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アリアンナは私のモノ

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披露宴は当日となり、見事に晴れた天気に感謝しながらもアリアンナは支度を進めていた。



アリーチェでは白が基本だが、黒のドレスに金を基調としたアクセサリー。


華やかな金の刺繍がドレスの裾と胸元に施されたそれは、



小ぶりだが、豪華な魔王妃のティアラともよく似合うようにデザインされていた。


ナチュラルにメイクされた目元は跳ね上げたアイラインが色っぽく、ボルドーのルージュは落ち着いた印象と華やかさを兼ねそろえていた。


「主」



「エレ…とうとう今日で全ての式が終わるのね。」


「神が魔王妃になるなど前代未聞だが…彼奴アルカナならば、それも良いだろう。」



「ふふ、私もそう思う。魔王なんて想像よりもっと普通だものね。」



「そう思うのは主だけであろう。」



「そうかな?…今日は宜しくお願いするわね。」



「あぁ、馬鹿な人間共に格の違いを見せてやろう。」



「アルカナも、エレも、大袈裟なんだから!」





そう言って笑ったアリアンナの頭を撫でて優しく笑ったエレメントは、爽やかで優しい香りを残して行ってしまった。




水の精霊であるアクティーヌと火の精霊であるレオンは安全面と美しいコントラスト考慮してペアで行動している。



闇の精霊であるジェイは力の使い勝手が良い為、アリアンナの護衛に抜擢されている。




「ジェイ、感じる?」


「ああ、割と強い光の力を感じる。」


「きっとカルロだわ…、いくら力の差があるとはいえ貴方は相性が悪いでしょう?存在を感づかれないようなるべく温存してて。」


「御意。」






アリアンナの予想通りにすぐにやってきたカルロは、返事をしないアリアンナに扉の前でポツリ、ポツリと話しかけ始めた。





「開けてくれないのは当然だと分かっている…」



「それでも、きちんと謝罪をしておきたいんだ。」


「アリアンナ、頼む。少しでいい…」



「君を信じてあげられなかった事、今になって悔やむよ…。」




「……帰って。もう貴方と話す事などないの、これからもずっと。」




「アリアンナ、そんな事言わずに…」





「主、光の気配だ。奴が扉を開けるぞ。」



「大丈夫よ。ちょっと強引だけど弾き返すわ。彼の影を使って着地点にブラックホールを、転移先は私がフォローするわ。」



「御意。」



「アリアンナ、私もこんな強引な事はしたくはないが…」



カルロがそう言うと同時にドアノブが光る、彼の魔法でドアノブが破壊されたのが分かったが、発動速度はこちらの方が上。


カルロが扉を開いた瞬間にはもう発動するように仕掛けられていたアリアンナの神力で後ろに弾き飛ばされるカルロ。


咄嗟に両腕で受け身を取るあたりは流石だと言えるが、力の差がありすぎる今、アリアンナの力から流れる術はなく思いっきり壁に叩きつけられると思った瞬間、


ジェイのブラックホールが開いて問答無用にカルロを吸収した。



「アリアンナッ!!!!」


手を伸ばしてこちらに叫ぶカルロの転移先は彼の邸である。


基本的に転移は知った場所にしか行けないのでジェイの魔法ごと望んだ物を吸収するブラックホールで城の損傷を抑えつつ、彼を邸に送ったのだ。





「ジェイ、ありがとう。これで当分は現れないわね。」


「主、優しすぎるよ。城など壊してしまえばいいのに。」



「だめよ、他にも人が居るんだから。」



「…そうか。」




そうしている間に、準備を終えたアルカナの元にも来客があった。



「あの…っ魔王さま、お祝いのプレゼントを…」



アルカナは案外すんなりと扉を開いてやる。




「その…どうして姉を魔王妃に…?」



「どう言う意味だい?」



「姉は…、罪人です。嘘つきだと皆知っています…私、姉は好きです。だけど…魔王様が騙されて居るんじゃないかって心配で…ッ。」



フレアドールは顔を上げるとアルカナの真っ黒なタキシード姿の美しさにクラリとする。

長い脚から見えるボルドーの靴下、彼の真紅の髪に白い肌。

金色の瞳が感情を持たずにフレアドールを見つめていた。




「くっく…下手な芝居は要らない。もう。」



「な、どう言う意味ですか?」



「その、姉を陥れたのはアンタだろう?」



「そ、そんな!私は姉に嫉妬で虐げられて…ッ」



「まだ分からない?を持つアリィがたかだかを持ったアンタを虐げる理由がないんだ。」



「神力ですって!?そんなの…嘘よ!そんな御伽噺のような話ある訳ないでしょう…!」



「くっくっく…御伽噺でも何でもない。アリアンナは神からの贈り物だよ。そして今やその存在自体が神!美しい心、容姿、どれを取ってもアンタに嫉妬する部分が無い。





するとフレアドールは糸が切れたかのように、怒り出して大きな声で花瓶をアルカナに投げつけながら叫ぶ。




「うるさい、うるさいうるさいうるさい!!!!!!」




「そうよ!私とお母様が奪ってやったのよ!!!!前から気に入らなかったの!何でも持ってて何でも出来る。カルロ様までも…!!!」




「あっそ。どうだっていいよ。ケド…余計な事はしないでおいてくれるかい?これ以上は…アンタも困ると思うけど?」




「はっ!魔王が何を言ったって誰が信じると言うの!?そうだ!アリアンナを慕う男達とは全員寝てやったわ!アリアンナに虐げられるか弱いフレアドールにカルロ様までも、夢中なのよ!!!!」



「そういえば…僕も誘惑されたなぁ」



「だから何!?魔王、アンタだって私が王妃となれば飼ってやるわ!必ず手に入れてやるんだからッ!!!!」




「…撮れ高はこんなもんかな?」


「はァ!?」


「じゃ、アンタは帰って。バイバイ。」


アルカナがフレアドールを送った先は謁見の間であった。
フレアドールは誤魔化しながら急いで部屋へと走るのだった。






「ねぇ?魔王陛下ぁ?何か音がしたけれど…」



「…次はアンタか。」



突如魔法で現れたのはイゾルテである。



さっきの娼婦呼ばわりは冗談よね?照れているのね….」



そう言ってアルカナに触れようとするとバチバチと黒く光る。



「…っ、」


今にもこぼれ落ちそうな胸元と大きく入ったスリットから見える素肌は確かに不自然なほど若々しく、アルカナはそのカラクリに気付く。





「魔力はまあまあ多いけど、外見に出る程じゃない。」


「え?」


「アンタ、魔力を使ってるんだね。」



「…ッ!何よ、意味が分からないわ?」



「くっく…ふーん、そう言う事ね。」



アルカナはイゾルテに近づくと頬を染めて物欲しげに見つめるイゾルテを嘲笑して魔法で沼のような影を作り出す。


沈んでいくイゾルテの額に指を一本当てて、思考を読むとニタリと笑って、




「ああ、それって凄く愉しそう。」


と笑ってイゾルテを沈めた。



悲鳴と叫び声を上げながら沈んでいくイゾルテに小さな声で囁く。



「大丈夫、行き先は謁見の間だよ。」

(この城ではそこしか分かんないだけだけど…くく)



「きゃああ!!!えっけ、え!?なんて…、あぁ!ギャァっ!!!」





「聞こえてないか。」




そう言って小形カメラを指で遊ぶアルカナの元に現れたのはセルジオで、どうやらアリアンナの準備が出来たと精霊達に聞いたらしい。






「アルカナ様、ご準備は?」





「ああ。。」


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