱きしめた。
「ああ、そんなに深く抱きしめられたら、結局何も見えないわ」
泣き笑いをしながら姫君はそう言った。
騎士はそんな彼女の体を撫でた。
武骨な手が滑らかな裸体を滑る。
「姫……よろしいでしょうか?」
「ええ、今日は何も用事がないものね」
姫君は微笑み、騎士はそんな彼女の口元にかぶりつくように口づけをした。
姫君は目を伏せず騎士をじっと見つめながら、そのキスを堪能した。
騎士の手が姫の胸をいじり、腹を撫で、腰を抱き、尻を揉み、そして秘所を犯す。
蜜の溢れた姫君の秘所は与えられる刺激を待ちわびる。
「あっ……そこ……そこだめっ……怖い……!」
「大丈夫。大丈夫だ」
「本当?」
「ああ」
騎士は姫君の痴態にいきり立った肉棒を秘所にあてがった。
「ん……!」
久方ぶりの正面からの挿入に、姫君の体が跳ねる。
「ああ、これ……これだわ……私、ずっとこれを……!」
「ふう……ふう……ふう……」
騎士はじっくりと時間をかけて、姫君の中に入っていく。
姫君が騎士を締め上げる。
騎士は我慢を強いられた。
なんとしても最奥で精を放ちたかった。
姫君が手を伸ばすのに騎士は応えて身をかがめる。
二人はきつく抱き合った。
「ああ、もう、意識が、意識が飛びそう……」
「まだ、もう少し、我慢しろ」
「はい……はい……だから、早く……早く……」
「早くどうしてほしい?」
「早く私に……私の中にあなたのすべてを……」
「ああ、捧げよう」
騎士の肉棒から精が放たれた。
「あ……」
騎士と姫君は同時に果てた。
騎士が目を覚ますと姫君はまだ騎士の中ですやすやと眠っていた。
「ああ、まだ治まらん」
彼はそう呟き、姫君を抱きしめた。
姫君は一向に目を覚ます様子はなく、騎士はもどかしい気持ちで彼女を抱きしめ続けた。
祭典から一週間が経った。
東の寮に彼女が訪れてくれることはなかった。
「…………はあ」
よもやあの時出会ったメイドが姫君だったとは。
祭典の上座、王と女王と王子の端に、着飾った彼女の姿を見た時は息が止まるかと思った。
何故メイドがあんな所にいるのか? しばらく考えてようやく彼女が姫君だと気付いた。
王から勲章を授与される間も気が気ではなかった。
いつ姫君が彼のことを無体を働いた暴漢だと糾弾するかと思うと、いっそ剣を自分の首に突きたててしまいたかった。
しかし姫君は何も言わなかった。
騎士と上座の姫君とは確かに目が合った。その時にも姫君は完璧な淑女の微笑みを浮かべるばかりであった。
王族の笑顔、高いところから与えられる決して届かぬ微笑み。
まさか他人のそら似だろうか。
いいや、いくらなんでも見間違えるはずがない。
となれば、彼女は受け入れていたのだ。
自分の純潔を奪った男がそこにいることを。
何という肝の据わり方であろうか。
後から王宮勤めの長い新しい部下を捕まえて聞いたことによれば、まだ若き姫君が祭典に顔を出されるようになったのは、ここ二年の間のことだという。
二年といえば騎士が西の国境で死闘を繰り広げていた期間に符合した。
二年の間に勲章は胸に貯まりに貯まっていたが、王から直々に勲章を授与されるのは久方ぶりのことであった。
「あのお美しさを知らずに二年も西に……お労しいことです」
部下にはそう言われた。まったくだと思った。
一週間の間、騎士は期待と不安の間で揺れ動いていた。
姫君が自分を受け入れ訪ねてくれるのではないかという期待。
姫君が自分を糾弾しなかったのは人前だからで、裏では着々と自分の捕縛の計画が動いているのではないかという不安。
そのどちらも起きなかった。
「……いっそあのボロ屋に……いや、そこで会える確率なんて……くそっ……」
次があれば気を付ける、と姫君は言っていた。
姫君は次もあのボロ屋を使うつもりなのだろうか?
騎士が無垢な彼女に教え込んだ快楽を、他の男に与えられている姫君。
それを想像するだけで騎士のはらわたは煮えくり返った。
あの薄汚く狭苦しいボロ屋のベッドに横たわる姫君を想像する。
そこに跨がる男の姿を想像する。
その男は自分だろうか。自分ではない。どこの誰ともしれないボヤッとした顔の男が姫君に跨がっている。
姫君が真っ赤に染まった頬で、涙に濡れた目でその男を熱っぽく見つめる。
男の手が姫君の体をまさぐり、姫君が身をよじる。
そして男は下の服を脱ぎ去り、姫君の中にその醜い肉棒を……。
「……くそっ」
騎士は奥歯を噛み締めた。夜は更けていった。
翌日は朝から休日であった。騎士は我慢が利かず、とうとうボロ屋に向かっていた。
カーテンの布は白色、女が待っているという印が出ていた。
騎士は息をのんだ。
走り出すわけにもいかず、できるだけ早歩きで向かっていた騎士の目の前で、他の兵士がボロ屋に入っていった。
「なっ……!」
騎士はその場に凍り付いた。
昨晩の想像が頭をよぎる。
姫君に跨がっている男の顔が先ほどの兵士になる。
「……待て!」
騎士は思いっきりドアを開いた。
ドアはギィと軋む音を立てた。
中には先ほどの兵士が上着を脱ぎ、ベッドの上ではすでに半裸になった女が気怠げにしていた。
女は見知らぬ顔だった。
「…………」
「だ、第三隊長殿!?」
「あら、複数人希望?」
兵士は驚き、女は余裕を見せた。
「私は構わないけど……あんたは?」
「じ、自分も……は、はい……第三隊長殿の仰せであれば……」
「いや、すまない、部屋を間違えたのだ。気にしないでくれ、邪魔をしたな」
早口にそう言うと騎士はボロ屋から出た。
ドアを閉めるとギィという音が彼を追いかけた。
ボロ屋の外でがっくりとため息をつく。
自分は何をやっているのだろう。
とにかく今日はもう寮に戻ろう。もしかしたら彼女が訪ねてくれるかもしれない。
そう思って顔を上げた先に、着飾った姫君がいた。
周囲にはメイド達が数人控えていて、こんな王宮の隅まで来てしまったことに明らかに困っていた。
「あ……」
騎士は一週間ぶりのその姿に顔を輝かせた。
その声に姫君は騎士を見る。
騎士をあのときの男と認め、一瞬驚きの顔をし、そして姫君の顔はみるみるうちに曇っていった。
その目に涙が浮かぶ。
「…………姫様?」
「いいえ、いいえ、いいのです。きちんとした約束を、交わしたわけではないのですから……」
そう言うと姫君はくるりと騎士に背を向けた。
そして走り去っていった。
「姫様!?」
メイド達が困惑する。
「……お、お待ちください!!」
騎士は叫んだ。
誤解されたのだ。
そう気付いた。
自分が事後だと思われたのだ。
違う。違うのだ。聞いてほしい。待ってほしい。
鍛えている騎士と、蝶よ花よと育てられた姫君との走力は比べものにならなかった。
騎士はすぐに姫君に追いついた。
その姫君の足が焦りにもつれ、繁みの中へと転がり込むのを騎士は必死に抱きかかえた。
「きゃあっ!?」
姫君が悲鳴を上げた口を自分の口で塞ぐ。
騎士はその柔らかい感触をしばらく味わった。
姫君の目からは涙がポロポロと流れ落ちていた。
騎士は名残惜しさを覚えながら口を離した。
「……誤解なのです。姫様、お聞き入れくださいませんか?」
「……何です?」
聞かないと言われたところで離すつもりはなかった。
メイド達が姫君を探す声がする。
なるべく小さな声で騎士は囁いた。
「偶然なのです……俺はただあなたを探していて……どうにかまた会いたくて探しに来ていたのです……あそこで他の女を抱いていたわけではないのです」
「……本当に?」
「本当です。誓って嘘はつきません」
「……信じます」
姫君は恥じ入るように目を伏せた。
「ああ、ずっと、お会いしたかった」
騎士はやっとの思いでそう告げた。
「……あのね、わたくしも会いに行きたかったのです。でも、なかなかに自由な時間がなくて……今日もああやってメイド達がぞろぞろくっついているから、もちろんボロ屋を使う気なんてなくて……ただ、あなたに出会った場所に行きたくて……」
「嬉しゅうございます」
「……敬語をやめてくださいな。二人きりの時は、あの時みたいにお喋りしたいわ」
「……会えて嬉しい。このまま抱き潰してしまいたいほどだ」
騎士は本音をぶつけた。
姫君は頬を赤らめた。
「……騎士様、今夜時間はありますか?」
「……ああ」
「必ず忍んで参ります。だから……その、えっと……」
「是非に、お待ちしております」
そう言って騎士は再び姫君に口づけた。
軽いキスに姫君はどこか不満げな顔をした。
「さあ、メイドが心配します。もう出て行きましょう」
「……はい」
姫君は名残惜しそうに騎士に抱きついた。
その行動に騎士は己が高ぶるのをなんとか鎮めなければならなかった。
繁みから出てきた二人にメイドたちはざわめいた。
「姫様が転ばれたのをなんとか抱きかかえることができた」
繁みの中から出てきたことにはそうごまかせたが、姫君が突然走り出した奇行については騎士は何も言えなかった。
姫君は澄ました顔で「騎士様と追いかけっこをしてみたかったの」と述べた。
そんな子供っぽい言い訳にメイドたちは頷いた。
姫君はずいぶんと子供らしく思われているようだ、騎士は気付いた。
待ちに待った夜が来た。
遠慮がちに寮の戸が叩かれた。
そこにはメイドの服を着た姫君がいた。
頭巾を被って、顔を隠している。
騎士は素速く彼女を自室に迎え入れた。
「人には見られませんでしたか?」
「わたくしに従順な娘に手引きしてもらったの、大丈夫よ」
姫君は騎士が一脚の椅子を勧めるのを断り、騎士のベッドに座った。
騎士は思わず息をのんだ。
男の寝台に座るなど押し倒せと言っているようなものであるが、姫君にそのような知識があるとも思えない。
騎士は息を整え、姫君の隣に腰掛けた。
「あのね、あの後、わたくし、服を脱ぐ練習をしたのよ! あなたといつこうなってもいいように……」
最初は嬉しそうに、徐々に恥ずかしそうに、姫君はそう言った。
「こ、光栄です」
騎士は口ごもった。
どうアプローチしていいか分からなかった。
姫だと知らぬ内は無遠慮に扱えた。
しかし姫だと知ってしまった今、彼は細心の注意を払って姫君と接していた。
あの時に糾弾されなかったのは運が良いだけだ。
何かを大きくしくじれば、自分の首は胴体と泣き別れである。
「敬語はやめてって言ったのに」
姫君が口を尖らせた。
「あ、ああ……光栄だ。……じゃあ、服を脱ぐとこを見せてもらっても?」
無礼を意識するあまり、とんでもない要求を騎士は姫君に突きつけていた。
「……あ、あなたがご覧になりたいのなら」
姫君は恥じらうようにそう言ってリボンタイに手をかけた。
解かれるリボンタイ。外されていくボタン。あらわになる胸元。
コルセットも外し、上半身が無防備になる。
すぐにでもむしゃぶりつきたいのを我慢し、騎士はその姿を堪能する。
「な、なんだか恥ずかしい……」
頬を染めながら姫君はメイド服を脱ぎ捨てた。
下着とガーターベルト姿になる。
それを脱ぐ時はかなりのためらいを見せていたが、彼女は思いきってそれも脱ぎ去った。
全裸の姫君が騎士のベッドの上にいる。
「ふー……」
騎士は精神を統一するために息を深く吐いた。
「い、いかが?」
「ああ、とても……とてもお美しい……触っても良いか?」
「え、ええ、もちろんですとも」
姫君は胸を張った。
形の良い胸、ピンクの乳首が騎士に差し出される。
騎士は胸を持ち上げ、口に含んだ。
「んん……」
姫君は声を我慢した。
騎士はわざと激しく舌を動かした。
「あっ……意地悪っ……!」
声では抗議をしながらも、姫君は嫌がる素振りはしなかった。
騎士はしばらく姫君の胸を堪能した。
「はーっ……はーっ……」
姫君は座っているのも苦しい様子でベッドに徐々に横たわっていった。
その後を追いかけながら、ずっと胸をなぶっていた。
「ね、ねえ、そろそろ他の所にも触れてもらいたいわ……」
「他の所、というと?」
胸から口を離して騎士は聞いた。
よだれが胸に滴った。
「あん……意地悪……し、下に……下を触ってほしいです」
「分かった」
裸の姫君の体をつーっと手の指で撫でながら騎士の指は下へと向かう。
「確か……ここか」
前回に見つけた姫君の気持ちの良い場所を騎士の指は覚えていた。
一直線にそこを貫かれ、姫君の腰はビクンと上がる。
「あっ……! ああっ……!」
その反応が愛おしくて、騎士は何度もそこをつついた。
指の本数を増やせば姫君の反応はより激しくなる。
「き、騎士様……」
姫君は十分に蕩けきっていた。
物欲しそうな目で騎士を見上げている。
さあ、とうとう肉棒を挿し入れる時だ、そう思った。
騎士は服を脱ぎ捨てた。そして、そこで、困った。
肉棒が勃っていないのだ。
勃たないのだ。
「……騎士様?」
不安そうな声が姫君から漏れる。
「あ、いや……これは……これは、なんだ……」
騎士は戸惑った。
しかし、理由は明白だった。
相手が姫君だからである。
相手がただのメイドであれば、孕ませたところで結婚してしまえば良いと思っていた。
そうするだけのものをあの時騎士は彼女に感じていた。
しかし、相手は姫君である。
騎士ごときが本来触れて良いような相手ではない。
それを恐れると騎士の肉棒は勃たなくなった。
多少の反応はしているし、汁も漏れているが、到底挿し入れることが出来るほどの硬さがなかった。
もどかしい思いで、騎士は自分の分身を掴んだ。
どうにか奮い立たせようとそれを擦ってみせるが、肉棒は一向に硬くならない。
「えっと……ええっと……」
姫君の興奮が治まりだした。
困った顔をしている。
「あの……えーっと……今日は、その、調子が悪いのかしら、騎士様」
「ま、待ってくれ」
騎士は必死で肉棒を揉みつつ姫君を見下ろす。
そうだ、彼女の裸体。それを眺めていれば、興奮せずにはいられまい。
そう思うが、肉棒は一向に立ち上がることはなかった。
「…………」
姫君はなんだか泣き出しそうな顔をしていた。
騎士も泣き出したかったが、さすがにこらえた。
「……申し訳ございません!」
騎士はベッドから降り、土下座をした。
裸での土下座はなんとも滑稽であった。
「こ、この王宮騎士団第三隊長、恥ずかしながら、姫様を犯すという大罪を前に、身が竦んでどうにも……どうにも……!」
「大罪……」
姫君はポツリと呟いた。
「これは……これはそんなに悪いことなのかしら……」
「……騎士が姫君を犯す。それは身の程を知らぬ愚かの行為です。許されるようなことではありません」
「……でもお母様はよく護衛騎士を寝室に連れ込んでいるわ」
「ごほっ」
飛び出してきた思わぬ王族の醜聞に騎士は咳き込んだ。
「お父様も若い侍女を寝室に誘っているし、お兄様だって……」
「ひ、姫様、そ、それ以上は……その、あまり口にされない方が……」
「そう?」
姫君はきょとんとしてみせた。
王族の寝室事情はずいぶんとただれているようだ。
姫君がなんだかんだと騎士の求愛を受け入れてしまったのはそのせいだろうか?
騎士は少し不安になった。
「そ、その、姫様、姫様と自分の行為について誰かに話したりは……」
「まさか!」
姫君は頬を赤らめた。
「あれはあなたと私だけの時間です。他の者に告げるなんてとんでもない!」
「そ、そうですか、それはよかった」
「……私達、どうしたらいいのかしら」
「……正式に婚姻が結ばれれば、あるいは……」
その可能性はどれだけあるだろうか?
王族の姫が騎士に降嫁された例はなくもない。
しかしその場合は騎士の出身が有力貴族の末息子だったり、あるいは騎士団長にまで上り詰めた豪傑であるかのどちらかだ。
王宮騎士団第三隊長は市民の出だ。
武勇こそ見せ異例の出世を果たしたが、騎士団長になるには可能性がないわけではないが、まだまだかかる。
「……じゃあ、あなたが騎士団長になるのを待つわ」
「……それ、は」
それにはどれだけの時間がかかるだろう。
その間に姫君に縁談が舞い込まないとも限らない。
「それほどの時間……お待ちいただけるか……」
「……じゃあ、お父様にお願いするわ」
「え」
「祭典の日に、あの騎士に一目惚れしたと告げてきますわ。嘘ではありませんもの」
「は、はあ……」
「ですから、あなたもがんばってわたくしにふさわしい騎士団長になってね」
姫君はベッドの上で微笑んだ。
強い淑女の笑み。それはあの祭典で見せたものと同じ種類の笑みだった。
王族の笑み。決して手が届くはずがなかった笑み。
「が、がんばります……」
そして何を思ったか、床に降り、騎士の肉棒に手を伸ばした。
「ひ、姫っ!?」
「えい」
誰に教わったのか、姫君は騎士の肉棒を両手で掴んだ。
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体が熱い。心がざわざわする。気持ちが良い。
「あっ……ああっ……」
騎士の肉棒は膨らみ、硬くなり出した。
「ひ、姫様……」
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そう言って姫君は微笑んだ。
騎士は今ならいけるのではないかと思った。
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姫を慌てて床に押し倒す。
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「あ……」
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「…………」
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姫君をゆっくり抱きかかえ、ベッドに座らせる。
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騎士は姫君の秘所に指を二本突っ込んだ。
バラバラにその膣の中で指を遊ばせる。
「あ……ああん……」
姫君が腰をよじる。
続いて、もう片方の手で姫君の肉芽をつまんだ。
「ああっ!?」
姫君はビクリと体を跳ねさせ、脱力した。
なんとかイけたのだ。
騎士はホッと一息ついた。
目を覚ますと姫君は体を雑に清めて、メイド服を着、香水を自分に振りまき、去って行った。
「約束ですよ。約束しましたからね、騎士様」
「はい、もちろんです。もちろんですとも、姫」
何度も二人は念押しをして、別れた。
それから一月が経った。
王宮騎士団第三隊は北方の国境への派遣を命じられた。
「…………」
騎士は悩んだ。
姫君とはあの後、正式にお茶会に呼ばれたりしていた。
王宮ですれ違うこともあった。
しかし、そのすべてにおいて彼女の周りには誰かがおり、具体的な話をする機会はなく、寮に彼女が訪れることはなかった。
はたして姫君の王への直談判がどうなっているのか、騎士は知るよしもなかった。
北の国境では厳しい戦いを強いられていると伝え聞く。
生きては帰れないかもしれない。
王宮騎士団第三隊にはそれまで王宮警護ばかりで戦場には馴染みのない者達も多く、不安そうな顔が見受けられた。
騎士は隊の者を集め、そして服を脱ぎ、胸元を見せた。
「この傷を見ろ! 西で貫かれた傷だ! 俺は三日三晩生死の境をさまよった! 国境で戦うというのはそういうことだ! 死ぬのが怖い者は名乗り出ろ! 今なら外してやれる!」
王宮騎士団第三隊はざわめいた。
てっきり鼓舞されると思っていた彼らは隊長の言葉に戸惑った。
「俺も死ぬのは怖い! 俺には愛する女がいる! その女のことを思うと、死にたくはない! しかし、戦わねば、その女を守ることもできない! 貴様らが何のために戦うのか、もう一度考えてみろ!」
姫君の顔を思い浮かべながら、騎士は叫んだ。
王宮騎士団第三隊からの離脱者は数名いた。
それでいいと騎士は思った。
出立に当たって、国王直々に激励を受ける機会があった。
「……よって王宮騎士団第三隊長、貴殿に北の国境への着任を命ず」
「はっ!」
「そして……あー……騎士団第三隊長。貴殿に配偶者は?」
「おりません!」
王からの唐突な言葉にひとつの期待を胸に抱きながら、騎士は答えた。
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白々しくも騎士は訊ねた。
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軍医を振り切り、騎士は戦場に立ち続けた。
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激しい戦況は、相手方の砦を陥落させるまで続いた。
騎士たちは多くの犠牲を生みながら、勝利を手にした。
「あっ……あっ……ああんっ……」
騎士の下で姫君が喘いでいる。
姫君は背の高い机に手をついて、尻を突き出している。
姫君の胸を揉みながら支え、騎士はその腰を前後に突き動かす。
「旦那様……旦那様……」
正式に婚姻を果たした彼女からの呼び名に騎士はまだ慣れなかった。
結婚パレードは戦勝記念も兼ねた豪勢なものであった。
姫君は乳母やメイド達をたくさん引き連れて嫁いできた。
騎士は王都に広い屋敷を一つ与えられた。
その愛の巣で、騎士は毎日のように姫君を後ろから犯していた。
「だ、旦那様……わたくし、そろそろ……」
「ああ」
騎士はすべらかな姫君の背に体を押しつけた。
もはや何の遠慮も要らない。
肉棒は十全に勃つようになった。
騎士の肉棒から姫君の中に白濁とした液が注がれる。
ぐっと蓋をするように肉棒を押しつけながら、騎士は姫君の体から力が抜けるのを支えた。
果ててしまった姫君を抱きかかえ、ベッドに向かう。
横に寝転がりながら、しばらく姫君の顔を撫でていたが、騎士は一つ深いため息をつくと、姫君に背を向けて、眠りについた。
目を覚ますと、騎士の頭は何か柔らかいものの上に乗っていた。
小さな手が頬を優しく撫でている。
姫君の太ももの上にいるのだと気づき騎士は慌てて、起き上がった。
「……旦那様」
悲しそうに姫君が騎士の背中に呼び掛ける。
騎士の背には深々とした切り傷がついていた。
北でついたものだ。もう痛くはない。
しかし引き攣れたそれが醜いものであろうことは騎士には想像がついた。
「……見ないでくれ、姫」
「……でも」
「あなたのように美しい方の配偶者がこのように醜い男などと、思い知るのが嫌なのだ」
そう言いながら騎士は自分の顔に手を当てた。
騎士の顔面半分、姫君が撫でていた頬には凍傷の痕が残っていた。
雪降る戦場で足を負傷し、倒れ伏したときについたものだった。
ベッドの上であぐらを組めば、その足の傷も見える。
幸いにしてその傷たちは時が経てば体の動きに一切の支障を来さなかった。
しかしその姿はあまりに痛々しく、特に服では隠せない顔の傷についてはあまりに有名であった。
姫君があのような傷の男に嫁ぐとは、そうあちらこちらで言われているのを騎士は知っていた。
「旦那様は醜くなどありません……! その体はその顔は護国の英雄の証です!」
騎士団の中では確かにそれらは名誉の負傷として称えられた。
しかし騎士の心はそれを素直に受け入れられなかった。
男として傷くらい何だと思う自分と、一国の姫を娶るにはふさわしくないと思う自分がいた。
そうであるから、騎士は姫君を獣のように後ろから犯すことしか出来なくなっていた。
自分の姿を見られながらの行為が出来なくなったのだ。
「私は旦那様のそのお顔が好きです。胸の傷が、背中の傷が、足の傷が、すべてが好きです!」
姫君は必死に騎士の背に呼び掛けた。
「あなたは、私のために、戦ってくださいました……わ、私がお父様に無茶なお願いをしたら……お父様はあなたを厄介払いするために北に送り込んで……!」
姫君は泣いていた。
そんなことは分かっていた。王宮騎士団第三隊、結成されたばかりの統率の取り切れていない部隊を、雪降る土地で率いるのは本当に骨が折れた。
皆果敢に戦ってくれた。
それでも多くの部下を死なせてしまった。
「あなたがいない間、いくつかの縁談が来ましたが、何故か全部相手の悪い噂が出て、立ち消えになり……」
それは騎士の西の国境戦時の部下たちと、第三隊から離脱した部下たちの暗躍の結果だ。
痛い腹のない貴族などいなかった。
「そして、あなたは生きて帰ってきてくれた! 十何年もかかると言われた戦争を終わらせ、敵の砦を陥落させてくださった! 我が国の安寧は保たれ、お父様だって望んで私を嫁に出すほどのお方にあなたはなった!」
「しかし、あなたを泣かせてしまっている……」
騎士は苦しい思いでそう呟いた。
「だって、だって……私のせいだと思ったらどうしても涙が……」
「だから、見ないでください、姫」
今も背中の傷が姫君に向けられている。
それが騎士には苦しかった。
「わ、私……私、最初にあのボロ屋であなたと出会ったときに、胸の傷に見惚れたの」
「え……?」
「傷なんて初めて見たわ。いいえ、男の人の体も初めて見たけど……ああ、この方は素性は知れないけど、戦って生き残った方なんだ。私達のために国を守ってくださった方なんだ。そう思ったら、私……私、ずっと、その傷に惚れていたの」
「姫様……」
「ああ、だから、ねえ、騎士様。傷が増えたのが何だというのでしょう。私を見てくださいませ。私に見せてくださいませ。あなたを、あなたのすべてを」
そう言って姫君はベッドから降りた。
歩いてくる。騎士の前に歩いてくる。
ベッドの端に座っている騎士の前に姫君は立った。
麗しい体。
まばゆい白さ。
姫君は恥じらいなくその裸を騎士の前にさらしている。
姫君は手を伸ばした。
騎士の顔に、騎士の胸に手を添えた。
愛しげに、傷を撫でた。
「ああ、美しいわ。あなたは……美しいのよ、騎士様」
「いいえ、この世で最も美しいのは、あなただ、姫様」
騎士はそう言って、彼女の体を抱きしめた。
「ああ、そんなに深く抱きしめられたら、結局何も見えないわ」
泣き笑いをしながら姫君はそう言った。
騎士はそんな彼女の体を撫でた。
武骨な手が滑らかな裸体を滑る。
「姫……よろしいでしょうか?」
「ええ、今日は何も用事がないものね」
姫君は微笑み、騎士はそんな彼女の口元にかぶりつくように口づけをした。
姫君は目を伏せず騎士をじっと見つめながら、そのキスを堪能した。
騎士の手が姫の胸をいじり、腹を撫で、腰を抱き、尻を揉み、そして秘所を犯す。
蜜の溢れた姫君の秘所は与えられる刺激を待ちわびる。
「あっ……そこ……そこだめっ……怖い……!」
「大丈夫。大丈夫だ」
「本当?」
「ああ」
騎士は姫君の痴態にいきり立った肉棒を秘所にあてがった。
「ん……!」
久方ぶりの正面からの挿入に、姫君の体が跳ねる。
「ああ、これ……これだわ……私、ずっとこれを……!」
「ふう……ふう……ふう……」
騎士はじっくりと時間をかけて、姫君の中に入っていく。
姫君が騎士を締め上げる。
騎士は我慢を強いられた。
なんとしても最奥で精を放ちたかった。
姫君が手を伸ばすのに騎士は応えて身をかがめる。
二人はきつく抱き合った。
「ああ、もう、意識が、意識が飛びそう……」
「まだ、もう少し、我慢しろ」
「はい……はい……だから、早く……早く……」
「早くどうしてほしい?」
「早く私に……私の中にあなたのすべてを……」
「ああ、捧げよう」
騎士の肉棒から精が放たれた。
「あ……」
騎士と姫君は同時に果てた。
騎士が目を覚ますと姫君はまだ騎士の中ですやすやと眠っていた。
「ああ、まだ治まらん」
彼はそう呟き、姫君を抱きしめた。
姫君は一向に目を覚ます様子はなく、騎士はもどかしい気持ちで彼女を抱きしめ続けた。
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