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侯爵令息は早く会いたい
しおりを挟む僕はずっと紅の魔女の、灼熱の如く情熱的な光を持つ彼女の瞳に恋をしていた。
僕の父はアルベーリア王国の宰相であり、レイモンド侯爵家の現当主であるが、僕はあまり人付き合いが得意では無かったので社交会に顔を出した事はない。
なので、僕の父が宰相だと言うことは学園の、殆どの者は知らなかった。
魔力の量は化け物じみたテオドール殿下や、月の女神や、紅の魔女、クロヴィスほど多くは無かったが、魔法が好きだった。
彼らの魔法は、属性の適正はほぼ無いに等しいと言える。
殆どのものが、適正の魔法に偏るのだが、彼らは比較的バランスが良く魔力をイメージだけで使う。純魔法と言ってもいいだろう。
強く憧れたし、魔法自体を掘り下げて勉強することが僕は好きだった。同じように魔法を研究し、過去に実在したと言う稀代の魔女の末裔であり、最も近いとされるマチルダ嬢に出会ってからは、彼女に夢中だった。
図書室や演習場で、たまに会って軽い会話を交わすくらいの仲だったが声を聞いて、その瞳を見れば、彼女の情熱を知れば、好きにならずには居られなかった。
クロヴィスと近しい友人になったのも、初めはマチルダ嬢と幼馴染だと知り、近づきたかったからだったが…
彼もまた、魔法の才能に恵まれながら、魔法よりも剣や武術の方が得意とし、普段の涼しげな瞳からは想像もできない程に、ある1人の女性にだけ、彼女を燃やしてしまうのではないかと思う程に情熱的な瞳をしていた。
クロヴィスの恋はとても単純なものではなかったが、その情熱にとても親近感が湧いたし、そうやって彼の人間らしさに触れる度に、僕は彼に好感を持っていった。
そして…
ーーエラサ リシュside
休暇に入り、僕のお目当てとする人達がごっそりと消えた。
彼らはどこに行ったのか、クロヴィスに連絡をしても、教えてはくれなかった。
だけど、父上が国の危機だとエラサに彼らの身を隠し、自分達は少ない家門で王都の守りを固めると言った。
(エラサかぁ…。こっちに居てもつまんないしね。)
すると、偶々街で見つけたのは凄い剣幕で女性の腕を取り馬車に乗り込んだダグラスだったが、馬車が出る事もなく、近くに寄ってみると、2人の声が聞こえたのだった。
(エミリー….?伯爵家の…)
エラサに連れてってくれとねだるデボラ伯爵令嬢に、二つ返事で了承したダグラスに、シメたと僕もさりげなく便乗した。
僕は魔法を掘り下げるのが好きだ、もちろん魅了についても学んでいた。ダグラスとギデオンから感じる雰囲気と、まるで使用人のように甲斐甲斐しく彼女の世話する2人を不自然に感じたし、
彼女が僕に纏わりついてくるのを引き離す時にたまに合う目から本当に微量だが、魔法を使用した事が分かった。
(何か条件があるみたいだね、彼女の魅了には)
そしてエラサに到着し、初日に事件は起きたのだった。
マトモな者が居なくては殿下には会えないので、手の施し様があったダグラスの方を少し突っつけば、元々弱い魔法のため、すぐに魅了を克服した。
(これで、これでやっと貴方に会えるよマチルダ。例え国の危機だとしても、僕が守りたいのは君だけなんだ。)
すっかり懐いたダグラスに、明日彼らに会えると聞いた時は歓喜した。
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