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隣国を蹴落としたい
しおりを挟むーーエミリーside
近頃、色んな人がウチにくる、今まで私を嫌悪していたはずの婦人達まで、自分の息子を連れて気色の悪い笑顔でずっと話してる。
お父様はどうやら満更ではないようで、色んな縁談の資料を開いてはずっと悩んでいる。
今日は隣国の偉い人と、どっかの国の王太子がお忍びでうちに来るらしい。
私に関係ない話だけれど、私は、テオ様をどうやって手に入れるかで忙しいのだから。
近頃のテオ様は全然靡かない。まるで「勘違いされたくない」という様な付かず離れずの距離感なの。
魔法も全く効かないし、私の言うことを疑っている様子にも見えるし、光魔法の一件からは見張っているような様子にも見える。
どちらにせよ、私に関心が向けられているのはチャンスである。うまく気を引かなくっちゃ!
でも…退屈なのよね。
婦人や、雑草達にチヤホヤされたって嬉しくないの!
やっぱり、身分の高い美丈夫でないと…
どちらにせよ、彼の協力が必要だし…
エミリーは思いついたように手紙を書き、伝書鳩を飛ばした。
(王宮でお会いした、唯一の味方である貴方様へ、貴方のおかげで好機が訪れました。やはり協力が必要なようです。可能な限りの貴方の利を約束します。)
わかるかしら?
「エミリー、お客様がお見えになったぞ。」
「ええ、お父様。すぐに行くわ。」
仕方無いので部屋へ行くと、小太りのお金持ちそうなおじさんと、金髪に碧目の物語から出てきたかのような美しい男がいた。特段背が高い訳でもなく、か弱そうにも見えるが、いかにもお金持ちそうで、なによりテオ様に並ぶ美丈夫だ。
「こちらは隣国からエウリアス国、国王陛下の使いで来て下さった、ボワールツ伯爵閣下だ、そしてこちらが…
「その少し北側にあるセルドーラ王国のアルフレッド・アキッレ・セルドーラと申します。」
何ですって?王太子?でもそんな遠いところに嫁がないといけないのは減点よね。
「エミリー・フォン・デボラですっ。」
急にやる気の出たエミリーは淑女の笑みをして席についた。
ーーボアールツ伯爵side
可憐な美少女が入室し、これなら我が国の王族にも見染められるのでは無いかと思ったが、それは直ぐに打ち消されることになる。
「アルフ様はぁ、私に縁談を下さったとお伺いしております…アルフ様のような素敵なお方だったなんて…とても嬉しいですわ。」
「それで、アルフ様はぁ…」
「そんな、ミリィとお呼びになって下さい…」
嵐の様に一方的に話し出す娘に焦る、デボラ伯爵。
「エミリー、っ」
アルベーリアに次ぐ大国であるセルドーラの王太子を媚びるように見つめ、入ってきた時の面倒臭さそうな態度とは反して、甘えた声で急にベラベラと喋りだすこの小娘を見てまるで、客をとる娼婦のようだと思った。
「デボラ伯爵。本題に移ろう。」
私が咳払いをすると。伯爵によって静止された令嬢は不服そうに口を尖らせたが、話を聞く素振りをみせた。
「エウリアス国は、セルドーラとの同盟を進めており。これまた同盟国であるアルベーリアの強大すぎる力の恩恵を令嬢との縁談を仲介するという事で、受けられないかと思っております。」
「持参金は秘密裏にこちらから用意しましょう。」
セルドーラ国の王族が手続きを踏まずに入国するのは至難の技であり、光魔法の持ち主を失いなくないアルベーリアが入国をすぐに許可するか分からないので、
セルドーラの王太子の提案により様々な我がエウリアスへの利益と同盟を約束し、アルベーリアと同盟国で比較的に入国のしやすい我が国が仲介を買って出た。
ダイヤモンド鉱山を、多く保有するが魔法に関しては使え無い者の割合が多く、魔道具などの研究なども進んでいない、エウリアスとしてエミリーの持参金を肩代わりしてもセルドーラとの取引で得るものが沢山あった。
「その、それは…国内で婚約をさせられてしまう前にデボラ家としての正式な返事が欲しいとのことでしょつか?」
(確かに美しい男だけど、そんな遠い国で結婚だなんて!いや、でもこれで苦労せずに王妃になることはできるけど…だめよ!テオ様をきっと手に入れるわ、)
すると、どこからか声がした。
「お初にお目にかかります。アルベーリア国王の弟にあたります。エレメント・シズリー・アルベーリアです。 ただの縁談話よりもっといい、お互いの為になる話があるのだけど…」
「みんな、口は堅い方かな?」クスクス
妖艶に笑うその男の登場にその場の全員が驚いた。
魔法で入ったのか急に部屋に現れた王弟のエレメントの銀髪をみた瞬間にデボラとボアールツは礼をとった。
アルフレッドはその碧眼を細め「話とは?」と警戒したように問うた。
「僕の王位継承権は3位にあたる、そして1位はテオドールで僕の甥なんだけど…。2位は弟の第二王子のラザールだね。そして5位が今のところはセシールなんだけど。」
近頃は実直なテオドールより、ラザールはまだ幼いので、融通の聞くエレメントを国王にしたいという貴族派が働きかけていた。
「僕が王になると言ったら?」
まぁその為には皆んなに強力してもらわないといけないけどね、と笑顔で言った。
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