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番外編

番外編1話

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 結婚してからも、私達の生活は大して変わりはしなかった。
 私は学び、ユリウスは働き、夜にはふたり愛しくも激しい時間を過ごす。
 私にはまだ懐妊の兆しはなく、それだけが少し不安として残っていたけれど、それ以外は、まぎれもなく幸せだった。



 季節は秋を過ぎ、冬になろうとしていた。



「そう心配することありませんわ!」

「魔族はなかなか妊娠しないものですもの!」

 ニンフとシルフはそう言ってくれた。

「陛下は長らく魔界にいて、かつては人間であったお体も次第に魔族化してますからね……」

「お妃様も、魔族と人間の子ですから、魔族としての形質が出ているのかもしれませんわ!」

「…………そう、ね」

 けれども、そもそも、私は子供を産むためにここに来た。
 いや、今となってはもちろん私とユリウスの間柄はそれだけではない。
 そう信じている。
 ただ、申し訳なさが、つきまとう。

 いや、それよりも、もっと……。

 たぶん、私はユリウスとの子供がほしいのだ。
 幸せな、両親と子供という家族。
 幼い頃から私になかったもの。
 それに憧れている。

 そういうことなのだ、きっと。



 夜が来た。

 堅牢な城の中にあっても、肌寒さを感じるようになってきていた。
 私は毛布にくるまりながら、ユリウスの訪れを待つ。

 ユリウスは仕事が長引いたようで、私の部屋に少し遅れて入ってきた。
 その顔は、少し申し訳なさそうだった。

「待たせた……眠そうだな」

 ユリウスは優しく微笑むと静かにベッドに入ると、私を毛布ごと柔らかく抱きしめた。

「無理をしなくていいんだぞ、ミラベル。今日はもうゆっくり休んで……」

 ユリウスがそう言う唇を、私は無理矢理奪い去った。
 激しい動きで、毛布が脱げる。
 いつになく強引な私の振る舞いにユリウスが目を丸くする。

 だけど慣れ親しんだ唇の感覚に、ユリウスは私の唇の奥へと舌を伸ばした。
 私の口内で、ふたりの舌が絡み合う。

「ん……んっ……」

 口を塞ぎ合ってるので、声にはならない。
 ただ艶めかしいユリウスの声に、私の体は火照っていく。

 いつもより長いキスは、私が酸欠で気を遠くする直前にほどかれた。

「はあ……」

 声が漏れる。
 ユリウスが気遣わしげに私を見る。

「何かあったか?」

「……いえ……ただ、ただ、あなたに触れたくて」

「……そうか」

 ユリウスはすっかり火照った私の体の輪郭を撫でた。

 敏感になっている体はゾクゾクと震えていく。

 ああ、その手を、もっと、もっと気持ちいいところに……。
 すっかりユリウスに知り尽くされた私の体。

 なのに、ユリウスは焦らすように、胸の頂や、足の間を避けていく。

「いじわる……」

 そうせがむと、ユリウスはニヤリと笑った。

「どうしてほしい?」

「いつもみたいに……もっと、私の……私の中に、触れて」

「ああ」

 ユリウスはネグリジェの裾に手を潜り込ませた。
 私の太ももが、歓喜に震えた。
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