婚約者が浮気を公認しろと要求されたら、突然モテ期がやってきました。

abang

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婚約者から浮気の公認を迫られます。

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筆頭侯爵家の一人娘であるグレーシス・フォンテーヌは、新入生の頃から続いている婚約者とのランチの時間を楽しんでい……る筈だった。


ローズモンド公爵家の嫡男である婚約者、ミハイルははちみつ色の髪と瞳が愛らしく、剣の腕が良いという男らしい一面もあり、優しい。



なので婚約者がいるにも関わらず、普段から女性に囲まれており、時折浮気では?と思うような場面にも遭遇してきていた。



部屋に帰って泣いたのはもうかなり前で、今ではもう彼への期待など消え失せてしまっている。



近頃は、一人の男爵令嬢と熱心に逢瀬を重ねているようで普段から堂々とイチャイチャしている二人の噂で学園は今日も騒がしい。




「ミハイル…話って何?」



「グレーシス…実は私は、真実の愛に出逢ってしまったんだ。けれど私も一端の貴族だ、私達の婚約が単純なものではないと理解している。」




「…で、私にどうしろと?」






「結婚は君とする。だから卒業までの一年だけ別れて欲しい。」




グレーシスは驚愕した。彼は多少移り気な人ではあったがこのような突拍子もない提案をするのは初めてであった。






「真実の愛なのでしたら、その方とご結婚なされば良いのでは?」




「私は結婚は君としたい。だが、を諦める時間が必要なんだ。」




「……そのお相手の方とは?」



「メルリア・ボーデン男爵令嬢だ。その…君のクラスなのでよく知っているだろう。」




メルリアは男爵令嬢でありながら、実家は富に溢れ成績もそれなりに優秀である。それに加えて、女性らしい小柄で丸い大きな瞳と、甘い声、気取らない可愛さが多くの子息達に人気だった。


ミハイルもその一人だと言えるだろう。



次期公爵であるミハイルに恥じない婚約者でいようと、常に気を張ってきたグレーシスは淑女の鏡とは言われ憧れられても、彼女がとても美しくても、そのお堅い雰囲気で近寄りがたく思われて、男女共にそれ程人気があるわけでもなかった。




「ええ、知っています。ですが、



「頼む、グレーシス!私は結婚後君をきちんと愛する為にも、きちんと真実の恋を終わらせたいんだ!!」



グレーシスの話など聞く気もないのか、グレーシスの言葉を遮って自分の主張を押し付けるミハイルはどこか子犬のような潤んだ瞳で必死に懇願する。




(頼みというより、これはもう決定事項ね…呆れたわ。)




「それなら、お好きになさいませ。」




呆れ切ったグレーシスは、ミハイルに見切りをつけたのだった。


だからと言って傷ついていない筈はなく、グレーシスはいつも自分ではない令嬢の隣にいるミハイルに自分を否定されているような気分であった。


彼は愛しているとグレーシスに囁きながら、いつも他の女性と逢瀬を重ねていた。



本来このような侮辱以外の何物でもない事を承認などしないだろう。
だからこそ、というのは別れの言葉でもあった。



ほとほと愛想が尽きたと、貴族らしい言い回しで言ったつもりだったのだが、ミハイルにはどうも通じていなかったようだった。




「ああ!分かってくれると思ったよ!この一年は君も好きにするといい!君が他の男性と食事をしても私も寛大でいよう!」




グレーシスは頭が痛くなった。




ミハイルの家は王国に三つしかない公爵家の家門、富にも溢れているしもちろん影響力もある。



もうそれならばいっそ、この一年を不義の証拠として婚約破棄し膨大な慰謝料でもふんだくってやろうと思った。




(そうでもしないと腹の虫が収まらないというものね。)




「ああ、私の美しきグレーシス…だけど君男性と肌を重ねるのだけはやめて欲しい。その唇もだよ。世継ぎは僕の子を、君の全ては僕のものだからね。」




「…。気分が優れませんのでお先に失礼致しますわ。」






(絶対に婚約解消してやりますわ。)











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