公爵令嬢は破棄したい!

abang

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辺境伯夫人は小公爵

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あれから驚くほど早く月日は経ち、彼女達の卒業はもう間近となっていた。


何が変わったと言われればなにも変わって居ないような、そんな穏やかな日々を過ごしていた。


「お嬢様、もうすぐご卒業ですね」


「ダンテも同じでしょう、ふふっ」


公務をしているセシールの後ろに控えたダンテが懐かしげに言うので少し笑った。


ダンテは大切そうにそっとブランケットをセシールの肩にかけて愛おしげに見て言った。


「もうすぐ……成人されますね」


「それも、貴方もでしょう?」


「ええ、そうですね」


皆それぞれエラサでの功績を認められ、爵位や褒美を貰っていたが、彼はエラサでの功績で伯爵位を手に入れていた。


それは、ノーフォード小公爵に誓いをした騎士だということを差し引いても珍しいほどの大出世だった。


あれからの月日な長いようで短く、セシールの結婚の日までもうすぐだと言うのに、彼女への気持ちを無くせた者は居なかった。

けれど正面切って、クロヴィスに対抗するものなどリアムくらいのものである。(リアムのは少し違うかもしれないが)


「……急いで消さずとも、きっといつか形が変わる」


「ん?なんの話かしら?」


「どちらにせよ私はセシール様が大切で仕方がないと考えていただけです」


優しく微笑んだダンテはセシールよりも大人びて見えた、セシールは少し照れたように、こほんっと咳払いをして書類に向き直った。


「ありがとう。私も貴方達がとても大切よ」

「ふふ、それで我慢しておきます」


「?」


荒々しいノック音と顰めっ面が現れてダンテは内心で「噂をすれば……」と考える。


「口説いてんじゃねーよ」
(お嬢様、お客様がいらしています)


「……リアム」


急に何だ?と呆れたような顔のセシールとは対照的に今にも笑ってしまいそうなダンテは深呼吸をしてリアムに指摘する。


「心の声と逆になってないかな?」


「んなっ!……え?どっち言った?今」


「口説いてんじゃねーよ。と部屋に入るなり言いました」


セシールが戒めるように言ってリアムを見ると、肩を落として素直に謝罪をする。


「申し訳ございません。お嬢様にお声をかけるつもりが無礼を働きました」


「いいのよ、……ふっ」

とうとう笑ってしまったセシールに恥ずかしそうにリアムは姿勢を正して、本来の目的を不服そうに伝える。



「お嬢様、ランスロット様がいらしております」



「あら、それは大変……!お待たせしてしまったわね。急いで行くわ」


--


「クロ」


「セシール、急ですまない。送ればよかったんだが……」


「まぁ!わたくしに?開けてもいいかしら?」

クロヴィスは大きめの箱を侍従から受け取り、置いた。
嬉しそうなセシールの言葉に頷くのを確認すると、

リアムが箱を開け、セシールはキラキラと目を輝かせ、それを取り出した。


「なんてキレイなドレスなの!クロ、ありがとう……!」



「あぁ。少し早いが卒業パーティーの為にそれを贈ろうと」



「送ってくれてもよかったのに、来てくれたのね」


「直接渡したくてな、それと……遅くなったがコレを」


セシールの指につけられたのは、大きめのダイヤに似て異なるとても珍しい魔法石の指輪であった。

それは、とても珍しいのに加えて、発掘出来たとしてもとても硬く、魔力を有するため加工に手間と時間がかかる。

よって、王族でも簡単に手に入れる事ができない最高級品であった。


「とても、キレイ……!!ほんとうにありがとう、クロ」


セシールは嬉しそうに頬を染めてクロヴィスに抱きついた。


「間に合ってよかったよ」


こちらもまた、目を細めて嬉しそうにセシールをギュッと抱え直した。


見ていられない、と言うようにそっと退出したリアムに、部屋の前に控えるダンテは苦笑していた。


そしてそれを身につけた彼女のその完璧な姿は当日、アルベーリアに留まらず他国にまで噂となる程美しかったという。



そして、程なくして盛大な披露宴が行われ、二人は生涯の伴侶となった。


「お嬢様……っ」

「大丈夫よリアム、直ぐに帰って来るのだし」

「……お気をつけて。明日お迎えに上がります」


ランスロットの王都の邸はそう遠くはないが、そこで二人は新婚生活をする事になる。


まだノーフォード敷地内の別邸から荷物が移されておらず、セシールの部下達はエイダとエイミー、アンだけが初夜、ランスロット邸へ同行することとなっていた。


ランスロット邸で案内された部屋は、比較的殺風景な邸からは想像もできない程、華やかだが上品な部屋だった。


「セシール、この部屋は寝室を挟んで俺の部屋と繋ぎになっている」

「その、寝室は一緒でも構わないか?」


セシールはボッと顔を一気に赤くさせる。


「か、構わないです、夫婦だもの……」


そして、その日の晩ーー


「お嬢さ……奥様、今日は特段お美しいです」

「これなら、旦那様も……!!」


「エイダ、エイミー!お嬢様、寝衣はこちらを」


キャッキャと楽しそうに手入れをする二人に続けてアンが持ってきたのは、淡いピンクのフリルを施された可愛い下着と、透き通る柔らかくて上質な生地のネグリジェでセシールはとうとう、声にならない声で諦めたように返事をして、着替えた。



「~~っ!分かったわ」


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