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第37話 すべてをつなげて

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 私の裸の上半身は、瀬川さんに舐められている。
 乳首を避け、スーッと焦らすように舐めている。

「んん……」
「じゅるっ」

 瀬川さんのよだれまみれになった私の体は、瀬川さんに撫でられて、ドロドロだ。
 溶けてしまうような錯覚。混ざり合っていくような感覚。
 私は必死で瀬川さんの肩にしがみつく。

「深海さんの……いじわる……」
「どうしてほしい?」

 舐める口を止めて、上目遣いに瀬川さんが聞いてくる。

「……ち、乳首を、なめて……」

 自分で言った言葉に自分の股間は敏感に反応する。
 熱を持って、ゆっくり濡れる。
 ショーツにどろりとしたものが垂れる。

「はい」

 瀬川さんはとろけるような笑みで、私の乳首に向かう。

「はむ」

 食らいつかれて、瀬川さんの肩に置く手に力が入る。

「深海さん……!」

 上を向いて叫ぶほどに、その口の動きは激しさを増す。
 私の乳首はすでに立ち上がっていて、瀬川さんが固くなったそこをコロコロと舌先で転がす。

「はあ……はあ……」

 肩で息をする。手が震えてくる。

 瀬川さんは乳首を口に含んだまま、手を下半身へと伸ばした。
 ショーツ越しに秘所をなぞられる。
 ぐちゃぐちゃになっているのがバレてしまう。

「びしょびしょ」

 瀬川さんは嬉しそうだった。

「言わないで……」
「だってこんなにしてくれて、嬉しいですもん。そんなに胸、よかった?」
「うう……」
「かわいい」

 乳首から口が離れる。
 瀬川さんの口が私の口に向かう。
 キスをした。

 その間にも秘所を撫でる手は止まらない。
 私はもうショーツがびしょびしょになっていることを受け入れた。

「深海さん……ほしい……」
「はい」

 瀬川さんはショーツをずらした。
 私の性器が外気に触れる。
 丸出しになったクリトリスを柔らかく立たせながら、彼は器用にスーツのパンツを脱いだ。

 そこはすでにそそり立っていた。
 瀬川さんは剥き出しのペニスを私のクリトリスに押し付けた。

「んっ……!」

 初めて彼のものに直接触れた気がする。
 瀬川さんはそのまま、ペニスを挿入する動きに入った。

「……由香さん、いい?」
「いい、です」

 何だか逆らえなくて、何だか欲しくて、私はそう言っていた。

 生身のペニスが、私の中に入ってくる。
 初めての感触。

「ああっ……!」

 声が出る。肉と肉が直接ぶつかり合う感触。
 私の中を瀬川さんが埋めていく。
 私は膣をひくつかせて、腰を動かして、瀬川さんを求めていた。

「中……奥……奥に来て……」
「由香さんっ……!」

 瀬川さんが我慢できないって顔になって、私の腰を抱き寄せた。
 せわしなく腰が動く。
 ぐちゅぐちゅと玄関に水音が響く。

 この人と隔たりなくひとつになっている。

 私は瀬川さんの首に手を回した。
 スーツのままの上半身に裸の胸がくっついてしまう。

 自分からキスをしたら、舌が入ってきた。

「んっ……ふっ……」

 動く全身。繋がり合う体。もどかしい奥。

「深海さん……!」
「由香さんっ、出るっ……」
「出して、中に出して……っ」

 瀬川さんの腰を抱く手に力が入る。
 どくんと私の奥に瀬川さんがそれまでゴムに吐きだしてきた白いものが溢れて、私はぐったりと体を彼に預けた。



 瀬川さんの家のソファに彼のTシャツとジャージを着てぐったりと横たわる。
 体のあちこちが気怠い。特に下腹部。

 瀬川さんのお部屋は、綺麗に片付けられていて、私のイメージする男性の一人暮らしとは大きくかけ離れていた。でも、瀬川さんのイメージ通りではある。
 広いリビングのテレビボードには所狭しとトライアングルアルファのCDや雑誌、テレビ番組を録画したブルーレイがある。

 トライアングルアルファの影がある場所で、こんな風に行為の名残を漂わせている自分。
 ああ、なんだか3人に申し訳ない気持ちになってくる。

 瀬川さんはと言えば、私の元気を全部吸い取ったみたいな元気さでキッチンでテキパキ調理中だ。
 私があんまり食べる気になれないと言ったので、うどんを作ってくれている。
 私のはシンプルにお揚げとほうれん草だけ、瀬川さんのはタマゴとお肉ががっつり載っていた。

「カレーうどんが好きなんですけど、さすがに匂いが……ねえ?」

 まだする。そういうことだろう。私だってこれで終わるとは思っていない。
 夜は長く、明日は休みだ。私の体力が許す限り、付き合おう。
 そう決意した。

「おうどん、美味しいです」
「よかった」

 瀬川さんが笑う。

「今日は最初から誘おうと思っていて……食材もそのつもりで準備してたんですけど……あはは、まさか先にシちゃうとは思ってなかったから……がっつり手料理振る舞うのはまた今度ですね」
「楽しみです」

 うどんはおいしい。
 がっつりした手料理も楽しみ。
 その後にすることだって、楽しみ。

 それなのに、ずっと頭にこびりついている。
 赤井アルファ。
 ああ、嫌だ。ただの思い込みじゃないか。
 だいたいあの人、もう人妻だ。
 こんなの馬鹿馬鹿しい。

 今、瀬川さんの目の前にいるのは私で、キスが出来るのは私で、抱かれるのは私だ。

 ……いつから、私、こんなに、瀬川さんのこと好きになってたんだろう。

「……おいしい、です」

 もう一度呟いて、私はうどんを完食した。

 皿洗いくらいは手伝いたかったけれど、瀬川さんのお家は食器洗浄機完備だった。
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