公爵令嬢は破棄したい!

abang

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月の女神を手に入れたい2

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ーーノーフォード公爵邸 ダンテside

近頃は別邸は、嬢様の休暇に向けての準備で忙しくしていた。

騎士のであるダンテがすることはあまり多く無かったが、狂気までもお嬢様を溺愛するリアムという侍従はまるで一生をエラサで過ごすのだろうかと思うくらいに用意周到であった。

口数は少ない奴であったが、旦那様や奥様への忠誠心も強く、お嬢様に関しては頭がおかしいのかと思う程盲目であった。


リアムは幼い頃よりお嬢様の影を務める5人をまとめている暗部のリーダーであり、年齢はそう変わらないがリアムが幼い頃よりお嬢様に対してこうだったらしい。


「ダンテ、エラサの別邸の地図は覚えたの?」

「リアム…またお前か。そっちはもうやる事はないのか?」

落ち着きなく仕事が終わってもウロウロしているリアムの淡いピンクの髪ががサラリと揺れるのを眺めながら、同じく淡い、こちらを睨みつけるリアムの瞳をあきれた目で見やった。

「…お嬢様をお守りしたい。彼女は僕達の全てなんだ」


「ああ、私もだよ。」


リアム達5人はとある男爵家にて、見目が麗しいというだけで誘拐され人身売買にかけられるところをたまたま、人身売買を知った幼いお嬢様が、助けてくれたのだと言う。

同じ年頃の子供が売られている事件を知って、1人でこっそり出て行ったお嬢様を後から追って来たスティーヴが、お嬢様が一瞬で片付けた大人たちの残骸と、貴族のお嬢様とは思えない、ボロボロのドレスを見て顔を真っ青にしていた話を教えてくれた。


私はお嬢様とのそのような思い出を持ってはいないが、毎日一緒に学園へ通うお嬢様をいつしか、心から慕っている。


彼女の手が私の手に乗せられ、馬車を降りる時に香る優しくて甘い香り、彼女の耳通りの良い綺麗な声は、私の身体の奥からなにかが疼き、セシール様をそのまま引き寄せてしまいたい程に心を刺激するのだ。


「お嬢様に余計なことを考えるなよ…」


じっとりとした目で私を見るリアムに、私は少し笑ってしまった。

「何を考えるんだよ、皆と一緒だよ。俺にとってもセシール様が全てだよ、剣を捧げた主人として。」


例えどんなにお嬢様が甘かろうがその味を知ることはないが側で愛でる事はできるだろうか。


「…僕も一度は考えたことあるよ」


分かるよとでも言いたげな顔で言うリアムにギクリとしたが、それ以上にセシール様を主人として慕っているので彼女の幸せをこれからも守っていこうと2人で誓った。

(私達が手に入れたいのは彼女の幸せ)


ーーエイダandエイミーside

私達双子は、どこか知らない遠い国の戦闘民族の血統であった。ただ大きな魔力を持て余していたし、高すぎる身体能力と鋭い五感は、力を欲する者たちにとっては子に欲しい血であった。

しかし、孤児である2人は平民であり、後ろ盾が必要な者ほど2人を正妻として娶るはずはなく、

また彼女達はそれに応じる訳は無かった。

すると彼女達の働く酒場を買収し、賄い飯にクスリを混ぜた。

目を覚ました2人の首には魔力を吸い取る魔道具、そしてまるで娼婦が着るようなネグリジェを着せられ、豪華なベッドに繋がれていた。

そう、彼らは彼女達をより強い子を産む為の道具として扱おうとしたのだ。

そして、市井で彼女達の噂を聞いたお嬢様の暗部達により興味を持った当主様が私達を訪ねようと探していたところ、彼らの悪事が発覚した。

突如、屋敷中が闇に包まれ、気が付いたときにはもう大人達は誰も居なかったし、幼いお嬢様は指一本で魔道具を壊してしまわれたのだから驚いた。

なによりも、私達を見て

「早くに来られなくてごめんなさい。」

と涙するお姿は心を打たれたのだった。
彼女を探していた当主様がリアムに連れられ、呆れ顔で屋敷を訪れたのはほんの数分後だった。

「うちに来るのはどうかしら、何もしなくていいわ。子供も産まなくていい、仕事もあるし…その、わたくしのお友達になって欲しいのです。」

と、恥ずかしそうに言ったお嬢様がもう好きになってしまっていたし、彼女のために生きたいと思っていた。

今回も、きっと守ってみせる、

「エイダ、お嬢様をきっとお守りしよう。」

「そうね、私達がお嬢様には何人たりとも触れさせもしないわ。」

こっそりと使用人の部屋にきては一緒にお菓子を食べる彼女の悪戯な顔を思って笑った。


(やっと手に入れた私達の大切な人なんだから)
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