4 / 8
第4話 憂鬱な食事
しおりを挟む
目覚めればセシリアの体は、寝ている間に濡れた布で拭かれていたようで、ある程度、清められていた。
薄着のナイトドレスを着せられている。それは質の良い布で出来ていて、肌触りがよかった。
伯爵家ですら着たことのない高価な物。それとは裏腹な、この地下牢。
手首の縄は相変わらずだが、足首の縄はほどかれている。
しかし歩いて逃げ出せるのではないか、とはもう思わない。
最初の頃に試したが、石牢の入り口は鍵がかかっていて、どうしようもなかった。
しばらく虚ろに宙を見ていると、石牢の入り口からレイナルドがワゴンを押して入ってきた。
「おはよう、セシリア」
どうやら今は朝らしい。光の差さないこの場所では、そんなこともわからなくなっていた。
「今日こそ、そろそろ何か食べてくれないと」
レイナルドはどこか機嫌が良さそうにそう言った。セシリアと体を交えた後の彼はいつもこうで、セシリアにはそれが気味が悪い。
「わかるかい、セシリア。私は君の罪を清めたいだけで、死んでほしいわけではないのだから」
「…………」
わからない。
一体セシリアの何に断罪される理由があるというのだろう。一体自分は何をしてしまったというのだろう。
それとも世の中とはセシリアが世間知らずだっただけでこういう風になっていたのだろうか?
夫婦とは、こういうものだったのだろうか?
レイナルドがベッドの横に腰掛け、朝食を広げる。
「さあ、お食べ」
麦の粥を差し出され、セシリアはおとなしく口を開く。
なんとか塊が喉を通った。
それだけでレイナルドは嬉しそうにうなずいた。
「うん、うん」
セシリアは必死に与えられる食事を口に運んだ。
今日はずいぶんと体調がよかったらしい。
用意された朝食を半分も食べることができた。
「よく食べてくれたね、嬉しいよ、セシリア」
レイナルドはセシリアの頭を撫でた。
「…………っ」
やはり触られることに嫌悪が湧く。
レイナルドは気付いているのかいないのか、傷んだ髪を悲しげな顔で撫でた。
「ああ、髪をどうにかしないと……オイルを取り寄せているんだよ。髪が滑らかになるオイル。楽しみだね……」
「…………」
レイナルドは自分をどうしたいのだろう。
何もわからない。
ただ、セシリアはここから逃げられない。
それしかわからなかった。
「さあ、罰の時間だ」
レイナルドが縄を取り出した。
せめて食事が終わってすぐはやめてほしい。
そう思いながら、セシリアは虚ろにその縄が体に巻き付けられるのを傍観していた。
薄着のナイトドレスを着せられている。それは質の良い布で出来ていて、肌触りがよかった。
伯爵家ですら着たことのない高価な物。それとは裏腹な、この地下牢。
手首の縄は相変わらずだが、足首の縄はほどかれている。
しかし歩いて逃げ出せるのではないか、とはもう思わない。
最初の頃に試したが、石牢の入り口は鍵がかかっていて、どうしようもなかった。
しばらく虚ろに宙を見ていると、石牢の入り口からレイナルドがワゴンを押して入ってきた。
「おはよう、セシリア」
どうやら今は朝らしい。光の差さないこの場所では、そんなこともわからなくなっていた。
「今日こそ、そろそろ何か食べてくれないと」
レイナルドはどこか機嫌が良さそうにそう言った。セシリアと体を交えた後の彼はいつもこうで、セシリアにはそれが気味が悪い。
「わかるかい、セシリア。私は君の罪を清めたいだけで、死んでほしいわけではないのだから」
「…………」
わからない。
一体セシリアの何に断罪される理由があるというのだろう。一体自分は何をしてしまったというのだろう。
それとも世の中とはセシリアが世間知らずだっただけでこういう風になっていたのだろうか?
夫婦とは、こういうものだったのだろうか?
レイナルドがベッドの横に腰掛け、朝食を広げる。
「さあ、お食べ」
麦の粥を差し出され、セシリアはおとなしく口を開く。
なんとか塊が喉を通った。
それだけでレイナルドは嬉しそうにうなずいた。
「うん、うん」
セシリアは必死に与えられる食事を口に運んだ。
今日はずいぶんと体調がよかったらしい。
用意された朝食を半分も食べることができた。
「よく食べてくれたね、嬉しいよ、セシリア」
レイナルドはセシリアの頭を撫でた。
「…………っ」
やはり触られることに嫌悪が湧く。
レイナルドは気付いているのかいないのか、傷んだ髪を悲しげな顔で撫でた。
「ああ、髪をどうにかしないと……オイルを取り寄せているんだよ。髪が滑らかになるオイル。楽しみだね……」
「…………」
レイナルドは自分をどうしたいのだろう。
何もわからない。
ただ、セシリアはここから逃げられない。
それしかわからなかった。
「さあ、罰の時間だ」
レイナルドが縄を取り出した。
せめて食事が終わってすぐはやめてほしい。
そう思いながら、セシリアは虚ろにその縄が体に巻き付けられるのを傍観していた。
1
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。
風
恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。
飼主さんが大好きです。
グロ表現、
性的表現もあります。
行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。
基本的に苦痛系のみですが
飼主さんとペットの関係は甘々です。
マゾ目線Only。
フィクションです。
※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。
伯爵令嬢のユリアは時間停止の魔法で凌辱される。【完結】
ちゃむにい
恋愛
その時ユリアは、ただ教室で座っていただけのはずだった。
「……っ!!?」
気がついた時には制服の着衣は乱れ、股から白い粘液がこぼれ落ち、体の奥に鈍く感じる違和感があった。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
【R18】隣のデスクの歳下後輩君にオカズに使われているらしいので、望み通りにシてあげました。
雪村 里帆
恋愛
お陰様でHOT女性向け33位、人気ランキング146位達成※隣のデスクに座る陰キャの歳下後輩君から、ある日私の卑猥なアイコラ画像を誤送信されてしまい!?彼にオカズに使われていると知り満更でもない私は彼を部屋に招き入れてお望み通りの行為をする事に…。強気な先輩ちゃん×弱気な後輩くん。でもエッチな下着を身に付けて恥ずかしくなった私は、彼に攻められてすっかり形成逆転されてしまう。
——全話ほぼ濡れ場で小難しいストーリーの設定などが無いのでストレス無く集中できます(はしがき・あとがきは含まない)
※完結直後のものです。
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
【R18】貧しいメイドは、身も心も天才教授に支配される
さんかく ひかる
恋愛
王立大学のメイド、レナは、毎晩、天才教授、アーキス・トレボーの教授室に、コーヒーを届ける。
そして毎晩、教授からレッスンを受けるのであった……誰にも知られてはいけないレッスンを。
神の教えに背く、禁断のレッスンを。
R18です。長編『僕は彼女としたいだけ』のヒロインが書いた異世界恋愛小説を抜き出しました。
独立しているので、この話だけでも楽しめます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる