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披露宴は盛大に…!

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披露宴が開かれると主役のふたりより一足先に会場に集まった貴族達はその華やかと初めて見る光景に驚愕した。



皇宮の上階にある広間に準備された豪華な食事と様々な飲み物。





皇宮の上階である為に国を見渡すことの出来る広い庭まで豪華に飾られており、なるべく沢山の人が入れるようにと立食パーティーとなっていた。





飲み物を運ぶのは皇宮のウェイターではなく、妖精たちだった。




室内のはずなのに壁には滝が流れており。かと言ってその水が何故か溜まる事も水浸しになる事もない。





音楽を演奏している魔族達は見目麗しく、もちろんどの食事も美味である。



庭は花で飾られ、魔法で生み出されたシャボン玉とキラキラとした光が踊るように浮かんでいて幻想的である。



アルカナの髪と同じ真紅を基調とした飾りつけにはふんだんに使われた金とダイヤモンドが魔王は決してただのでは無いと知らしめていた。



「ここは本当に皇宮なのか…?」


「キレイ…。」


皆はアリアンナへの嫌悪など忘れ、まるで夢のようなこの場所の雰囲気に酔知れた。



皆が、主役はまだかと辺りをキョロキョロとし始めると、曲の雰囲気が急に変わる。



正面の扉が開き、視線がそこに集まると


現れたのはアリアンナとアルカナではなく、セルジオとリリスであった。




淑女達はセルジオに、紳士達はリリスに思わず目を奪われて言葉を失う。

静まり返った会場に好都合と言わんばかりにセルジオが口を開く。






「本日は、我が主君の為にお集まり頂き感謝致します。」



リリスが艶やかな仕草で魅了するようにセルジオの言葉の後を続けた。




「我が主君はあちらから参ります。皆様、庭へ御出で下さい。」




皆が庭の方へと視線を向けると、地響きがなり花火の音が鳴る。

ラッパの音とものすごい魔力を感じて思わず皆、走り出す勢いで庭へと出た。



漆黒の大きな竜に乗った二人が現れ、赤々とした炎がその周りを飾るように円を描く。


王都を囲むように水柱と火柱が上がり、程よく吹く風が優しく花びらを舞わせている。

まるでパフォーマンスするかのように沢山の黒竜が旋回し、妖精たちは祝福の歌を歌った。




悲鳴をあげる者、魅了される者、其々の反応を示したがその壮大なパフォーマンスに皆が身震いした。


アルカナが手を挙げると、地面から突如現れるステージ。


そこに着地した二人。




準備が少なかった為に地味な披露宴だとばかり思っていたフレアドールは唇を噛み締めて、幸せそうなアリアンナを睨んだ。





赤いバラの花びらと共にステージに舞い降りた二人はあまりに美しく、公式の披露宴だと言うのにアリーチェでは珍しい黒で統一された装い。


カルロも、フレアドールも、イザベラも、



皇帝でさえも見た事のないアリアンナの生き生きとした表情。



瞬きひとつすらも美しく感じる程に、艶やかだが凛とした強さを感じるアリアンナに皆、息を止めてしまうほどであった。



寄り添うように、だけど確かな存在感で魅了するアルカナもまた艶やかでかつ強さを感じさせるその雰囲気に皆息を呑んだ。





「魔王陛下、魔王妃殿下が御臨場です。」



「さて、皆様。ダンスの前にもう少しお付き合い下さいね?ふふ」




「魔王妃殿下の戴冠式を行います、ティアラの贈呈後御二方の誓いの言葉で戴冠式を終了致します。」




イザベラの顔つきが明らかに変化したのが見えたアルカナは笑みを深くした。



セルジオはリリスに目配せするとリリスは思わず笑う。



「リリス…。」

「わーかってるわよ。安心して上手くやるわ。」





フレアドールはずっと握りしめていた手をカルロにそっと開かれて我に返る。



「カルロ様…」






「大丈夫だ思い通りになんていかない。」

(フレアと結婚し皇配になり、アリアンナは私が奪うのだからな。)





「カルロ様…っええ。そうよね!」

(女皇帝となり、カルロも魔王も手に入れるのよ。アリアンナ、貴女の力も飼い殺してやるわ。お母様に敵うはずないもの!)





そして、どこか寂しそうに二人をみつめる皇帝の隣で表情にこそ出さないものの湧き上がる欲望を必死で隠すイゾルテが居た。





(財力、力、容姿、魅力、全てが完璧!!私に相応しい男!!!あぁ早く、早くティアラを奪って征服しないと。私のアルカナ、そしてアリアンナ、あなたはフレアの為に生きるのよ!!!!)




仲睦まじく、それでいて決して誰も触れさせないほどの圧倒的な雰囲気を纏った二人が庭に降りると黒竜達はまるで犬が主人を待つかのように建物の上に座って待つ。



アルカナが優雅にアリアンナをエスコートし、いつのまにか準備されていたステージに上がると思わず目を閉じるほど明るい光が差し、


現れたのは、


「精霊王様……」


カルロがポツリと呟いた瞬間にざわつく会場内。



「精霊王!?」

「本当に存在していたのか!」

「精霊王様って素敵…っ!」




エレメントはそんな人々に呆れたようにため息をついてから、言葉をゆっくり発した。



「私の主は、アリアンナ・バラキエル魔王妃である。精霊王の名に誓って彼女に魔王妃のティアラを贈呈しここに正統な魔王妃であることを証明する。」



祝福とは少し違う、驚きに近い歓声があがりお互いの顔を見合わせてから頷いた二人がエレメントからティアラを受け取ろうとしたその瞬間、





「お待ちなさい!」


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